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トレッキングの装備
八丈島は予報からは天気が読めないうえに、年間の降水量がとっても多いのです。理由としては、島の周囲は暖流が流れており、雨を降らせる雲がモクモクとできやすい環境だからです。
また、ルートには小さい川をこえる箇所があります。
雨が多く、足元も濡れるので上下レインウエアに、防水のトレッキングシューズが必須となります。登山経験のある方は既にお持ちの基本装備かもしれませんね。お持ちでない方も、この機会に揃えておくと、天候や足元を気にせず旅を楽しめますよ。
いざトレッキング開始!
「唐滝」と「硫黄沼」に向かうルートの入り口には駐車場があります。ここでレンタカーをとめて、いよいよトレッキングスタート!
駐車場のそばには、注意喚起の看板がありました。「唐滝への登山道は大雨の影響により落石・滑落など事故につながるおそれがあります。通行にはご注意ください。」とのこと。雨が多く、地面が緩んでいることが常なので、十分注意して進みましょう。
八丈島に着いた時から曇天でしたが、雲はますます濃くなり、雨がしっかりと降るようになってきました。レインウエアに身を包み、万全の構えで向かいます。
ここに来るまでに地元の方々に情報をいろいろと確認してきましたが、道沿いにはどうやら道を惑わすものが多く、唐滝までたどり着けないで引き返す人も多いそう。そのため、道しるべとなるものを中心に、詳細にご説明していきますね。
硫黄沼までの道のり
駐車場をでてからは、しばらく舗装路が続きます。温暖で雨の多い気候なので、ところどころにシダや蔦性の植物が茂っています。既に八丈島ならではの景色に囲まれています。
登山道の数十メートルはアスファルトで舗装されていますが、その先から急に土が剥き出しになります。
駐車場からしばらくは、大きくカーブを曲がるところもありますが、基本的には分岐のない一本道なので安心して歩くことができます。
歩くこと10分ほど、最初の分岐点があらわれました。硫黄沼までのルートは、左側に曲がるのですが、右側の草木が茂って道がないようなところも、どこかへ続く道があるようです。
画面の奥のほうにポツンと写っている道しるべに近づいて、念のために行き先をしっかり確認します。「←唐滝・硫黄沼」「樫立→」と書かれています。方向を確認して安心して進みます。
この時、ウグイスの鳴き声が聞こえてきました。しばらく聞きいっていると、「ホーホケキョ、ケキョケキョ、ケキョッ、ケキョ?ケケケケキョ…」と最初はよかったものの、なんだかつっかえつっかえ、語尾も尻上がり調で、とっても特徴的な鳴き声です。
実はウグイスは、小さい時に大人の鳴き声を聞いて、練習しながら学んでいくらしいのです。ですから、地域や個体によって鳴き声が異なるらしく、ここで特徴的な声を聞かせてくれた鳥は、練習中の若い鳥かそれとも八丈島特有の鳴き方なのかもしれませんね。
しばらくすると、2つ目の道しるべがあらわれました。
さきほどとは違って、こちらははっきりと分岐だとわかるところに立っています。こちらも進むべきは左側ですが、右側も歩きやすそうな道があるので、ぼうっとしていると誤った道を進んでしまいそう。
先ほどと同じく、「←唐滝・硫黄沼」を確認して左側に進みます。
途中、道端にとても大きな岩がゴロンと転がっていました。岩の高さは150センチ、幅は180センチほどで、相当大きなものです。
駐車場を出るときに見た、「落石に注意」の文字が脳内によぎります。これは落ちてきたらひとたまりも無いサイズなのでヒヤヒヤしますが、この岩の後方の斜面を見てみると、その後ろにしっかり植物が立って育っていたので、最近の落石では無いとわかりホッとします。
この岩をこえてしばらく歩くと、3つ目の道しるべがあらわれます。写真を見てもわかるように、この3つめの道しるべをこえると、道は土の上に小石を置いて固めたものになりました。
ここでも、「←唐滝・硫黄沼」をしっかり確認して左側に進みます。
すこし歩くと、急に左側の視界が開け、霞んだ山の頂を拝むことができました。ここまで着たら硫黄沼までは、まもなくです!
これまで登り一方の道でしたが、斜面と階段を組み合わせて作られたくだりの道があらわれました。道しるべも、これまでは道の右側にたっていましたが、ここだけ左側にたっています。ロープを張った簡易な手すりもあるので、道がハッキリわかります。
道しるべを確認すると、今まで「←唐滝・硫黄沼」だったのが、ついに「硫黄沼→」になりました。駐車場からここまでゆっくり歩いて30分くらいと短いものです。
硫黄沼
わくわくしながら道しるべの奥にある細い階段を降りていくと、ついに沼が見えました!
