岐阜県下呂市は温泉が有名ですが、「金山(かなやま)」という所にちょっとマニアックな観光スポットがあります。「筋骨めぐり」と名付けられたその散策スポットは、旧宿場町の名残を残し、まるで迷路のような路地がいっぱい。地図を片手に探検です。
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筋骨(きんこつ)めぐりとは
金山は、飛騨街道の中に位置していた宿場町のひとつ「金山宿」として栄えた場所です。飛騨街道とは、江戸時代に富山県と岐阜県を結んでいた重要な街道です。そんな宿場町としての名残を残す金山は、昔の日本の暮らし方をそのままとどめている町のつくりになっています。
そして金山宿として栄えていた頃の足跡を辿るように、路地を歩いて探検するのが「筋骨めぐり」です。金山の路地は縦横無尽に張り巡らされており、複雑に絡み合った道がまるで体の中に張り巡らされた骨のようであったことから、「筋骨」と呼ばれるようになりました。そんな複雑に入り組んだ筋骨のような路地の数々は、住民の生活に密着した共同通路でもあったそうです。
筋骨めぐりに出発
筋骨めぐりのスタート地点は、ドライブイン「飛山」です。国道41号線沿いにあります。こちらの入り口に地図があるので、その地図を見ながら、宿場町として栄えた金山をめぐりましょう。
こう歩かなければならないという決まりはなく、好きなように歩けますが、地図の案内ルートでは、ゴールもスタート地点のドライブイン「飛山」に戻ってくるようになっています。自動車をここに停めてから出かける人が多いので、スタート地点に戻ってくるのが一番便利そうですね。
- 筋骨回りの地図は、金山町観光情報サイトでも確認できます
いきなり迷ってしまう路地
地図にはところどころ目印となるお店の名前や施設名が記されていますが、矢印や道案内は一切ありません。最初から「ここ通ってもいいの…?」という道から始まります。
地図を片手に、地元の方々が庭仕事をされていたりする側を通るなど、「本当にここでいいのかな…」という自問を繰り返しながら進むことになります。また、路地のかたわらにはこんな綺麗なお花が咲いている一画もあったりします。
行きすぎては引き返したり、行き止まりに当たってしまったりしながら進む路地は、まるで本当の迷路のよう。また筋骨めぐりは路地散策そのものが目的ですから、特別めずらしいものや観光物は基本ありません。ですからいい景色を眺めたり、のんびりした気分で歩きたいという方は、ちょっとつまんないってことになるかもしれません。
名物店をのぞきながら散策
しかしずっと路地ばかりが続くのではなく、車も通る広い道路に出ながらの散策となりますので、道沿いにある地元の名物店などで買い物も楽しめます。こちらは大福もちが人気の和菓子屋さんです。
この他にも、飛騨の地酒「奥飛騨」の蔵元「奥飛騨酒造」さんにも立ち寄ることができます。
- 奥飛騨酒造
- 下呂温泉 / 日本酒 / 酒蔵 / 酒蔵見学
- 住所:岐阜県下呂市金山町金山1984地図で見る
- Web:https://www.okuhida.co.jp/
城造り建築の美しい建物「清水楼」
飛騨街道沿いに建っている大きな木造の建物は「清水楼(せいすいろう)」といい、宿場町だった頃から食事処として栄えきたそうです。建物は城造り建築というそうで、当時としてはめずらしい三階建てでした。
現在の姿は明治の頃に改築したものだそうですが、風格のある美しい木造の建物です。
筋骨めぐりの名物「昭和のお風呂やさん」
筋骨めぐりの名物となるのが、昭和の銭湯です。こちらもとてもわかりにくい場所にあります。筆者は銭湯の裏側から来たのでけっこう迷いましたが、飛騨街道から向かう場合にはちょっとのぞけばわかる感じなので、すぐに辿りつきたい人はそちらから目指した方がいいかもしれません。
女湯は公開されていないので、開けてはいけません、男湯の方は見学自由のようです。もちろん営業はされていませんが、昭和の銭湯の姿そのままの形で残されています。
奥には浴槽も見えます。タイルがレトロで綺麗です。
張り紙もそのままで、本当に本日は公休日で、明日から普通に営業が始まりそうな雰囲気です。
銭湯の近くには水場もありました。このような水場はいくつかあり、湧水として現在も使われているようです。
銭湯から少し離れたところには、覗いていいのか不安になる無人のお家。
その無人のお家のすぐ脇の路地を通りぬけます。
するとようやく街道に戻ってきます。まだ先に進むルートもあるのですが、筆者が出かけた日は真夏だったこともあり、その日の探検はここまでということにしました。
おすすめのおみやげ
さて、スタート・ゴール地点のドライブイン「飛山」には、地元のおみやげがたくさんそろっています。
筆者は、筋骨めぐりオリジナルラベルの焼酎とハッカ飴を記念のおみやげとして購入しました。ハッカ飴は中津川の有名な職人さんのロングセラーだそうで、黒砂糖・中双糖・白砂糖の三種類の味が楽しめます。
ドライブインにはレストランもありますが、筆者は今回は食事はせず、飛騨名物の「朴葉寿し」をお土産として買いました。
朴葉の上に寿司めしとその上にいろいろな具をのせてくるんである一口サイズの郷土料理です。山仕事の携帯用のお弁当だったようですね。
今でも宿場町の名残を感じる筋骨めぐり
観光スポットではありますが、金山の町は普通に人が住んでいる町です。散策でウロウロしている道に水着姿の子供が走り出てきたり、おばちゃんたちがベンチに座ってしゃべりこんでいたり、どこにでもある住宅地なのです。
地図を持ってうろうろしている人たちに「こんにちは」と声をかけてくれる心遣いは、金山がまだ旅人を癒してくれる宿場町のままであることを感じさせてくれます。
- 筋骨めぐり
- 下呂温泉 / 町・ストリート
- 住所:筋骨めぐり地図で見る
- Web:http://hidakanayama.com/kinkotsu.html