イタリアのヴェネツィアで始まったBIENNALE(ビエンナーレ/2年に1度という意)。文字通り世界中からアーティストを招待して2年に1度行われる大規模な展覧会で、シドニーでは、2018年3月16日〜6月11日までビエンナーレが開催されています。今回は、期間中にシドニーを訪れた際に観光も兼ねて訪れてほしいビエンナーレ・オブ・シドニーの開催スポットをご紹介します。
この記事の目次表示
BIENNALE OF SYDNEY(ビエンナーレ・オブ・シドニー)
BIENNALE OF SYDNEYは、シドニーで1973年から行われている現代美術の展覧会。2018年で45周年、21回目を迎えるこの展覧会は、アジア人として初めて、森美術館の総合プロデューサーでもある片山真実さんがキュレーションを行なっていることでも注目のイベントです。
会場は全部で7箇所あり、お馴染みのオペラハウスを始め、以前の記事でご紹介したART GALLERY OF NSWやMUSEUM OF CONTEMPORARY ART、CARRIAGEWORKSでもビエンナーレ作品の展示が行われています。今回は、開催スポットと作品を抜粋して駆け足でご紹介したいと思います。
【1】ART GALLERY OF NEW SOUTH WALES(ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館)
シドニーCBD(ビジネス中心区)の東側に位置する広大な公園・The Domain(ザ・ドメイン)の一角にあるニュー・サウス・ウェールズ州立美術館は、1871年にオープンしたオーストラリア最大規模の美術館です。
ネオクラシック様式の巨大な円柱の柱を抜けると、トップライトの光が入る開放的なエントランス・コートが広がっています。このエントランス・コートの展示も、イベント期間中はビエンナーレ仕様に変更されています。
因みに、オバマ元大統領が来豪した際にこのPrabhavathi Meppayilの作品の前で公演を行ったことでも話題になりました。
2018年で45周年、21回目の開催
1973年から始まったビエンナーレ・オブ・シドニーは2018年で21回目の開催となります。それを記念し、今までの展覧会のアーカイブ・コーナーも設置されています。
1990年当時の展示の中には、日本の西武百貨店のポスターも。糸井重里さんのコピーだそうですが、よく見たらモデルは宮沢りえさんでした。カワイイ!
展示作品ピックアップ
Roy Wiggan
こちらはアボリジナル・アーティストRoy Wigganによる「ILMA」という作品。この場所には、通常もカラフルなアボリジナル・アートが展示されていますが、ビエンナーレ期間中はこちらの作品に変わっています。
文字を持たないアボリジナルの人々が動物や植物、気候などにインスパイアされて製作した「ILMA」は、式典に使われたり、様々な事柄を未来に伝承するために使われたものだそう。原色が使われた鮮やかなアートがポップで可愛いくて、真っ白い大きな壁に映えます。
Riet Wijnen
オランダ人アーティストRiet Wijnenの作品は、16回の架空の会話を抽象的にマッピングして絵画や彫刻になっているというもの(!?)だそう。耳で聞いただけではわかりづらいですが、木材で作られた彫刻はまるで家具のようでとても美しく、筆者は職業柄細かいディテールまでチェックしてしまいました。
Eija-Liisa Ahtila
ビジュアルアーティストであるEija-Liisa Ahtilaの、他の生物との共存を表現した映像作品です。暗い室内のモニターに映った宇宙を浮遊している人間の映像が、何とも幻想的な雰囲気です。
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館は第2回目の1976年からビエンナーレ会場として使用されている老舗。シティからはアクセスしやすい会場ですので、気軽にのぞいてみてはいかがでしょうか。
- ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館
- シドニー / 美術館
- 住所:Art Gallery Rd, Sydney NSW 2000地図で見る
- 電話:02 9225 1700
- Web:https://www.artgallery.nsw.gov.au/
【2】MUSEUM OF CONTEMPORARY ART(オーストラリア現代美術館)
シドニー湾の玄関口、ハーバーサイドのCircular Quay(サーキュラー・キー)という絶好のロケーションにあるのがMuseum of Contemporary Art(オーストラリア現代美術館 / 通称MCA)です。世界のモダンアートを揃えたこのMCAでも、1Fと3Fの2フロアーでビエンナーレの18作品が展示されています。
こじんまりした空間に18作品
比較的小さめなスペースのMCAには全部で18作品展示されており、他の会場と比べてあまり歩かずに効率的に回ることができます。藁やロープなどを編んだ作品が多く、少しエスニック(民族的)な香りがする印象を受けます。
展示作品ピックアップ
Esme Timbery
Esme Timberyは、湾岸に住んでいたアボリジナルの人々の伝統技術を継承し、海岸で取れた貝殻で装飾品を製作しているアーティスト。今回の展示は子供用のスリッパに貝殻をデコレーションしたもので、カラフルな小さいスリッパがたくさん並んでいるだけでカワイイです。
Maria Taniguchi
フィリピン在住のアーティストMaria Taniguchiによる絵画と彫刻のインスタレーションは、どことなく和のZENを感じる作品。彼女のライフワークである黒いブロック・ペイントを、乱立した木製のOとI型の彫刻を回遊しながら鑑賞する…という動きを操作したインスタレーションで、面白いです。
MCAはサーキュラー・キーの脇というアクセス抜群の会場の1つです。オペラハウスでも2作品の展示があるので、そちらとハシゴしても良いかもしれません。また4Fにあるカフェも眺めが抜群なので、そちらもオススメですよ。
- オーストラリア現代美術館
- シドニー / 博物館・美術館 / 美術館
- 住所:140 George St, The Rocks NSW 2000地図で見る
- 電話:02 9245 2400
- Web:https://www.mca.com.au/
【3】CARRIAGEWORKS(キャリッジワークス)
シドニー・シティ南部近郊のREDFERN(レッドファーン)にあるCARRIAGEWORKS(キャリッジワークス)は、鉄道車両工場の跡地に作られたアート施設。
CARRIAGEWORKS(車両作業場)という名の通り、昔鉄道車両のメンテナンス作業場だった場所がキレイにリノベーションされ、今では文化芸術の複合施設になっています。元工場独特の無骨なインダストリアル・デザインが満載で、とてもフォトジェニックなスペースです。
展示作品は8作品と少なめではありますが、工場跡地という特性を生かしたダイナミックな展示が多く、他の美術館とは違った楽しみがあります。
展示作品ピックアップ
Marco Fusinato
CARRIAGEWORKSの目玉と言えばこちらのミュージシャンでもあるアーティスト・Marco Fusinatoの参加型インスタレーション。大きな白い壁に木製のバットがチェーンで繋がれていて、そのバットを振って思いっ切り壁を叩き、それによって反響して響く音を感じるという作品です。
穴だらけの壁は、所々が剥がれていてボロボロです。時間が経つにつれて変化して行く過程を楽しめるアートワークでもありますね。
広大なスペースにダイナミックな体験型のアート
こちらは天井が高く、広大なスペースを生かした映像作品や投影型のインスタレーションに加え、大きな絵画などが展示されています。
所々シュールすぎて筆者には理解できない作品もありましたが、自ら歩き回ったり触ったりして動くことで変化する体験型の展示は飽きることなく楽しめます。CARRIAGEWORKSは建物自体も一見の価値ありですので、是非この機会に訪れてみてください。
- キャリッジワークス
- シドニー / その他スポット
- 住所:245 Wilson St, Eveleigh NSW 2015地図で見る
- 電話:02-8571-9099
- Web:http://carriageworks.com.au/