島根県松江市の大根島は、県花にもなっている牡丹(ボタン)の花の日本一の生産地です。その起源は約300年前にあり、現在では島内に牡丹畑が広がるのどかな景色と共に、牡丹の花を年中見ることのできる施設が見所となっています。
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大根島で栽培される牡丹(ボタン)の花とは?
島根県の県花にも指定されている牡丹(ボタン)の花は、松江市内にある大根島という陸続きの島で栽培されています。その生産量なんと日本一!近年では、2018年の日仏修好160年を記念して、フランスの印象派画家モネの絵『牡丹の庭(Peony Garden)』で描かれた牡丹のある風景を再現しようと、フランスへの輸出も活発化しています。
大根島の牡丹栽培の歴史
花径20-30cmの大輪の花を咲かせ、その姿はまさに豪華絢爛な牡丹の花。この花の栽培が始まったのは、約300年前。大根島にある全隆寺の住職が遠州(静岡県)の秋葉山に修行に行った際、牡丹を薬用として持ち帰り、境内に植えたのが始まりとされています。
その後島内の農家に普及し、約60年前に芍薬の苗に牡丹の芽を継ぐ新しい技術が開発され、全国に牡丹の花が出回るようになりました。現在は松江の大根島産牡丹として欧米や台湾など海外に輸出もされており、その美しさが高く評価されています。今回は、松江市の中心地から車で20分、大根島の「由志園」と、周辺の立ち寄りスポットをご紹介します。
山陰最大級の池泉回遊式の日本庭園 由志園!
大根島島内には様々な牡丹施設がありますが、中でも1年中牡丹の花を見られることで有名なのが日本庭園・由志園(ゆうしえん)です。
由志園は、専属の庭師によって整えられた日本庭園があったり、池の周りをぐるりと季節の花々(例えば、つつじやシャクナゲ、アジサイや山茶花(さざんか)、梅や桜など)が咲き誇るなど、遊歩道上の散策を楽しめる人気スポットです。秋の紅葉の見ごろの時期を迎えると、庭園全体が黄色や赤に染まります。
屋外に咲く牡丹は春と冬に楽しめる
牡丹の花を鑑賞するのに一番人気のシーズンは、牡丹の花が見ごろを迎える春、4月下旬~GWです。ピンクや桜色のぽってりとした花びらの牡丹が咲き乱れ、園全体が牡丹の甘く艶やかな香りに包まれます。
日本庭園の心臓部にある池や小川などには、約3万輪もの牡丹の花が水に浮かべられます。その光景は、まるで色とりどりの絨毯が一面に敷き詰められたかのようで圧巻です。
大根島の牡丹農家では冬に咲く牡丹の栽培も盛んに行われており、冬の季節には「冬牡丹」の鑑賞を楽しむことができます。また、「寒牡丹」は春と冬に咲く品種で、冬は葉を出さずに咲くのが特徴です。
このように由志園の屋外庭園では、春と冬、牡丹の花々と日本庭園が織りなす風景を楽しむことができます。また、それ以外の季節には屋内にて常に見頃を迎える牡丹の花を鑑賞することができます。
屋内では牡丹の花を1年中楽しめる
特別な技術と管理により、1年を通じて牡丹の花が見られるのが由志園の特徴。とりわけ園内の屋内施設に行ってみると、季節や天候に関わらず、一年中・オールシーズンで牡丹の花を観賞することができます。屋内の施設は温度管理が徹底されており、苔むした岩のほとりに流れる小川沿いに自慢の牡丹が花をつける姿なども鑑賞できます。
牡丹の香りに包まれた屋内を歩くと、爽快な気分になります。
庭園を一望することができる茶房「一望」
順路に従って園を一通り回ったら、本館に戻ります。そこでは、茶房「一望」にぜひお立ち寄りください。ほぼすべての座席が窓側となっており、池を含む日本庭園の奥行を感じる、素晴らしい眺めを堪能することができます。
こちらの茶房では、地元の自家焙煎珈琲や由志園オリジナルの高麗人参珈琲、御抹茶など地元の素材にこだわった1杯を頂くことができます。飲み物以外にも自家製抹茶ババロア入りの抹茶あんみつやアフォガードなど和・洋菓子が絶品です。
- 由志園
- 島根 / 庭園 / 絶景 / インスタ映え / 紅葉 / 花畑(4月) / 花畑(5月) / 花畑(6月) / 花畑(7月) / 花畑(8月)
- 住所:島根県松江市八束町波入1260-2地図で見る
- 電話:0852-76-2255
- Web:https://www.yuushien.com/
牡丹の花の酢漬けと共に頂くうなぎ処「山美世」
ここからは「由志園」を訪れたらぜひ立ち寄りたい場所をご案内していきます。
明治時代に松江市に住んだアイルランド人作家、ラフカディオ・ハーン(日本名:小泉八雲)は日本食が苦手だったようですが、うなぎは好物だったと伝えられています。そんな小泉八雲も愛したうなぎが食べられるのが、大根島の付け根にあたる地区にあるうなぎ処 山美世です。
甘辛いうなぎのタレと香ばしくカリッと焼かれたうなぎの相性が抜群で、まさに至福のひととき。またうなぎ丼定食には、牡丹の開花シーズン(4月下旬~5月中旬)限定で牡丹の花の酢漬けがついてきます。花の甘く華やかな香りはそのまま、キャベツのような歯ごたえがあり、うなぎ丼との相性抜群です!
- うなぎ処 山美世
- 島根 / 和食 / ランチ
- 住所:島根県松江市八束町江島1128−10地図で見る
- Web:http://yamamise-unagi.com/
その他のスポット:インスタ映えで話題に!ベタ踏み坂!
大根島の牡丹を見て、おいしいうなぎを食べたらぜひ立ち寄っていただきたいのが江島大橋(えじまおおはし)、通称・ベタ踏み坂です。先に紹介したうなぎ処 山美世のすぐ目の前にあり、うなぎ処 山美世を一歩出ると、カメラや携帯電話を抱えてシャッターを切る人たちを見かけることでしょう。
ベタ踏み坂は急勾配の陸橋になっており、坂を上ると車も道も消えて見えることから、インスタ映えスポットとして全国的に話題となっています。あなたもぜひ話題の場所で、一枚写真を撮ってみませんか?
まとめ
いかがでしたか?1つの小さな島で日本一の牡丹の生産が行なわれている大根島。もちろんベストシーズンは、牡丹の花が咲き乱れる4月下旬~GWなのかもしれませんが、それ以外の季節でも日本庭園の美を味わったり、温室で牡丹が生み出す艶やかな世界観に触れることができます。ぜひ、山陰旅行の際には立ち寄っていただきたいスポットです。