秩父の中でもとりわけ強力なパワースポットである秩父三社。三峯神社、秩父神社ともう一つが、今回ご紹介する「宝登山(ほどさん)神社」です。日本武尊(やまとたけるのみこと)が山火事にあったときに、どこからともなくあらわれた犬が道案内をしてくれた・・・そんな伝説の残る地に創建された神社です。この伝説から火にまつわる神様もいらっしゃいますが、実はいろんな神様がいるとってもオールマイティな神社なんです。
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宝登山(ほどさん)神社って?
秩父の中でもとりわけ強力なパワースポットが秩父三社といわれています。三峯神社、秩父神社、そしてここ宝登山(ほどさん)神社の三社です。
宝登山神社を創建したのは、日本武尊(やまとたけるのみこと)。日本武尊は神話の中で、日本を津々浦々戦い歩いた神様です。これから新たな戦いに行く前に、山がご神体である宝登山に登ろうかと考えます。ところが運の悪いことに、登山中に山火事にあってしまいます。どこに逃げたらいいのか、炎で行く先も見えない時に、一匹の犬がやってきて道案内をしてくれました。
このエピソードから、火を止める山「火止山(ほどやま)」と呼ばれ、後に現在の名前である「宝登山(ほどさん)」に変わりました。「宝に登る山」ということでとっても縁起のいい名前です。
そんな伝説からか、火にまつわる神様も多いですが、実はいろんな神様がいるとってもオールマイティな神社なんです。それでは境内をご案内して参りましょう。
本殿
こちらが宝登山神社の本殿。宝登山神社の中ではとっても豪華絢爛な社殿です。とってもお金をかけたように思えますが、実はとっても苦労して造られたんだとか。
この本殿は、明治維新という激動の時代、経済も不安定な時代になんとか費用を捻出し、費用の可能な範囲で、できるだけ豪華に見せようと工夫をこらして造られたものです。そんな苦しい時代に造られたとは思えないほど、本殿の装飾はとっても豊か!
予算の範囲でできる限りの装飾を・・・と、本殿には様々な彫刻が施されています。平成になって、これらに彩色が施されました。
これらの素晴らしい彫刻の中には、中国の逸話がモチーフになっているものもあります。その彫刻と、モチーフとなっている中国の逸話をいくつかご紹介しましょう。
剡子(ぜんし)のお話
剡子(ぜんし)には、眼を患った親がいました。当時、目を治すには鹿の乳が薬になると言われており、両親は子供の剡子に「取ってきて欲しい」と頼みます。
乳を取るためには、おびえさせないように鹿に近づく必要があります。そこで、考えた剡子は鹿の皮をまとい、群れに入っていきました。
「ようしうまくいくぞ!」と思ったのもつかの間、そこに猟師がやってきます。あわや剡子を矢で射ようとしましたが、猟師に狙われていると気づいた剡子が「本物の鹿じゃないですよ。親がかくかくしかじかで目が悪いので、乳を取りにきました」と説明し、猟師を納得させ、無事乳を手に入れることができた。という親孝行のお話です。
楊香(ようこう)のお話
楊香(ようこう)がお父さんと山に行くと、目の前に虎が現れます。2人に虎が襲い掛かろうとしたとき、楊香が「どうか私を食べてください。その代わり、父を助けてください!」とわが身を犠牲にしてお父さんを助けようとしました。虎はその崇高な精神にひれふし、逃げて行ったというお話です。
張良(ちょうりょう)のお話
ある日、張良(ちょうりょう)の前にボロを着た老人が現れます。老人は自分の靴をポイっと放り投げると、「おい、お前取って来い」と命じました。さすがに張良はイラッとしましたが、相手は年配の人なのでぐっと堪えて靴を取ってきました。
すると老人はさらに傲慢に「履かせろ」と言って足を張良の前に差し出します。「変な人に絡まれたな~」と思いながらも、この老人につきあってやるか・・・というおおらかな気持ちで対応することにしました。
すると、その老人が張良に貴重な兵法書を渡してドロンと消えてしまいます。そして張良は後に優秀な軍師となりました。
宝玉稲荷神社(ほうぎょくいなりじんじゃ)
倉稲魂命(うかのみたまのみこと)を祀るお宮です。稲荷信仰でよく祀られるのがこの神様。神徳は五穀豊穣を司り、「お稲荷さん」で有名な伏見稲荷大社や豊川稲荷もこの神様が祀られています。
そもそも稲荷とは、読んで字の如く「稲」関係の神様です。つまりは食べ物との関係が深いということ。古代の日本では「食」は「うけ・うか」と読み、食繋がりで、稲荷神社に祀られるようになったと言われています。