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【鎌倉・瑞泉寺】世界遺産級の岩庭と、水戸黄門がしかけた鎌倉ブームのお寺

取材・写真・文:

神奈川在住
訪問エリア:47都道府県

2019年2月27日更新

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写真:えいぶゆう/TossyPhoto

世界遺産に指定されている数々のお寺を手がけた夢窓国師(むそうこくし)。その夢窓国師の芸術性が発揮されたお庭が、鎌倉の瑞泉寺にあります。さらにこの瑞泉寺は、あの水戸黄門によって鎌倉が一大観光地となるきっかけとなったお寺でもあります。

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瑞泉寺とは

神奈川県鎌倉市にある寺院、瑞泉寺。鎌倉の中でも特に大事にしていこうね、と認定されたお寺でもあります。

鎌倉にはたくさんのお寺がありますが、鎌倉五山と呼ばれる建長寺円覚寺寿福寺浄智寺浄妙寺が最も格式が高いお寺として敬われています。その次に関東十刹(じっせつ、じっさつ)があります。本日ご紹介する瑞泉寺はこの関東十刹に含まれるお寺です。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto瑞泉寺

お寺って全てが敬われるべき存在ではありますが、実は格付けランキングが古くから存在していたんです。仏教の本場であるインドから中国そして日本に渡ってくる間に、考え方は少しずつ変わっていきましたが、日本では上から順に、五山・十刹・諸山(しょざん)・林下(りんげ、りんか)というランキングがあります。

黄金の屏風・錦屏山

お寺の名前は瑞泉寺ですが、それとは別に山号というものがあります。山号とは、同じような名前のお寺があった場合に区別するため、そのお寺の立地に関係する名前や、ゆかりのある言葉などをつけたものです。

瑞泉寺の山号は、錦屏山(きんぺいさん)と言います。名前からなんとなく伝わってきますよね。名前を分解して文章で補足すると、「錦の屏風のような山」と解釈することができます。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto屏風のように周囲を囲む山

錦とは様々な色の糸を用いて、美しい模様を織り出した布のこと。そんな錦が屏風のようにも見える山というわけです。実際に瑞泉寺に行って周囲を見てみると、小さな山々がそれこそ屏風のように瑞泉寺の周りを囲っています。

季節にもよりますが、その色はとってもカラフル!錦というとなんとなく金銀の糸を使った刺繍のイメージですが、こちらは黄金色のように見えます。

夢窓国師

瑞泉寺のキーとなる人物として、皆様に知っていただきたいのが夢窓国師(むそうこくし)です。なんだか素敵なお名前。国師とはお坊さんに対する称号の一つで、天皇が師と認める人に贈るものなのです。

この夢窓国師という方はとってもすごい人で、歴代の天皇から次々と国師の称号を得て、その数なんと7回!そのため七朝帝師(7つの朝廷の帝の師)とも呼ばれています。とにかくすごい人というのが、おわかり頂けたでしょうか。

特にこの方は、お庭を作る才能にも恵まれた方。世界遺産に登録されている京都の西芳寺(苔寺)や天龍寺などのお寺を手がけた方でもあるんです。

  • 天龍寺

今回ご紹介する瑞泉寺のお庭も、夢窓国師によって手がけられたもの。言ってみれば、世界遺産級のお庭が鎌倉にあるということです。

補足:世界遺産登録への挑戦

鎌倉は世界遺産への登録にチャレンジしていますが、残念ながら登録には至っていません。一度暫定リストに登録されましたが、残念ながら不採用となり、2019年2月現在は再申請のための準備を進めています。

不採用の理由のひとつに、鎌倉は震災や火災などで寺院のほとんどが焼失していて、当時のまま残っているものが少ないというものがありました。

そんな中実は、瑞泉寺の庭園は鎌倉時代から残っている貴重なもので、もし鎌倉が世界遺産となった際には、遺産群の一つとして絶対に対象になると言われている寺院です。それではいよいよ、そんな瑞泉寺に行ってみましょう!

どうやっていくの?

瑞泉寺はJR横須賀線の鎌倉駅東口にあるバスターミナルからバスに乗って「大塔宮」バス停まで行き、そこから徒歩で約10分ほどのところにあります。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto大塔宮

鎌倉駅や住宅地から離れているためか、鎌倉にある寺院としては比較的訪れる人が少なく、穴場的なとっても静かなところです。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto徒歩で約10分ほど

総門と拝観受付所

バス停から歩くこと約10分、道の途中に総門があります。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto総門

その先に見えるのが拝観受付所。大人200円の入場料をお納めして進みましょう。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto拝観受付所

この受付の先からが境内です。と言っても、よくあるお寺の境内のように、お堂がババーンと見えるのではなく、左右を山に囲まれた梅林と石畳という洗練された庭園があります。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto梅林と石畳

住宅地から離れているおかげで得られる静寂と周囲の山の鮮やかな木々の色の相乗効果で、自然に力いっぱい包まれているような感覚になります。ここを通ることで、心が静まり、お堂に参るための精神を整える場所とすら感じてきます。

筆者が訪れた日は曇りのためか色彩がやや抑えめで、梅林がまるで水墨画のようで素敵でした。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto水墨画のような梅林

男坂と女坂

梅林の反対側には、瑞泉寺のお堂へと続く階段があります。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto境内の奥へと続く道

さらにこの先に進むと、右側と左側に道が分かれています。右側が女坂、左側が男坂です。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto男坂、女坂

坂と名がついていながら、両方とも階段だったりします。同じ目的地に到達する2本の道がある場合、傾斜の緩い方を女坂、きつい方を男坂と呼ぶのは通例だからでしょうか。

女坂は比較的新しく作られた気配がします。階段のステップ自体が新しい色合いですし、歩きやすいように幅も広くなっています。一方、男坂は古くから使われてきた気配がぷんぷんです。ステップは苔むしていて、長い年数使われてきたためか、角は丸くなっています。さらに下りの方向にステップが傾いています。幅も狭いので、降りる時は結構怖いものがあります。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto角が丸くなった男坂

この道を通っていて、独特だなあと感じるのはシダ系の植物が多いこと。シダは湿度の高いところに生息する植物です。湿度が高くなる要因としては、湿度を逃さないように周囲に木々がある・・・という条件があります。見上げてみると、高い木々が重なり合って、深い緑の空間を作っています。ずっと、ココに居たくなるような心地よい空間です。

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この記事を書いたトラベルライター

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えいぶゆう(文)とTossyPhoto(写真)の2人で、心のまんなかにある「旅」を切り取っていきます。

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