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日本のお菓子文化はシュガーロード「長崎街道」から始まった

取材・写真・文:

佐賀在住
訪問エリア:33都道府県

2017年9月20日更新

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写真:hithit

シルクロードではなく「シュガーロード」って聞いたことがありますか?江戸時代に九州に整備された脇街道で、外国との唯一の貿易港であった長崎から佐賀を通って福岡県の小倉までを結ぶ、長崎街道の別名が「砂糖の道=シュガーロード」です。当時、出島には海外から様々な物資が輸入されましたが、中でも砂糖は江戸時代中期以降、この長崎街道を通って京都や大阪、江戸へ大量に運ばれて行きました。街道沿いには古くから伝わる独自のお菓子文化が残っています。

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「長崎の遠か」とは、砂糖をケチっている意味の揶揄

16世紀後半(室町時代)にポルトガルからお菓子をはじめとする南蛮渡来の品物が伝えられ、各地の大名などに献上されました。その後オランダや中国との貿易が盛んになると出島には大量の砂糖が輸入されるようになりましたが、庶民の口には簡単に入る物ではなかったようです。

高価な砂糖を使うことはとても贅沢なことで、最高のおもてなしとされたことから、逆に「砂糖が十分に使われていない、少ない」場合を揶揄して、「長崎の遠か」という言葉(九州弁)が生まれたそうです。

長崎街道に沿って様々なお菓子が生まれた

貴重品だった砂糖が大量に運ばれるとともに、南蛮渡来のお菓子に憧れて、街道沿いでは様々なお菓子が作られるようになりました。

カステラの本場、長崎を皮切りに、砂糖と一緒にお菓子の作り方なども伝来していったため、街道沿いの佐賀県や福岡県西部には独特のお菓子文化が育まれ、銘菓がたくさん生まれました。ここではそのいくつかをご紹介します。

カステラ

南蛮渡来品の代名詞のように言われていますが、実はポルトガルから伝わったお菓子をもとに長崎で独自にアレンジした和菓子。カステラの名前の由来には諸説ありますが、長崎の名産品として全国的に有名ですよね。

金平糖

語源はポルトガル語で球状のお菓子という意味のconfeito(コンフェイト)で、古くは戦国時代にポルトガル人の宣教師が織田信長に献上したという記録が残っているほか、江戸時代でも主に大名などへの献上品として流通していました。

最初は長崎周辺で作られていましたが、その後日本全国に広まり、庶民の口に入るようになったのは、だいぶ後のことです。

昔の宿場町の姿を残す塩田宿

長崎の出島から約65キロ(昔の人の足で約2日)のところにあるのが長崎街道の宿場町、塩田宿です。ここは川の要所としても栄えた場所で「塩田津」とも呼ばれました。その街並みが嬉野市の塩田地区に保存されています。

ここからさらに佐賀へ向かう街道沿いで昔から愛されてきた銘菓、金華糖逸口香が今も作られています。

  • 写真:hithit
  • 写真:hithit

金華糖(きんかとう)

  • 写真:hithit手で着色しているのでひとつひとつ顔が違います。鯛と海老の2つ入り1パック500円
  • 写真:hithit代々受け継がれている型

ポルトガルから伝来した有平糖(あるへいとう)がルーツと言われる金華糖は、ぶくぶくと泡立つほど熱した砂糖を、素早くかき混ぜて白濁させた状態で型に入れ、冷やし固めて作ります。

原材料は砂糖のみで、カチカチに固まった砂糖は日持ちがする上に料理にも使えることからお祝いの品として重宝されてきましたが、最近では作り手も減っているそうです。佐賀では縁起物の松などの飴細工と組み合わせて「寿賀台」とも言います。

  • 写真:hithit大きな物は30㎝くらいの鯛などもあります
  • 写真:hithit裏から見るとこんな感じ
馬場菓子店
佐賀 / スイーツ / 和菓子店
住所:佐賀県嬉野市塩田町大字久間乙314地図で見る
電話:0954-66-4925

逸口香(いっこっこう)

