日本で1番大きな湖は言わずと知れた「琵琶湖」。固有種も存在する貴重な生態系を持っている場所です。その海の恵みたちを、おいしくいただける滋賀県の郷土食を、おいしい地酒と共にご紹介します。
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日本一の湖「琵琶湖」の恵み
どこから眺めても、巨大すぎて簡単に「湖」という観念でとらえられない琵琶湖。海でもなく、川でもなく、そこには独自の生態系があります。様々な生き物が生息している琵琶湖ですが、その中でも魚はやはり湖特有のものが多く、普段はあまりお目にかかれないものです。
川や湖の淡水魚は、クセがあって食べにくいのが本当のところ。しかし昔から地元の人々が様々な工夫をこらし、おいしく食べられるようにしたお魚たちの料理は、現在は伝統的な郷土食となりました。そんな琵琶湖の恵みたちと、それをいっそうおいしくいただけるお酒と共に、ご紹介したいと思います。
ビワマス
鮭科の淡水魚ですが、琵琶湖にしか生息しない魚です。2019年の夏に滋賀県「滋賀県立琵琶湖博物館」で「海を忘れたサケ」という特別展で紹介されました。まだまだ謎が多く、全国的に知られていない魚です。
普段は琵琶湖で暮らし、産卵期にはサケと同じく上流をさか上り卵を産みます。そして孵化した稚魚は琵琶湖へと戻ってくるのです。
おいしそうなお刺身!と、思われるでしょうが、実はこれすごく良く出来たサンプルなんです。特別展のビワマスの料理の種類を紹介したコーナーにあったもの。
ビワマスの味の特徴としては、とにかくものすごく脂ののったサケです。今回地元で塩焼きをいただきましたが、見た目は本当にサケと同じ。トロトロのおいしさでした。秋は禁漁なので、天然でおいしいのは夏9月までです。
鮒ずし
滋賀県名物といえば、全国的に有名な鮒ずしです。現存している日本最古の寿司の形と言われています。年々数が減少しているニゴロブナをご飯に漬け込み、乳酸菌の発酵によって酸味をつける熟れ寿司です。
老舗「魚治」
天明四年(1784年)から鮒ずしを作り続けてきた老舗ということで、品質は間違いなしでしょう。本来の漬け方の「本漬け」と、更に酒粕に漬ける「甘露漬」があります。後者の方が臭みが弱くなるそうです。
鮒ずしといえば、臭い食べ物の代表格のように言われていますね。著者も関西に住んでいながら、食べたことがなかったので、今回チャレンジしてみることにしました。甘露漬けだったということもあるのかもしれませんが、思ったより臭いと思いませんでした。でもこればかりは人によると思います。
こちらのお店では、鮒ずしの他に佃煮などがいろいろと販売されています。お茶漬けなど日持ちするものも多いので、お土産におすすめです。
鮎、モロコ、ごり、他
「モロコ」はコイ科の小さな淡水魚ですが、中でもホンモロコは琵琶湖の特産品。最近では漁獲量が少なくなって高級魚の部類に入るとか。
「ごり」というのは特定の魚の名ではなく、一般的にはハゼ科の淡水魚の総称となっていて、琵琶湖では「ヨシノボリ」というシラスみたいに小さい種類のものを指すようです。どれも飴煮のように濃い味付けにされることが多く、お酒にもご飯にも合って食が進みます。滋賀県内の道の駅やお土産物屋さんなどで手に入り、種類もたくさん!シーズン中を狙うと新物に出会えます。