羽田から小1時間のフライトで行くことのできる離島、八丈島。火山によって作られた八丈島には、豊かな自然を眺めながら気軽にトレッキングを楽しめるスポットがいくつかあります。本記事では、八丈島のトレッキングスポットとして代表的な「唐滝」と「硫黄沼」をご紹介。水の中に硫黄が溶け込み、その時々の天気によって様々な色合いが楽しめる「硫黄沼」と、島の奥で豊かな緑を育む「唐滝」。この2つのスポットへの行き方と装備についてご紹介します。
この記事の目次表示
八丈島ってどんなところ?
八丈島は、東京都に属する伊豆諸島の島です。東京都に属するといっても、東京駅のある「東京」からはかなり南にあり、四国の南側や、九州の北側と同じくらいの緯度に位置しています。さらに、暖流の影響を受けて平均気温が18度と年間を通して暖かく、「常春の島」と言われています。
八丈島は、上空から見みると真ん中がくびれた形をしています。2つの火山がくっついてできたため、ひょうたん型の島なのです。
写真の右側が「八丈富士」、左側が「三原山」です。そして右上にぽつんと小島があり、「八丈小島」と呼ばれていますが、残念ながらこちらは上陸できません。
今回めざす「唐滝」と「硫黄沼」は三原山の南側中腹にあります。それでは、さっそく八丈島に向かってみましょう。
八丈島へ向かうフライト
八丈島には、船か飛行機かの2つの方法で行くことができます。船の場合は、東京竹芝桟橋から、大型客船で所要時間は一晩ほど。23時頃に出発して、翌日の10時頃に到着します。
飛行機であれば、羽田からわずか1時間で行くことができます。本当にあっという間に着いてしまうので、時間を有効に使える飛行機がお勧めです。
飛行機が滑走路から離陸して、15分くらい機首を斜め上に向けて上昇。水平飛行に入ったら、即座にキャビンアテンダントさんが機内サービスで飴を配ってくれます。その飴を口の中でコロコロと転がして、舐め終わるころには「え?もう!?」という感じで着陸姿勢に入ってしまうほど、あっという間に着いてしまうので、より八丈島の近さを実感するでしょう。
マップの入手とエリア情報を確認しましょう
空港に飛行機が到着して、荷物をピックアップしたら、さっそく空港内に設置されている観光案内所に向かいましょう。
ここで「唐滝」と「硫黄沼」へのルートマップをもらい、エリア情報を確認するためです。マップは八丈島のHPからもダウンロードすることができますが、ここでマップを入手しつつ、窓口にて現地情報を確認するのがお勧め。
筆者が訪れた時は、「唐滝」と「硫黄沼」に向かうルートの途中で工事をしていたため、マップ記載のルートから、変更になった個所がありました。やっぱり地元の人に最新情報を確認すると、確実です。また、ルートで間違いやすいところや、適した装備についても詳しく教えてもらえますよ。
「唐滝」と「硫黄沼」への足
空港からの足は、バス、レンタカー、レンタルバイクといくつかありますが、可能であればレンタカーで自走して行ったほうがいいでしょう。
トレッキングは、日々の喧騒をわすれてノンビリと自然を楽しみたいもの。時間を気にせず自分のペース歩きたいのであれば、レンタカーを借りるのが賢い選択です。
レンタルバイクという手もありますが、天候の面でもレンタカーがお勧めです。実は八丈島は、天気予報が当たらないらしいのです。「不思議なもので、八丈島の天気予報は当たらないんですよ。かえって降水確率が低い方がザーザー振りになるんですよ。」とレンタカーショップのスタッフの方が教えてくださいました。
トレッキングの装備
八丈島は予報からは天気が読めないうえに、年間の降水量がとっても多いのです。理由としては、島の周囲は暖流が流れており、雨を降らせる雲がモクモクとできやすい環境だからです。
また、ルートには小さい川をこえる箇所があります。
雨が多く、足元も濡れるので上下レインウエアに、防水のトレッキングシューズが必須となります。登山経験のある方は既にお持ちの基本装備かもしれませんね。お持ちでない方も、この機会に揃えておくと、天候や足元を気にせず旅を楽しめますよ。
いざトレッキング開始!
