『奥の細道』で有名な松尾芭蕉については、学校で習いましたよね。同じく松尾芭蕉が書いた「石山の奥、岩間のうしろに山あり、国分山という。」から始まる『幻住庵記』には、この地での生活の様子が書かれています。幻住庵を離れてからも「もう一度、幻住庵を訪れたい」と曲水への手紙に記しているように、松尾芭蕉にとって忘れられないお気に入りの場所だったのでしょう。そんな幻住庵で、往時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。きっと一句思い浮かぶはずですよ♪
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幻住庵に行ってみよう!
幻住庵の近くまで行くと「幻住庵」を案内する標識が随所にありますので、目印にしてくださいね。国分交差点付近には、大鳥居があります。
大鳥居から徒歩約5分で近津尾神社に到着します。駐車場方面からも境内に入れますが「幻住庵」のバス停から近津尾神社の表参道の石段を上るほうが風情が感じられますよ。
バス停の鳥居を進むと、12本の榊で作られた結界が。この石段は、なんと150段程ありますが、至る所に地元の生徒の俳句作品が木に飾られています。疲れたら足を止めて、それらの句を読みながら頑張って上ってくださいね。
どうやら地元では、夏休みの宿題で俳句を一句作るのだそう。子供の頃から俳句に親しめていいですよね。
近津尾神社神門(ちかつおじんじゃもん)
近津尾神社に続くこの門は、明治3年、解体された膳所城(ぜぜじょう)の米倉門が移築されたものです。切り妻屋根の薬医門で、屋根瓦には旧藩主本多家の家紋の立葵(たちあおい)が見られます。
近津尾神社
国分山の中腹に近津尾神社があります。松尾芭蕉が滞在した時代には、近津尾八幡宮だったそう。「神体は弥陀の尊像とかや」と『幻住庵記』に書かれています。境内にはお手洗いもありますので、ごゆっくりとお参りなさってくださいね。
境内には、他にもお社などが建っています。
幻住庵門
幻住庵に続くこちらの門は、復元された立派な門です。
幻住庵
幻住庵は、『奥の細道」の旅の翌年の元禄3(1690)年4月6日から7月23日までの約4ヶ月の間、松尾芭蕉が住んでいた所です。
元々は、社務所の近くの椎の木辺りに建っていたのを、平成3(1991)年に少し離れた上部へ新たに建設されました。
茅葺き屋根が印象的な庵内は、自由に見学することができます。6畳と4畳半の部屋が2間あります。畳に腰掛けると、まるで松尾芭蕉が今なお住んでいるかのよう。
縁側から見える木々の向こうのほうに、大津市の街が望めます。近江ののびやかな自然を愛した、松尾芭蕉の気持ちがよくわかります。
幻住庵には4種類のスタンプも置いてあるので、ご自分のメモ帳などに押すと思い出になりますね。また投句箱も置かれていますので、ぜひ一句。
幻住庵の俳句コンクールがあって、年に4回締切があり、審査されるそうです。入賞すれば選句集が住所地へ送られてきて、年間優秀作品は10月第1日曜日に表彰されるそうです。地元の人々による盛大な幻住庵祭りのその日には神事も執り行われ、有料のお茶会もあるそうですよ。
『幻住庵記』碑
幻住庵の階段を降りたところにあります。『幻住庵記』の全文が陶板に書かれています。
『幻住庵記』の結びの句・・・「先づ頼む椎の木も有り夏木立」。なるほど、周辺には椎の木が多く残っています。
散策路には、幾つかの陶板句碑がはめ込まれたフットライトが建てられています。
とくとくの清水
『幻住庵記』に「たまたま心まめなる時は、谷の清水を汲みてみづから炊く。とくとくの雫を佗て、一炉の備へいとかろし」と述べられている清水で、飲めないようですが、今でも澄んだ清らかな水が湧き出ていて、ここからせせらぎが流れています。
せせらぎ散策路
とくとくの清水付近の情緒あふれる散策路です。水の流れる音を聞きながら木立の中を歩くと、清々しい気分になれますよ。
周辺のオススメスポット
国分聖徳太子堂
松尾芭蕉も見たであろう大津の町並みや琵琶湖が一望できるスポットが、近くにありますよ。約150段の石段を登らなくてはいけないのですが、2分ほど頑張れば、登りきった広場の中央にお堂が建っています。中には滋賀県認定文化財の聖徳太子二歳立像が祀られていて、お賽銭箱など置かれています。
広場には、赤と白の椿の木や桜の木も植えてあるので、それらが咲く時期には綺麗だと思います。そして琵琶湖が一望できて見晴らし抜群!開放的な気分になれること間違いなしです。
ほら前の礎石(通称:へそ石)
幻住庵から徒歩約7分の所にあります。実際に使われていたかどうかは不明だそうですが、その大きさからお寺などの塔の心中を支えていた礎石ではないか、と言われているそうですよ。存在感のある礎石ですので、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
- ほら前の礎石(へそ石)
- 滋賀 / その他スポット
- 住所:大津市国分2丁目保良宮跡地図で見る
おわりに
幻住庵は、ひっそりと建ち、観光客がドッと押し寄せるというわけではありませんが、それでも訪れる人は絶えません。管理員によると観光バスで大勢の方がいらっしゃることもあるそうですし、外国人も訪れるそうですよ。松尾芭蕉を偲びながらごゆっくりと散策なさってくださいね。
- 幻住庵
- 滋賀 / 歴史的建造物
- 住所:滋賀県大津市国分2丁目-5,幻住庵地図で見る
- 電話:0775333760
- Web:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/947