2018年1月より、京都では「第52回 京の冬の旅」が開催されています。これは「明治維新150年記念」と「西郷隆盛」をテーマに、幕末・明治維新、西郷隆盛ゆかりの寺院15ヶ所で、通常は非公開とされている文化財を期間限定で特別公開するというものです。その中でも特に注目されるのが、京都五山第二位の相国寺。今回その法堂(はっとう)と方丈を観覧することができます。また、3月24日より、春の特別拝観も予定されています。お出かけになる前に見どころを抑えてみてはいかがですか。
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日本最古の法堂(はっとう)
相国寺は室町幕府三代将軍である足利義満が創建した臨済宗相国寺派大本山であり、京都五山の第二位の寺格としても知られる古刹です。
現存する法堂は1605年に豊臣秀頼の寄進により建てられました。すでに400年以上が経過する日本最古の法堂です。法堂とは、僧侶が弟子らに対し、教えを講義する建物のことをいいます。なお、堂内の撮影は禁止されています。
蟠龍図(ばんりゅうず)
この法堂の見どころはなんと言っても天井に描かれた蟠龍図。直径9mの龍の絵は、狩野派の絵師、狩野永徳の長男である狩野光信と伝えられています。
かつては美しい彩色で描かれていたという蟠龍図は経年により、今は微かにその面影をうかがうのみですが、それでもその龍の八方睨み(どの方向から見てもにらんでいるように見えること)は圧巻です。
龍の直下から手を打つと、天井の音が響き渡る、いわゆる鳴き龍を聞くことができます。天に昇るような音は実際に試してみないと伝わってこないでしょう。
須弥壇(しゅみだん)
法堂の中央には須弥壇(しゅみだん)と呼ばれる大きな台座があります。これは、本尊などの仏像を安置するもので、中央には本尊の釈迦如来、向かって左側に阿難尊者、右に迦葉尊者の像が祀られています。ともに運慶によって作られました。
須弥壇を支える下台輪には唐獅子と牡丹が彫り込まれています。百獣の王、唐獅子と百花の王牡丹の組み合わせは安住の場所。その上に釈尊が祀られています。頭上の龍だけでなく、足元の唐獅子牡丹にも注目して下さい。
方丈
方丈とは禅宗寺院の住持の居室をいいます。つまり住職の家のことです。相国寺の方丈も普段は公開されておらず、特別公開のみ観覧することができます。
現在の方丈は1807年に再建されたもの。なお2007年には京都府指定有形文化財に指定されました。表方丈、裏方丈合わせて六間168畳という大建築となっています。
襖絵など、貴重な文化財
方丈の見どころは優れた襖絵や杉戸絵。維明周奎(いみょうしゅうけい)の「老梅図」、原在中(はらざいちゅう)による「白象図」の精緻な筆運びはまさに圧巻です。
また、遠塵斎(おんじんさい)の「法華観音」は法華経び経文によって描かれた文字絵であり、その細かい仕事ぶりにはただただ驚かされることでしょう。
心洗われる庭園
京都のお寺の庭園はいずれも素晴らしく、心がしんとなりますが、その中でも相国寺の裏方丈庭園の作庭は見事で気持ちが落ち着きます。
立派な枯山水と滝石組と見事な調和。緑のコケと白い玉石のコントラスト。春の新緑、秋の紅葉など、移ろいゆく風景はまさに諸行無常です。方丈の縁側に座り、風に吹かれながら眺める庭園は心を穏やかにしてくれることでしょう。
方丈横にある社務所では御朱印をいただくことができます。また相国寺オリジナルの御朱印帳も用意されていますよ。
参拝時間と拝観料
参拝時間は10:00から16:00です。なお、閉門は16:30となっていますのでご注意ください。
拝観料は一般・大学生が800円、65歳以上および中高生は700円、小学生は400円です。なお、障がい者と介護者は1名までが無料となっています。
「第52回 京の冬の旅」は2018年1月10日(水)から3月18日(日)までの開催です。また、2018年3月24日(土)から6月4日(月)までは春の特別拝観がスタートします(予定)。その時々によって、公開となるお堂などが異なりますので、ご注意ください。
- 相国寺
- 今出川・北大路・北野 / 寺
- 住所:京都市上京区今出川通烏丸東入地図で見る
- 電話:075-231-0301
- Web:http://www.shokoku-ji.jp/s_about.html