東京都に属する小笠原諸島には、父島と母島、2つの有人島があります。父島から定期船で約2時間、南へ約50kmの場所にある母島。人口500人未満の母島は、父島に比べると観光客も少数です。静かな町には、穏やかな島時間が流れ、昼下がりには子ども達が、学年問わず皆で遊んでいる姿を目にします。ガイドさんとまわるトレッキングツアーは、固有植物や絶滅危惧種の生物を説明付きで観察できる貴重な機会ですが、ガイドなしでも散策できる遊歩道が複数あり、自分のペースで自然の中を観てまわれるのも、母島の魅力です。
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母島でトレッキング三昧!
父島同様、母島にも複数のビーチと、トレッキングスポットがあります。父島には、レンタカーを借りたり、ガイドつきでないと入れない森が多いですが、母島では集落から徒歩圏内に、ガイドなしでも自然の中を歩ける遊歩道があります。
今回はオススメの遊歩道2つと、ガイド付き石門コースをご紹介します。
道中では、メジロに似た、眼の周りに黒い三角の縁取りがある特別天然記念物の鳥"メグロ"や、殻が小さくなったかたつむり"オガサワラオカモノアラガイ"などを見ることができます。どちらも母島にしか生息していないので、是非探してみて下さい♪
また、母島のトレッキングスポットは、”遊歩道”と名付けられていますが、場所によっては登山道と思っていた方が良い場所もあります。サンダルなどで行くことは危険です。遊歩道はスニーカーもOKですが、母島の土は粘土質で滑りやすく、トレッキングシューズの方が安心です。
ガイドツアーで訪れる場所へは、必ずトレッキングシューズで行きましょう。山の天気は変わりやすいので、雨具もお忘れなく。
集落から歩いて行ける!最高峰の乳房山へ!(ガイドなしOK)
小笠原諸島、有人島(父島、母島)の最高峰の乳房山は、標高462.6m。定期船「ははじま丸」の到着する元地集落から歩いて行ける距離にあります。山頂からは母島全体、天気の良い日は父島を眺めることができると共に、固有植物の宝庫でもあります。
登りが楽な時計回りで一周するのがオススメです。ゆっくり観察しながら、4時間程で周回できます。
東京都道最南端から歩く!南崎・小富士コース(ガイドなしOK)
元地集落から車で15分程行くと、都道241号線最南端に到達します。そこから続く南崎・小富士コースは、比較的起伏の少ない歩きやすい遊歩道で、小富士には約1時間で到着します。
途中にはワイビーチへと続く分かれ道もあるので、サンダルなど持って行くと良いかもしれません。亜熱帯特有の植物が茂る林を抜けて、小富士頂上からの景色は抜群です!
まるで冒険!石門コースを歩く(ガイド必須)
石門地区は、湿性高木林を主体とした原生林なので、とても貴重な母島だけの固有種が多数生息しています。その為、国立公園の特別保護地区で、小笠原母島東岸森林生態系保護地域でもあります。東京都自然ガイド同伴でなければ、入林することができません。
また、天然記念物で絶滅危惧種のアカガシラカラスバトの繁殖期にあたる10月から2月までは入林禁止期間で、筆者が訪れた3月は尾根ルートのみ入林できました。1日あたりの入林人数もガイド1人につき5人まで、計50人と決まっています。
筆者はビラこぶの木のオーナー星善男さんにガイドをお願いしました。星さんは母島の山、植物の知識が大変豊富です。
今は宿に宿泊した人にのみガイドをしているそうなので、植物好きさんには特にビラこぶの木に宿泊して、ガイドをしてもらうことをオススメします。とても優しい温かい方で、母島のことなら何でも教えてくれます。
ゆったりと流れる島時間に身を置く
コンビニや大型スーパーなどはなく、定期船「ははじま丸」の到着する元地集落に3、4店舗の商店と、数軒の飲食店があるだけの母島。商店は17時過ぎには閉まり、日曜日はほとんどのお店が定休日。
公共交通機関もなく、道路ですれ違う車や人も少ないので、道で出会うと「こんにちは」と自然と言葉を交わします。島民もとても温かく、子ども達も人懐っこくて、旅人も自然と母島の生活に溶け込み、心穏やかにのんびりとすることができます。
アクセスとプランの立て方
父島から、定期便「ははじま丸(通称はは丸)」で約2時間。「はは丸」は東京・竹芝桟橋と父島を結ぶ「おが丸」と違い、予約ができません。乗船当日、出港の約1時間前から販売される切符は父島の「ははじま丸船客待合所」で直接買います。
「おが丸」は、東京・竹芝桟橋を出港すると、父島に3停泊し、出発日から6日後に東京・竹芝桟橋へと戻ります。これを「一航海」と呼んでいます。
「はは丸」は大体週6日、父島とを結んでいるので、一航海プランで小笠原に訪れていても、父島と母島の両方を楽しむことも可能です。ただ、ちょっと駆け足気味でゆったりとしたプランにはならないので、一航海ならば、父島・母島どちらかの島をゆっくり巡るのが良いかと思います。
島での移動手段
公共交通機関もタクシーもない母島。南崎・小富士コースなど、集落から離れた場所に行くにはどうすれば良いでしょうか。レンタカーやバイクを借りることもできますが、台数も限られており、事前予約は必須です。
オススメは有償運送。有償運送とは、ガイドさんや宿の車で希望の場所まで送迎してもらえるシステム。「はは丸」船客待合所内にある、小笠原母島観光協会や有償運送実施ガイドに予約をします。ガイドを頼んだ時は勿論、ガイドによる宿への送迎があります。
最後に
母島にやってくる観光客は何度も訪れているコアな小笠原ファンが多く、いきなり母島を訪れる観光客は少ないみたいです。実際、筆者が宿で一緒になった方は、毎年訪れているという方でした。しかも、近年は母島の方にだけ来ているとか。
筆者は、今回初めて父島と母島を同時に訪れました。母島は山の自然、植物が素晴らしく、父島は南の国らしく海が素晴らしい。もちろん山も海も両方の島にあるのですが、山好きの筆者は母島の印象がとても強く残りました。
あなたも是非、父島からちょっと足を延ばして、母島の大自然にも触れてみてはいかがでしょうか♪
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