オーストリア料理の名物と言えば、薄くて大きい「ウィーン風カツレツ」でしょうか。しかし、「ターフェルシュピッツ」という料理も名物中の名物!日本ではなじみのない名前で、どんな料理かさえ想像がつきませんが、オーストリアでは、その昔、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が好物としてよく食べていたことで、市民もあやかって食べるようになったという歴史ある食べ物です。今回はこのターフェルシュピッツをご紹介しながら、これを美味しくいただける名店をご紹介します。
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ターフェルシュピッツとは?
ターフェルシュピッツ(Tafelspitz)は、実は牛のお肉の名前。牛のお尻と太ももの一番上の間のお肉を、ターフェルシュピッツというのです。この部位の塊を長時間野菜と共にブイヨンで軟らかく煮たお料理が、今回ご紹介する「ターフェルシュピッツ」です。
とてもシンプルな調理法だからこそ、おいしいか、そうでないかがはっきりわかってしまうのがこの料理。おいしいレストランだと、牛肉の柔らかさも絶妙、そしてお肉・ブイヨンの味がとっても美味しいのです。
全然しつこい味ではなく、さっぱりと食べられるお料理で、お肉は付け合せのソースと一緒に食べると味に変化が付き、いくらでも食べられるものです。また、お肉を煮たブイヨンもあっさりとした味で、いくらでも飲めてしまうくらいおいしいです。(あっさりしていて食べやすい、そして栄養もあることから「病院食」としても食べられているのだとか!)
- 出典:www.flickr.com#dinner preparation: den schaum vorsichtig mit einem kleinen sieb vom köchelnden #tafelspitz abschöpfen by horax zeigt hier
おうちでも作れるものなのだそうですが、煮込むのに時間がかかるのと、やはり素材の質がダイレクトに響くので、なかなか美味しく作るのは難しい、のだとか。
ターフェルシュピッツの名店、「プラフッタ」
プラフッタ(Pluchutta)はこのターフェシュピッツの名店です。各国から要人がオーストリアを訪問するときには、このプラフッタでお食事をすることも多いのだとか。
このプラフッタでは、「シンプルな調理法で、おいしいターフェルシュピッツを提供する」ため、牛を育てる環境にまで配慮した、小さな家族経営の農場からの牛肉を使うというモットーを掲げています。
「ターフェルシュピッツ」にも色々あり…
ターフェルシュピッツは牛のお尻と太ももの一番上の間のお肉のことですが、「ターフェルシュピッツ」という料理名は「牛肉の煮込み」という意味でも使われます。そして使われているお肉の部分でお値段も違ってきます。今回紹介するレストラン「プラフッタ」のメニューを見ると、沢山の「牛肉の部位」がずらり…。
KAVALIERSPITZ 肩肉のジューシーな部分 €20,40(約2,600円)
SCHULTERSCHERZEL – 肩肉で霜降りの部分 €21,40(約2,800円)
GUSTOSTÜCKERL – 赤身と霜降り部分から3切れ選択 €23,40(約3,000円)
TAFELSPITZ – 牛のお尻と太ももの一番上の部分 €23,80(約3,100円)
TAFELSTÜCK – 低脂肪な部分 €21,30(約2800円)
MAGERES MEISEL – 肩肉で脂肪分が少ない赤身の部分 €20,50(約2,700円)
WEISSES SCHERZEL – 後ろ足の赤身で低脂肪の部分 €20,90(約2,750円)
HÜFERSCHWANZEL – 骨付きの尻肉の部分 €20,70(約2,730円)
BEINFLEISCH – あばら肉で脂がのっている部分 €19,50(約2.570円)
PÖKELZUNGE – 塩味のついたタン €18,20(約2,400円)
今回はもちろん、お店一番のオススメである「ターフェルシュピッツ(TAFELSPITZ)」の部位をオーダー。(1人前で十分に2人分ありますので、オーダーのしすぎに注意!)
ターフェルシュピッツの食べ方
まず飲み物と一緒にパンが運ばれてきます。このパンもとても美味しそうです…。
どれも美味しいパンなのですが、たくさん食べないようにしましょう!ターフェルシュピッツのために、胃袋の空間を確保!
ターフェルシュピッツは、写真のように鍋ごと運ばれてきます。これだけでテーブルいっぱい。まるで、宮殿の中にいるかのように、サーバーの方々が色々とセッティングをしてくれます。
今回は一般的な食べ方をご紹介します(レストランには食べ方の案内も英語・ドイツ語であります)。
1)まずは、スープを味わいましょう。
スープの具にはヌードル(€2,90 約380円)をトッピングしました。日本語から想像する「ヌードル」とは違い、クレープ生地のような「ヌードル」です。スープがクレープ生地に沁みこみ、噛むごとに美味しい味が口の中に広がります。
こちらの具はセットについてませんので、メニューのサイドディッシュの欄から好きなSoup filling(スープの具)を選んでオーダーしてください。
2)トーストを食べる
セットにはトーストがついていますので、牛肉の「骨髄」の部分をバターやジャムのようにトーストの上に塗り、塩コショウをして食べましょう。
ドロッとしていて、脂身が多いので、カリカリに焼かれたトーストによく合います。
3)いよいよお肉!
鍋からお肉を取りだし、2つのソースを付けて食べたり、付け合せの野菜と一緒に食べましょう。
2つあるソースのうちの一つは、白い、クリーム状のソース(写真右)。チャイブ(根菜)が入っています。もう1つはすりおろしリンゴの中に西洋ワサビが入った、甘酸っぱく、時々ピリっとするソースです(写真左)。
お肉の味がとてもあっさりしているので、どちらか一方のソースを付けてもよし、両方のソースを付けてもとてもおいしいです。
また、付け合せの「カリカリに焼かれたポテト」と「ほうれん草のソテー」もとても美味しいです!テーブルに運ばれてきた「ターフェルシュピッツ一式」はとても大きいものに見えてしまいますが、スープも、牛肉も、付け合せも美味しいので、夢中になってあっという間に平らげてしまいますよ。
最後に
こちらのプラフッタ、ウィーンの地元の方々も認める名店中の名店なので、予約は必須。予約はオンラインからもできますので、ウィーンに行く日が決まったら、ぜひ旅行出発前に予約をしましょう。テラス席もとても気持ちいいですよ!
- 出典:www.flickr.comWiener Schnitzel bei Plachutta by demarsay
また、この「プラフッタ」はターフェルシュピッツの名店なのですが、ウィーン風カツレツ(€21.70、約2,860円)もとても美味しいようで、周りの方々にはウィーン風カツレツもとても人気でした。ぜひ、ウィーン風カツレツも食べてみてくださいね。
プラフッタ店舗情報
今回の記事はヴォルツァイレ(WOLLZEILE)店にて取材。プラフッタは他にもウィーン市内に2店舗ありますので、サイトで確認をしてください。
- 営業時間:11:30~24:00
- 予約はこちらからどうぞ。
- プラフッタ(ヴォルツァイレ店)
- オーストリア / 洋食・西洋料理
- 住所:WOLLZEILE 38 1010 VIENNA地図で見る
- 電話:01-512-15-77
- Web:https://www.plachutta-wollzeile.at/
※記事中のユーロから日本円への換算は2017年11月現在のレートを使用しています。