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④登山中のルールとマナー
法律で禁止されている行為
動植物の採取禁止
登山中に花や実を採ったり、昆虫採集は禁止されています。登山道を外れて歩くと貴重な生態系に影響を及ぼすため、登山道以外は歩かないようにしましょう。
溶岩や石の持ち出し禁止
小石の持ち帰りや、移動することも禁止されています。
落書きの禁止
建造物や、岩、石への落書きはしてはいけません。
テント設営やたき火の禁止
宿泊は基本、山小屋でのみ許可されています。テントを設営する場所は設けられていません。また、バーナーやコンロは、火災を起こすおそれがあるため、山小屋周辺や人ごみを避け、周囲に注意して使用するようにしましょう。たき火は禁止です。
ペット等の放し飼い禁止
特別保護地区内では、動物の放し飼いをしてはいけません。山小屋内にペットを入れることやペット連れの登山は、原則として禁止されています。
登山におけるマナー
ゴミは絶対捨てずにすべて持ち帰る、トイレなどの公共施設はきれいに使うなどの基本的なマナー以外に、以下のようなマナーがあります。
登山道は登りが優先
富士宮ルートの全線、御殿場ルートの上部は、登山道と下山道が同じコースとなっています。狭い登山道では原則、登りを優先し、お互いに譲り合いましょう。
無理な追い越しはしない
混雑するシーズンには、八合目~山頂付近で登山道が渋滞する場合がありますが、無理な追い越しはしないようにしましょう。先を急いで無理に追い越そうとすると登山道をはずれ、特に夜間は転倒や落石の原因ともなるため大変危険です。
落石を起こさない、落石を起こしたら大声でまわりに知らせる
登山道の端を歩くと、小石が落下しやすくなります。できるだけ、登山道の内側(山側)を歩くようにしましょう。自分が落石を起こしてしまった場合には、いち早く、周囲の人に大声で「落石!」と叫んで知らせてください。また、落石注意の看板がある箇所では休憩しないようにしましょう。
ケガ人や助けを求めている人がいたら、救助に協力する
登山中は自分自身に余裕がないかもしれませんが、緊急の場合には助け合うことが大事です。山小屋への連絡や応急措置など、協力しあうことで大事に至らずに済むこともあります。
ストックの先端にはキャップを
キャップをはずした状態で使用すると、登山道を傷め、崩落にもつながります。また、富士山の登山道は混雑しているため、尖った先端が周囲の人への凶器になる可能性があります。
小屋前の休憩は静かに
夜間の小屋の中では、睡眠を取って休んでいる人が大勢います。小屋前での休憩は騒がないようにしましょう。
鳥獣の巣を見ても近づかない
鳥獣保護区内では鳥獣の生息、繁殖に影響を与えないよう、巣を見つけても近づかないようにしましょう。
⑤山小屋について
事前予約がおすすめ
週末の山小屋は、どこも満員状態の場合が多いため、事前に必ず予約しておくことをオススメします。やむを得ず宿泊できなかった場合にも、必ず連絡をしましょう。
寝る、休むという必要最低限のことが目的のスペース
山小屋は、ホテルや旅館のイメージとは違います。小屋によっては、二段ベッドでカーテン付きというタイプもありますが、基本的には寝る、休むという必要最低限のことを目的としている施設なので、仕切りのない大広間での雑魚寝が一般的です。混雑時は隣の人と触れ合うほどの距離で寝ることになるので、気になる方は、耳栓やアイマスクを持っていきましょう。
山小屋の着替える場所
山小屋には更衣室や浴室、洗面室などの設備がないため、着替えが必要な場合にはトイレや布団の中で着替えます。女性の場合は、女友達に協力してもらいながら、死角をつくってみるなどの工夫も必要です。
山小屋で買えるのもの
菓子類や飲料を始め、食堂がある山小屋では軽食を注文することができます。また、登山の記念となる登山杖への焼き印(200~300円)も人気です。各山小屋で焼き印を押してもらい、登山杖を真っ黒にして下山した強者もいます。
携帯電話など電子機器の充電はできない
携帯電話やデジカメなどの充電サービスは行っていません。これは、自家発電をしており、使える電力に限りがあるからです。充電をしたい方は、モバイルバッテリー等をご持参するといいでしょう。
⑥高山病について
富士登山で登頂を目指せなくなる最も多い理由のひとつが、高山病だそうです。高山病は、血中の酸素濃度が下がって発症する症状です。発症の程度や発症するかどうかは個人差が大きく、発症しづらい人でも寝不足や体調によっては発症したりと、誰にでも起こりえます。高山病の予防法・対処法を知り、安全で快適な登山を楽しみましょう!
主な症状
疲労感、脱力感、頭痛、めまい、食欲不振、吐き気、嘔吐などです。また、脳浮腫や肺水腫といった死に至る病気を併発することもあります。また物事への反応も鈍ってくるため、登山中には仲間同士で声の掛け合いを積極的に行うと早期発見につながる可能性も高まります。
効果的な予防策
- 出発前に、五合目付近の標高で1時間から2時間程度休憩し、高度順応する
- ゆっくりした一定のペースで歩く
- 定期的に5~10分ほど(体が冷えない程度の時間)の短い休憩をとる
- こまめな水分補給(トイレを我慢したり、水分を控えると新陳代謝が低下し、高山病の症状が発症しやすくなるため)
- お腹からしっかりと息を吐き出す深呼吸(特に、吐くことを意識してください)
- 体を締め付けすぎる服装は深呼吸しづらくさせるので、避けましょう
- アルコールの摂取は、呼吸を抑制するので避けましょう
高山病になってしまった時の対応
症状がひどい場合は、勇気をもって下山しましょう。高度を下げることがなによりの対応策です。また体を暖かくして休んで様子を見て、もし体調が悪化したときは、救護所へ行き処置してもらいましょう。