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【東京】村上春樹ライブラリー(早稲田大学国際文学館)の歩き方

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:43都道府県

2021年11月24日更新

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写真:熊猫

世界に多くのファンを持つ作家、村上春樹さんのライブラリーが2021年10月に開館しました。村上春樹作品をはじめ、村上さん所有のレコードやCDなどが所蔵されています。村上春樹ライブラリーの見どころをご紹介します。

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早稲田大学の早稲田キャンパスに「村上春樹ライブラリー」がオープン

早稲田大学、早稲田キャンパスは皇居から見て北西の新宿区早稲田エリアにあります。その早稲田キャンパスの旧4号館の建物に2021年10月1日(金)、「早稲田大学国際文学館」、通称「村上春樹ライブラリー」がオープンしました。世界に多くのファンを持つ村上春樹さんの関連資料を収蔵するとともに、国際的な文学研究の拠点を目指しています。

  • 写真:熊猫村上春樹ライブラリーの外観。

地下1階、地上3階建ての村上春樹ライブラリーは、世界的な建築家である隈研吾氏によってデザインされ、圧倒的な存在感を示す外観と美しい内装が印象的です。とりわけ異彩を放っているのが、外観に配された流線形のトンネル。トンネルを潜り抜けることで、村上ワールドに誘うという同館のシンボリック的なモニュメントです。

なお改築の総工費約12億円は、㈱ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長、柳井正氏の全額寄付によるものとなっています。

エントランスを入ると村上ワールドが広がる

  • 写真:熊猫村上春樹ライブラリーを象徴する階段本棚。

エントランスから建物に入ると、またもや目の前に巨大な書棚のトンネルが出現します。階段本棚(Stair Bookshelf)と呼ばれる空間で、地下1階と1階をつなぎます。その階段本棚は、まるで現実と非現実を行き来する村上ワールドを象徴しているよう。木の温もりが温かい本棚と階段に思わずうっとりすることでしょう。

書棚には様々な本が並んでいます。これらの本はブックディレクターの幅允孝氏が主宰する選書集団「BACH(バッハ)」によるセレクトとのことです。もちろん手に取って読むことも可能です。

【地下1階】の見どころ

上記でご紹介した階段本棚を下りた地下1階は、ラウンジとなります。

『海辺のカフカ』の舞台装置とグランドピアノ

  • 写真:熊猫『海辺のカフカ』で使用された舞台装置。

階段正面の壁には『海辺のカフカ』の舞台で使用された装置が飾られ、その右側後方には村上さんが経営していたジャズ喫茶で使われていたグランドピアノも飾られています。いずれもなかなか目にする機会がない貴重なものばかり。ラウンジでは、書棚の本を手に取ってゆっくりくつろぎながら本を読むことができます。

  • 写真:熊猫村上さんが経営されていたジャズ喫茶で使用されていたグランドピアノ。

ドーナツとコーヒーでくつろぐカフェ

  • 写真:熊猫村上さんが使用されていたテーブルでいただくコーヒーとドーナツは格別です。画像の向こう側に見える本棚も村上さんが使用されたものです。

ラウンジの一角にはカフェ「橙子猫-Orange Cat-」が併設されています。ビッグサイズのドーナツとコーヒーというシンプルなメニューは、いかにも村上さんらしいチョイスです。いくつかテーブルがありますが、おすすめの場所は村上さんが実際に使われたという大きなテーブル。このテーブルの隣には、やはり村上さんが実使用されていた書棚が設置されています。

村上さんの代表作の由来となっているビートルズの佳曲『ノルウェイの森』は、ノルウェイ製の家具について歌われた曲。これらの家具がノルウェイ産かどうかは分かりませんが、村上さんが使われていた家具に触れながらいただくコーヒーは格別です。オープンは10時から17時(平日)、週末は10時から15時となっており、カフェのエリアは予約なしでも入場可能です。

