2015年7月に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」。これらを構成する資産は8県にまたがり、全部で23資産あります。なかでも最もよく知られるのが、長崎県の端島ではないでしょうか。通称”軍艦島”といえば「あ〜!」という声があがるかもしれませんね。では一体、その他にはどんな資産があるのでしょうか?23資産を一挙にご紹介していきたいと思います。
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明治日本の産業革命遺産とは?
1850年代から1910年までに急速な発展をとげた炭鉱、鉄鋼業、造船業に関する文化遺産。日本がものづくり大国になる基盤をつくった歴史をいまに伝えています。構成する資産は、山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・岩手・静岡の8県に点在し、全部で23資産。2015年7月に世界遺産に登録されました。
それではこの全23資産をエリアごとに見ていきましょう。
萩(山口)
萩反射炉
山口県萩市にある反射炉跡です。反射炉とは金属を溶かす炉のことで、現在のこっているのは煙突の部分。国の史跡に指定されています。反射炉の遺構は、ここ萩と、静岡県の韮山、鹿児島県の旧集成館だけと、とても貴重なもの。3つとも「明治日本の産業革命遺産」を構成する資産です。
萩循環まぁーるバス(東回りコース)「萩しーまーと」バス停より徒歩5分ほどと、公共交通機関を使って訪れることができます。
- 萩反射炉
- 山口 / 遺跡・史跡 / 観光名所 / 世界遺産
- 住所:山口県萩市 椿東4897-7地図で見る
- 電話:0838-25-3380(萩市世界文化遺産課)
- Web:http://hagishi.com/search/detail.php?d=100081
恵美須ヶ鼻造船所跡(えびすがはなぞうせんじょあと)
萩藩(長州藩)が西洋式帆船をつくった造船所の遺跡です。幕末に洋式軍艦「丙辰丸」と「庚申丸」の2隻を建造しました。幕末につくられた帆船の造船所で、唯一確認できる造船所であることなどが高く評価され、構成資産のひとつになっています。
萩反射炉から海のほうへ約600mの場所にあり、現在も当時の規模の防波堤が綺麗にのこっています。
- 恵美須ヶ鼻造船所跡
- 山口 / 遺跡・史跡
- 住所:山口県萩市 椿東5166地図で見る
- 電話:0838-25-3380(萩市世界文化遺産課)
- Web:http://hagishi.com/search/detail.php?d=100087
大板山たたら製鉄遺跡
江戸時代に断続的に使用されていた製鉄所跡です。たたら吹きと呼ばれる日本の伝統的な方法で製鉄しており、ここでつくられた鉄は、萩藩が建造した洋式軍艦「丙辰丸」にも用いられました。元小屋や鍛冶屋など多くの遺構が非常によい状態でのこっている貴重な遺跡です。
- 大板山たたら製鉄遺跡
- 山口 / 遺跡・史跡
- 住所:山口県萩市紫福大板257-1地図で見る
- 電話:0838-25-3380(萩市世界文化遺産課)
- Web:http://www.hagishi.com/search/detail.php?d=1100190
萩城下町
萩藩の拠点だった町。1604年に毛利輝元が萩城を築いてから、260年の間にわたり城下町として栄えました。現在でも城下町風情が色濃くのこる萩城下町の町並み。江戸時代につくられた街路や武家屋敷、町屋が多く残っており、古地図で歩けると言われています。
「明治日本の産業革命遺産」を構成する資産の範囲は、城跡・旧上級武家地・旧町人地の3地区です。
- 萩城下町
- 山口 / 町・ストリート / 観光名所 / 世界遺産
- 住所:山口県萩市堀内地図で見る
- Web:http://www.city.hagi.lg.jp/site/sekaiisan/h6080.ht...