ところで、この「硫黄沼」。名前からわかるとおり、沼は硫黄の成分を含んでいて、独特の色合いになるのだそうです。ただし天候に左右されるところが大きく、雨の日はくすんだ色合いになってしまうそう。
沼の色合いは確かにくすんでいる印象を受けますが、地形や木々が硫黄沼を大事に取り囲んでるようで、厳かな気配が漂っていますね。そういえば硫黄沼と唐滝は八丈島でも有数のパワースポットだとか!そうなんだろうなあと納得の雰囲気です。
天気の条件がよければ、硫黄沼は以下の写真のように黄色に強い色合いや、はたまた鮮やかな緑色にもなるようです。
普通の沼では見られない色合いで神秘的ですね。
- 硫黄沼
- 伊豆諸島 / 自然・景勝地
- 住所:東京都八丈島硫黄沼地図で見る
- Web:http://www.hachijo.gr.jp
唐滝までの道のり
硫黄沼を後にして、沼にたどり着く手前の道しるべ(硫黄沼方面と唐滝方面への道の分岐点)まで戻ります。そこから唐滝方面の道へと進み、唐滝を目指します。
歩き始めてふと頭上を見上げると、シダがわっさわっさと茂っていました。シダは暖かく、湿っている気候ほど種類が多くなります。色の異なるシダが斜面に覆いかぶさるように葉を延ばして、やっぱりここは違う気候の土地なんだなあと再認識します。
ところで、硫黄沼までは道しるべもあり、「紛らわしいと言っていたわりに、実は簡単な道なのでは?」と思うかもしれません。確かに硫黄沼までは難しい道ではありませんでしたが、この先の唐滝までの道が非常に紛らわしいのです。
山道を歩いていくと、また右側に道しるべが出てきました。
しっかりと「←唐滝」と書かれています。この先はコンクリートで作られた水道タンクがあります。空港の観光案内所の方曰く、ここから紛らわしいポイントが始まるようで、「道がなかった」「工事しているようでいけなかった」と誤解して引き返す方もいるというのです。
ここは自信をもって水道タンクの後ろをまわって、ガンガン先に進みましょう。水道タンクのすぐ裏には、金属製の古い水道管が通せんぼのように張られているので、そこをまたいで行きます。
水道タンクをこえると、赤茶の細い階段があらわれます。滑りやすいので気を付けて登ってくださいね。画面の中央から左にかけて壁のようなものが見えますが、これは砂防提です。
ズルズルと滑りそうな濡れた土の階段を注意してのぼっていくと、砂防提の上にでました。ここも紛らわしいポイントです。ここで道が途絶えるように見えるのですが、この砂防提の上を歩いていくのです。
砂防提の中央部分には、木々や草がせり出していますが、そこまではいきません。ここから3、4歩程度歩いて右側を見ると、降り続く雨によってか、水たまりとなってしまった道があります。
ここから防水のトレッキングシューズが大活躍しはじめます。足が濡れる心配とわずらわしさもなく、余裕の気持ちでパシャパシャと進みます。本当に装備は大事ですよ。
この水たまりの道を5メートルほど進むと、小川があります。小川の先に道が続いているように見えますね?そして小川には、足をかけるには手ごろなサイズの石が、向こう側までゴロゴロと橋のように続いています。
この石の上を歩いていきます。水量が多くなると、当然石も水に沈んでしまうので、やはり靴にはこだわって万全の装備で行ったほうがいいでしょう。
小川をこえると、バシャバシャバシャと高いところから地面に叩き落ちる水音が聞こえてきました。唐滝か!?と期待してしまいますが、そうではありません。
こちらも砂防提のようで、ここから水が滝のように落ちているのです。実はここも紛らわしいポイント。唐滝と誤解して、ここで引き返してしまう人もいるので、気を付けてくださいね。
偽物の滝に惑わされず、先に進みましょう。少し道がはっきりとしはじめ、自信をもって進めるような雰囲気になってきました。この先を進むと、また砂防提があらわれます。
次にでてくる砂防提は、そのままだと人間の身長では登れない高さなので、傍らに金属製のはしごが掛かかっています。そこをガシガシのぼり、砂防提の上に立ちます。
今度は、この上を中ほどまで歩いていきます。写真では、奥のほうからコンクリートに苔が張り付いていますが、ぽっかりと苔が生えていないところがありますね?ここまで歩いていきます。
そこまで行って、今度は左を見ます。コンクリートの真横には小川が流れていて、手すりとなるようにロープが張られています。川の中には、足がかりとなる石も置かれているので、滑らないように注意しながら川を渡ります。
ここまで来たら唐滝は目の前です!
唐滝
川をこえると、さっき見た偽物の滝の音とは比べ物にならないくらいの音量で、ゴウゴウとした水音が聞こえてきました。紛らわしいものが多い道のりでしたが、ようやく到着です。
もうこの先は滝のしぶきで、辺り一面にマイナスイオンがでまくっている感じです。ゴウゴウとした滝の音は、切り立った崖にコダマして、少し怖く感じるほどです。
ただ怖いというわけではなく、滝に対する敬意が少しまざった感じがして、畏怖の念を抱く、という気持ちになりました。
滝壺の右側の斜面には洞窟があります。ここは日清戦争の際に火薬の原料として硫黄を採掘していた場所だそうですよ。
- 唐滝
- 伊豆諸島 / 自然・景勝地 / 滝
- 住所:東京都八丈島唐滝地図で見る
- Web:http://www.hachijo.gr.jp
おわりに
いかがでしたか?羽田から1時間たらずで気軽に行ける離島「八丈島」。地元の方曰く、以前はマリンスポーツを目的として訪れる人が多かったそうですが、年々登山を楽しむ人が増えているとのこと。
火山でつくられた八丈島には、トレッキングを楽しめる場所がいくつかあります。難易度も様々なので、実力や体力に応じてルートを選ぶことができます。今回ご紹介した「唐滝」「硫黄島」は道のりが少し複雑なところがあるものの、所要時間が短く、初心者がトライするにはとってもお勧めの場所です。
初めてのトレッキングで特別な場所に行ってみたい、または、いつもと違ったトレッキングを楽しみたいという方に八丈島をお勧めしますよ。ぜひ訪れてみてくださいね!