「唐滝」と「硫黄沼」に向かうルートの入り口には駐車場があります。ここでレンタカーをとめて、いよいよトレッキングスタート!
駐車場のそばには、注意喚起の看板がありました。「唐滝への登山道は大雨の影響により落石・滑落など事故につながるおそれがあります。通行にはご注意ください。」とのこと。雨が多く、地面が緩んでいることが常なので、十分注意して進みましょう。
八丈島に着いた時から曇天でしたが、雲はますます濃くなり、雨がしっかりと降るようになってきました。レインウエアに身を包み、万全の構えで向かいます。
ここに来るまでに地元の方々に情報をいろいろと確認してきましたが、道沿いにはどうやら道を惑わすものが多く、唐滝までたどり着けないで引き返す人も多いそう。そのため、道しるべとなるものを中心に、詳細にご説明していきますね。
硫黄沼までの道のり
駐車場をでてからは、しばらく舗装路が続きます。温暖で雨の多い気候なので、ところどころにシダや蔦性の植物が茂っています。既に八丈島ならではの景色に囲まれています。
登山道の数十メートルはアスファルトで舗装されていますが、その先から急に土が剥き出しになります。
駐車場からしばらくは、大きくカーブを曲がるところもありますが、基本的には分岐のない一本道なので安心して歩くことができます。
歩くこと10分ほど、最初の分岐点があらわれました。硫黄沼までのルートは、左側に曲がるのですが、右側の草木が茂って道がないようなところも、どこかへ続く道があるようです。
画面の奥のほうにポツンと写っている道しるべに近づいて、念のために行き先をしっかり確認します。「←唐滝・硫黄沼」「樫立→」と書かれています。方向を確認して安心して進みます。
この時、ウグイスの鳴き声が聞こえてきました。しばらく聞きいっていると、「ホーホケキョ、ケキョケキョ、ケキョッ、ケキョ?ケケケケキョ…」と最初はよかったものの、なんだかつっかえつっかえ、語尾も尻上がり調で、とっても特徴的な鳴き声です。
実はウグイスは、小さい時に大人の鳴き声を聞いて、練習しながら学んでいくらしいのです。ですから、地域や個体によって鳴き声が異なるらしく、ここで特徴的な声を聞かせてくれた鳥は、練習中の若い鳥かそれとも八丈島特有の鳴き方なのかもしれませんね。
しばらくすると、2つ目の道しるべがあらわれました。
さきほどとは違って、こちらははっきりと分岐だとわかるところに立っています。こちらも進むべきは左側ですが、右側も歩きやすそうな道があるので、ぼうっとしていると誤った道を進んでしまいそう。
先ほどと同じく、「←唐滝・硫黄沼」を確認して左側に進みます。
途中、道端にとても大きな岩がゴロンと転がっていました。岩の高さは150センチ、幅は180センチほどで、相当大きなものです。
駐車場を出るときに見た、「落石に注意」の文字が脳内によぎります。これは落ちてきたらひとたまりも無いサイズなのでヒヤヒヤしますが、この岩の後方の斜面を見てみると、その後ろにしっかり植物が立って育っていたので、最近の落石では無いとわかりホッとします。
この岩をこえてしばらく歩くと、3つ目の道しるべがあらわれます。写真を見てもわかるように、この3つめの道しるべをこえると、道は土の上に小石を置いて固めたものになりました。
ここでも、「←唐滝・硫黄沼」をしっかり確認して左側に進みます。
すこし歩くと、急に左側の視界が開け、霞んだ山の頂を拝むことができました。ここまで着たら硫黄沼までは、まもなくです!
これまで登り一方の道でしたが、斜面と階段を組み合わせて作られたくだりの道があらわれました。道しるべも、これまでは道の右側にたっていましたが、ここだけ左側にたっています。ロープを張った簡易な手すりもあるので、道がハッキリわかります。
道しるべを確認すると、今まで「←唐滝・硫黄沼」だったのが、ついに「硫黄沼→」になりました。駐車場からここまでゆっくり歩いて30分くらいと短いものです。