一見の価値あり!村上さんの書斎

  • 写真:熊猫再現された村上さんの書斎は見どころのひとつです。

世界に冠たる村上作品はいかにして生まれたか。その空間を再現した村上さんの書斎もこの階に展示されています。家具などは実際の書斎と異なっているとのこと。でも、その雰囲気は充分に感じられるはずです。残念ながら書斎の中に入ることはできませんが、貴重な展示であることに変わりはありません。

【1階】の見どころ

村上作品はもちろんのこと、村上作品に欠かせない音楽まで、1階には村上ワールドのエッセンスが溢れています。

村上ワールドの音楽が聴けるオーディオルーム

  • 写真:熊猫ゆったりした空間でくつろぎのオーディオルーム。

村上ワールドの大きな特徴といえば、豊富なレコードコレクションに基づく音楽ではないでしょうか。ライブラリーの1階に設けられたオーディオルームは、文学作品以上に貴重な資料が集められています。

見どころのひとつは村上さんが寄贈されたレコードの一部。ビンテージチェアに腰かけ、重厚なオーディオで聴くサウンドはまるで心が浄化されるようです。村上さんの自室にあるオーディオシステムも飾られており、五感で村上ワールドを体現することができます。

  • 写真:熊猫村上さんが寄贈したLPレコードが展示されています。

村上作品がコンプリートされたギャラリーラウンジ

  • 写真:熊猫村上作品を網羅した画やラリーラウンジの様子。

1階には村上さんの全作品が集められたギャラリーラウンジが設けられています。貴重な初版本や海外で出版された翻訳本も飾られており、実際に手に取って読むことができます。質量とも膨大な作品群が一堂に介するのはここだけしかないでしょう。なお、ギャラリーラウンジを出て左手の突き当りの壁には、村上さんの著作年譜が詳細に記載されています。

【2階】の見どころ

  • 写真:熊猫2階の展示室で開催の企画展「建築のなかの文学、文学のなかの建築」の様子。

2階の展示室は村上作品だけに留まらず様々な企画展が催される空間が用意されています。開館直後の第一弾は「建築のなかの文学、文学のなかの建築」です(2021年10月1日~2022年2月4日予定)。文学だけに留まらず、そこから派生する様々な分野を横断的に研究する試みは、懐の深い村上ワールドならではの挑戦といえます。

村上春樹ライブラリーで開催されるイベント

この他、村上春樹ライブラリーでは様々なイベントや講演会が随時開催されています。読書研究会やシンポジウム、作家さんが参加する朗読イベントなど来館者参加型イベントが順次予定されています。2021年10月には、村上さんが出演された朗読会なども開催されました。

村上春樹ライブラリーのイベントは、既存のメディアでは観ることが叶わない貴重なものばかり。常にイベント情報をチェックしておく必要があります。

入館にあたって(2021年11月現在)

早稲田大学キャンパス内は一般の人でも出入りは自由で、もちろん村上春樹ライブラリーも早稲田大学関係者でなくても入場は可能です。入館にあたっては事前の予約が必要で専用サイトから受付することができます。入館時間は

  • 午前10:15 ~ 11:45
  • 午後13:30 ~ 15:00
  • 午後15:15 ~ 16:45

の三部制で、一回当たりの定員は40名に制限されています。1度に予約できるのは最大3名まで、入場料は無料です。なお先述した通り、地下1階のカフェは予約がなくても利用できます。入館に際しては、入館前の検温と手指の消毒、そしてマスク着用が求められています。

受付完了メールの画面か印刷したものを1階インフォメーションにて提示すると入館カードを渡されます。あとは制限の時間まで、自由に資料を閲覧することが可能です。

おわりに

本と音楽は旅、いえ人生そのものです。早稲田にまたひとつ、あなたの魂を揺さぶる文化の拠点が誕生しました。ぜひ訪れてみてください。

早稲田大学国際文学館
高田馬場・目白・早稲田
住所:東京都新宿区西早稲田1丁目6 早稲田大学早稲田キャンパス4号館地図で見る
Web:https://www.waseda.jp/culture/wihl/

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この記事を書いたトラベルライター

さすらいびと
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