マレーシアのボルネオ島でしか生息していない大きな鼻が特徴的なテングザル。ボルネオ島ではジャングルクルーズなどで、野生のテングザルの姿を見られますが、サンダカンの「ラブックベイ テングザル保護区」では野生のテングザルを至近距離で見る事が出来るのです。そんな意外に知られていないラブックベイ テングザル保護区についてご紹介します。
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テングザルとは
テングザルは、ボルネオ島の固有種。その魅力は、一目見たら忘れられないユニークな顔立ちです。大きな鼻が垂たれ下がり、まさに天狗のようでインパクト大。実は鼻が長くなるのはオスだけで、歳を取るほど長く立派になるそうです。
テングザルは一般的に群れを作って行動し、水辺にあるマングローブ林などで生活しています。その構成は、大人のオスのボス猿を中心に、たくさんの大人のメスと子どもたちという構成です。ボルネオ島でのジャングルクルーズでは、かなりの確率で見る事が出来ますが、通常高い木の上で生活しており、遠目でしか見る事は出来ません。
テングザルは平和主義な動物で、他の動物達との争いを避ける為に、他の動物達が好まないタンニンなどの有害な物質が含まれている葉を主に餌として食べています。しかしテングザルの大きなお腹には胃が4つもあり、最初の胃にいる微生物が、葉の有害な物質を解毒してくれるのです。このように、テングザルは他の動物が食べない毒のある葉をエサにすることで生き残ってきたのです。
さらにサルは一般的には泳げませんが、テングザルは泳ぐことが出来る珍しい猿なのです。
ラブックベイ テングザル保護区
90年代初頭から現在のラブックベイ テングザル保護区の周辺は、ヤシ油を獲るための大規模なアブラヤシのプランテーションの開発ために森が伐採され、この周辺に生存するテングザルや他の動物は食料の調達が困難にりました。
そこでこれらの動物の保護を確実にする為に、毎日果物と水を補給する努力がなされました。このような努力は10年以上続き、今では約60匹のテングザルが食事の為に定期的にやって来るそうです。こうして普段は高い木の上で生活していて、滅多に近くで見る事が出来ない野生のテングザルを、至近距離で見る事が出来るようになったのです。
現在では2つのプラットフォームで、訪問者はテングザルが食料を摂取する時に、そのユニークな生態や群れの構成などを間近で観察する事が出来ます。また保護区内には、宿泊施設やレストランも併設されています。
入場料MR60(約1,630円)、デジタルカメラ、ビデオカメラで撮影の場合は別途カメラ持ち込み代金としてMR10(約270円)。携帯電話、スマホでの撮影については、カメラ持ち込み代金は発生しませんでした。
プラットフォームA
餌付けの時間は9:30と14:30になります。筆者は14:00ごろタクシーにて到着した(アクセス詳細は後述)ので、プラットフォームAから先に見学しました。
このように広々とした場所から餌付けの光景を見る事が出来ます。曜日や時間帯によっても違うのかもしれませんが、この日は人影まばらで、プライベート感覚でテングザルを観察出来ました。
ボス猿が餌付けの時間が待ちきれないと言わんばかりに、既に待機していました。訪問者と動物達の境目の柵に腰をかけていたので、距離間がかなり近かったのと、近くで見るととても身体が大きな猿なので少し怖かったのですが、基本的にはテングザルはとても大人しい性格で争いを好まないとのことですので、人間に襲いかかってくる事もないそうです。
保護区のスタッフが餌を持って来ると、どこからともなくテングザル達が現れ、餌に食いつきます。プラットフォームAの方はBよりもテングザルの餌付けに場所が遠い距離にあるという事でしたが、それでも近距離で見る事が出来たと思います。
餌がなくなると猿たちはどこかに消えていってしまうので、折を見てプラットフォームBに移動します。次の餌付けの時間まで持て余してしまうので、プラットフォームBの前にあるレストランで、時間つぶしに飲食するのがおすすめです。