日本を代表する高地の湿原帯、尾瀬。尾瀬は気軽なハイキングコースと思われていますが、自然保護のために様々なルールがあります。そんな守るべきルールと、尾瀬を歩くために必要な装備、そして尾瀬を堪能する欲張りコースを紹介します。
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夏が来ると思い出す?
尾瀬と言えば、ほとんどの人が「夏がくれば 思い出す♪ はるかな尾瀬 遠い空♪」の歌詞が反射的に浮かぶのではないでしょうか。この超有名な曲「夏の思い出」の舞台、尾瀬は、福島県・新潟県・群馬県の3県にまたがる地域で、日本を代表する高地の湿原です。
今回は、初めて尾瀬に行く人向けに、尾瀬で守るべきマナーと服装、そしてがっつり満喫するコースをご紹介します。
まずは知ってほしい尾瀬のルール
尾瀬は、国が定めた公園、いわゆる「国立公園」で、さらに「特別保護地区」の指定を受け、さらにさらに国際的に重要な湿地を保護するための条約である「ラムサール条約」に登録されています。尾瀬は日本でも有数の植物の宝庫であり、その自然を守るために様々なルールが設けられています。尾瀬に行く前に、まずは絶対に守るべきルールを覚えてくださいね。ちょっと長くなりますが、大事なのでしっかり読んでくださいね!
湿原には入らない
尾瀬といえば、ながーく続く木道がイメージとして浮かぶ人も多いのでは?尾瀬の湿原を保護するため、木道が設けられていますが、なんと総距離は65km!
もし湿原に入ってしまったら、どれだけ自然にダメージを与えるかご存知ですか?たとえば湿原を5cmほど踏みつぶしてしまったとします。もとの位置まで湿原が戻るのが、なんと約70年後!湿原は1年間に約0.7mm程度しか成長しません。そのため、尾瀬の全域に木道が設けられています。
木道はキープライト
さて、尾瀬の自然を守る木道の大部分は、並行して2本設けられています。尾瀬は「右側通行」が大原則。まわりに人がいないときはこの限りではありませんが、右側通行を守るようにしましょう。
ちなみに、この「右側通行」は尾瀬ルールです。山によって左側通行のところもありますが、尾瀬は「右」です。
ちなみに、登山用のストックを使用される方もいるかもしれません。木道をストックでつくと木道自体も痛みが進むので、ストックの先にはキャップを付けるようにしましょう。
採らない・持ち込まない
尾瀬では動植物の持ち込み、持ち出しは厳禁です。違反すると、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金ですよ!尾瀬は特別保護地区に指定されていて「自然公園法」という法律によって守られているんです。
そんなわけで、尾瀬では靴底の土にも気を使います。靴底に付着した土には尾瀬には生えない植物や小さな生き物が含まれているかもしれません。尾瀬の登山口に入る前に、靴底の土を極力落とすようにしましょう。
ゴミは持ち帰る
尾瀬に限った話ではありませんが、登山では基本ゴミは自分で持ち帰ります。当然尾瀬でも同様です。リュック内でゴミを持ちたくない!という人には、リュックの外に取り付ける防水性のある素材できたゴミ袋も売っています。液漏れの心配のあるゴミが出た時は、こうした専用ツールを使うと便利ですよ。興味がある方は「ガベッジバック」で検索してみてください。
トイレは有料
これも尾瀬に限った話ではありませんが、登山ではトイレがある場合、たいてい「チップトイレ」と言われる有料トイレです。もちろん、両替機があるわけでもないので、山に行くときは100円硬貨をもっていきましょう。チップトイレは、場所によって異なりますが100円~200円です。もちろんそれ以上払ってもOK。トイレ前に設置されている箱に硬貨を入れます。
というのも、街中にあるトイレのようにインフラが整っている場所にあるわけではなく、山の中にあるトイレなので私たちが考えている以上に維持費がかかるんです。山によっては処分のため人が汚物を背負って下山したり、微生物の活動によって排泄物を分解する通称「バイオトイレ」を使用したりと、私たちが普段生活で使っているトイレとは維持・管理方法が異なります。
天候に注意!
これも尾瀬に限った話ではありませんが、標高の高い地域では、天気が結構コロコロかわります。尾瀬で特に注意すべきは雷。というもの、尾瀬は広大で平らな土地。雷って高いものに落ちますよね。平らな土地にいると、人間に落ちる可能性が高くなるんです・・・!
雷の気配がしたら、なるべく早く湿原から離れて山小屋に避難しましょう。
ボッカさんには挨拶しない
これも尾瀬に限った話ではありませんが、「歩荷(ぼっか)」ってみなさんご存知ですか?
山小屋に物資を届けるために、運搬具「背負子(しょいこ)」に食材や飲料水などが入った段ボールをうず高く積み上げて、人力で運び入れる人たちがいるんです。歩いて荷を運ぶから「歩荷」さんです。写真を見ても身長の倍くらいの高さの荷物を運ぶ姿は衝撃ですよね。
段ボールが崩れたらアウトですから、登山客よりも慎重に重心と体の使い方に気を使いながら歩いています。
山ではすれ違う時に「こんにちは」というのがマナーとされていますが、歩荷さんは例外。大変な気力と体力を使うお仕事なので、挨拶はしません。