  • 写真:hithit歴史あるたたずまい
  • 写真:hithit普通のはまん丸で1個90円。ハート型は1個100円

一見どら焼きのようなこのお菓子を初めて食べた人は必ず「あれ?中身が入ってない!」と驚きます。空洞になったカリカリの生地の中側にごま風味の黒蜜が塗られている素朴な味わいのお菓子ですが、天候などによって出来具合が変わるため、作るのはとても難しいのだそうです。長崎ではひと口サイズの「一口香」がポピュラー。

  • 写真:hithit知らない人はびっくり!のお菓子です
  • 写真:hithitバニラアイスとの相性もGood!
楠田製菓本舗:ホームページ
【閉店】楠田製菓本舗
佐賀
住所:佐賀県嬉野市塩田町久間北志田3363地図で見る
Web:http://www.kusudaseika1923.com

佐賀城下で生まれたソウルフードお菓子

佐賀城を中心に栄えていた佐賀宿も長崎街道の重要な宿場町でした。周辺ではもともと小麦や小豆の生産が盛んだったこと、加えて佐賀城下という環境がお菓子の需要を高めたことから独特のお菓子文化が生まれました。

  • 写真:hithit丸ぼうろの老舗、北島本店
  • 写真:hithit小城羊羹で有名な村岡総本舗。こちらは唐人町店

丸ぼうろ

  • 写真:hithit北島の丸芳露(まるぼうろ)は、1個86円

「ボーロ」とはポルトガル語でケーキのこと。佐賀平野は昔から小麦の生産地だったこともあり、長崎のオランダ人から製法を学んだ菓子職人が、佐賀城下で売り出したのが始まりとされています。カステラとクッキーの中間のような食感で、優しい味わいのどこか懐かしいお菓子です。

鶴屋は創業370年余、北島は創業当初はお菓子屋ではありませんでしたが、320年以上の歴史を持つ、どちらも江戸時代からの老舗です。

鶴屋菓子舗本店:ホームページ
鶴屋菓子舗本店
佐賀 / スイーツ / 和菓子店
住所:佐賀県佐賀市西魚町1地図で見る
Web:http://www.marubouro.co.jp
丸芳露本舗 北島
佐賀 / スイーツ / 和菓子店
住所:佐賀県佐賀市白山2丁目2−5地図で見る
Web:http://www.marubolo.com/

小城羊羹

  • 写真:hithit左側は八頭司伝吉の昔ようかん、右側の箱入りは村岡総本舗

佐賀北部では小豆もたくさん取れたため、砂糖・清らかな水・小豆と羊羹作りの条件が揃っていました。城下町では武家の間で茶道が盛んだったこともあり、そのお茶菓子として羊羹が多く用いられたそうです。佐賀県小城市には小城羊羹協同組合があって、現在25社が加盟しています。

村岡総本舗

百年以上もの羊羹づくりの歴史を誇るこちらのお店。なんと最近人気は「ようかんアイス」(1本195円)。味は、塩あずき、青えんどう、本練、紅練の4種類あり、練乳味のアイスの中にようかんが入っていますが、甘すぎず意外と合います。

  • 写真:hithit「ようかんアイス」(1本195円)
  • 写真:hithit

また、創業当時の建物が「村岡総本舗羊羹資料館」になっていて、見学をすることができます。

村岡総本舗:ホームページ
村岡総本舗 唐人町店
佐賀 / スイーツ / 和菓子店
住所:佐賀県佐賀市唐人1丁目5−45地図で見る
Web:http://muraoka-sohonpo.co.jp/
村岡総本舗羊羹資料館
佐賀 / 雨の日観光 / 博物館
住所:佐賀県小城市小城町861地図で見る
Web:http://muraoka-sohonpo.co.jp/

八頭司伝吉

  • 写真:hithit写真は唐人町店
  • 写真:hithit10個入り540円

昔ながらの伝統的な製法で作られる「小城の昔ようかん」を販売しています。外側は固め、中はしっとりで、甘すぎず食べやすい羊羹です。

八頭司伝吉:ホームページ
八頭司伝吉本舗 唐人店
佐賀 / スイーツ / 和菓子店
住所:佐賀県佐賀市唐人1丁目5−38地図で見る
Web:http://yatojishop.jp/

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http://hithit26.blog.fc2.com/

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