松下村塾(しょうかそんじゅく)
江戸時代末期に吉田松陰が主宰した私塾です。長州萩城下の松本村にあったことから「松下村塾」と呼ばれていました。吉田松陰が指導したのは一年ほどの短い間でしたが、高杉晋作、伊藤博文をはじめとする逸材を育てています。
木造瓦葺き平屋建て、広さは50㎡ほどの小舎。外観のみ見学が可能です。萩循環まぁーるバス(東回りコース)「松陰神社前」バス停より徒歩1分。
- 松下村塾
- 山口 / 建造物 / 観光名所 / 歴史的建造物 / 世界遺産
- 住所:山口県萩市大字椿東1537地図で見る
- 電話:0838-25-3139
- Web:http://hagishi.com/search/detail.php?d=100009
鹿児島
旧集成館(旧集成館反射炉跡、旧集成館機械工場、旧鹿児島紡績所技師館)
薩摩藩主の島津斉彬が日本でいち早く富国強兵を実践し、その事業の中心となった工場群が集成館です。1865年に建てられた機械工場は、現存する最古の洋風工場建築物。現在は尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)として、島津家の歴史や集成館の事業をいまに伝える博物館になっています。
これらの資産は仙巌園(せんがんえん)内にあり、庭園散策とあわせて史跡巡りを楽しめます。JR「鹿児島中央駅」よりカゴシマシティビュー、まち巡りバスで仙巌園前下車。
- 旧集成館機械工場
- 鹿児島 / 遺跡・史跡 / 観光名所 / 博物館 / 世界遺産
- 住所:鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1地図で見る
- 電話:099-247-1511(尚古集成館)
- Web:http://www.shuseikan.jp/
- 旧集成館反射炉跡
- 鹿児島 / 遺跡・史跡 / 世界遺産
- 住所:鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1地図で見る
- 電話:099-247-1511(仙巌園)
- Web:http://www.kagoshima-kankou.com/guide/51563/
- 旧鹿児島紡績所技師館
- 鹿児島 / 建造物 / 観光名所 / 世界遺産 / 歴史的建造物
- 住所:鹿児島県鹿児島市吉野町9685−15地図で見る
- 電話:099-247-3401
- Web:https://www.kagoshima-yokanavi.jp/spot/10003
寺山炭窯跡(てらやますみがまあと)
先に紹介した集成館事業に用いられる木炭を製造した石積み窯跡です。この事業には多くの燃料が必要になり、島津斉彬が吉野町寺山に炭窯をつくるよう命じました。1858年につくられた3基の炭窯のうち、1基がいまも残っています。
JR「鹿児島中央駅」から車で約45分。公共交通機関を利用する場合は「鹿児島中央駅」からバス(中別府団地線)にて約40分、少年自然の家入口バス停下車、歩いて約20分です。
- 寺山炭窯跡
- 鹿児島 / 遺跡・史跡 / 穴場観光スポット / 世界遺産
- 住所:鹿児島県鹿児島市吉野町10701-68地図で見る
- 電話:099-227-1962(鹿児島市教育委員会文化財課)
- Web:http://www.kagoshima-kankou.com/guide/51560/
関吉の疎水溝(せきよしのそすいこう)
島津斉彬が集成館事業のためにつくらせた用水路です。1852年(嘉永6年)に築かれました。稲荷川上流から仙巌園まで約8kmにおよぶ用水路でしたが、現在は実方橋の手前でとだえています。関吉にはいまも当時の取水口跡がのこっており、疎水溝の一部は現在も灌漑(かんがい)用水として利用されています。
JR「鹿児島中央駅」から車で約40分。公共交通機関を利用する場合は「鹿児島中央駅」からバス(緑ヶ丘団地線)にて約30分、下田バス停下車、歩いて約12分です。
- 関吉の疎水溝
- 鹿児島 / 遺跡・史跡 / 穴場観光スポット / 世界遺産
- 住所:鹿児島県鹿児島市下田町1222地図で見る
- 電話:099-227-1962(鹿児島市教育委員会文化財課)
- Web:http://www.kagoshima-kankou.com/guide/51561/