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首都バクーは”世界一バブルな都市”

【アゼルバイジャン】コブスタンの先史時代ロックアートと泥火山(世界遺産)

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東京在住
訪問エリア:192ヶ国

2025年11月18日更新

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写真:toshel

アゼルバイジャン共和国の首都バクーから南西約60kmに位置するコブスタンは、先史時代の人類の営みを今に伝える貴重な文化遺産です。この地域には、約6,000点以上の岩絵が残されており、その多くは旧石器時代から中世にかけて刻まれたものとされています。2007年にはユネスコ世界遺産に登録され、世界的にもその価値が認められています。

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コブスタンの先史時代ロックアート(岩絵)と泥火山

コブスタンのロック・アートと文化的景観は、アゼルバイジャンにある壮大な先史時代の遺産です。その魅力は、数十万点に及ぶ岩絵と、独特な自然地形が織りなす文化的景観にあり、先史時代の人類の生活や信仰を伝える岩絵群と、独特な自然地形が融合した文化的景観として2007年にユネスコ世界遺産に登録されました。

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また、ゴブスタンには世界でも珍しい泥火山が多数存在し、地球上の泥火山の約半数(約400)がこの地域とカスピ海周辺に集中しています。コブスタンは、アゼルバイジャンの文化的アイデンティティを象徴する場所であり、考古学・人類学・地質学の分野でも重要な研究対象となっています。

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コブスタンの位置

コブスタンは、アゼルバイジャン共和国の首都バクーから南西約64kmに位置しています。ゴブスタン地区は国立保護区に指定され、面積は約537ヘクタールにも及びます。この地域は、ロックアートの多く描かれた場所と泥火山は少し離れています。バクーからコブスタンへの行き方は最後にご紹介します。

  • 写真:toshel

コブスタンのロックアート(岩絵)

コブスタンの岩山に描かれたロックアートの数は60万点以上が確認されています。コーカサス地域における先史時代の生活や信仰、社会構造を伝えています。岩絵の描かれた年代は、およそ5,000年〜20,000年前に遡るとされています。日本では縄文時代にあたり、氷河が後退し始め地球全体的に気候が温暖となり、植物が繁茂して動物が増え、人間が狩猟で食物を得やすくなった時期と一致します。

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ロックアートのモチーフ

コブスタンの岩絵には、狩猟や舞踊、宗教儀式、動物、船、星など、多様なモチーフが描かれており、当時の人々の生活や精神文化を生き生きと映し出しています。

狩猟や闘牛

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宗教的な舞踏や儀式

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小舟に乗る漕ぎ手

漕ぎ手が乗る小舟の描写は、古代の航海技術や交易の存在を示すものとして注目されています。

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槍を持った戦士

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ラクダの隊商

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太陽や星々などの天体

石室の西壁を構成する岩石には卍(スワスティカ)の描写も含まれています。卍は古代の宗教的信仰と結び付けられ、太陽と火を象徴しています。さらに、3本の指を持つ擬人像や、ヤギのペトログリフも見られます。

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人間や動物

  • 写真:toshel
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これらの岩絵は、コーカサス地域における先史時代の文化や社会構造を理解するうえで、非常に貴重な資料となっています。主な岩絵には必ず説明パネルが併設されていますので、ぜひ歴史を感じながら読んでみられることをお勧めします。

  • 写真:toshel

こういった先史時代の岩絵の存在する場所は、現代では僻地に存在することが多く、訪ねるには難易度高いのですが、ここは首都バクーから近く行きやすいためか、比較的観光客の数も多いです。

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この岩山は日差しを遮るものがなく、夏は相当暑いと思われます。夏に巡られる方は日傘必携。飲み物もお忘れなく。この眺望を楽しみつつ休憩できる屋根付きの休憩所も併設されていますので、休み休み見学しましょう。

  • 写真:toshel

ここから臨むカスピ海の景色がまた素晴らしいです。太古の昔の人々が、ここに立ち現代の私たちと同じ風景を眺めていたかもしれないと考えると、それだけでグッと来るものがありました。

  • 写真:toshel

これはヒエログリフではありません。蛇に注意です。

  • 写真:toshel

因みに、トイレもロックアート風です。

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この岩絵と景観は、過去と現在をつなぐ貴重な証として、今も多くの研究者や観光客を魅了し続けています。

コブスタン国立保護区
アゼルバイジャン
住所:Gobustan Rock Art Cultural Landscape地図で見る

コブスタンの泥火山

ゴブスタンには、地球上に存在する約700の泥火山のうち、約400が集中していると推定されています。泥火山は、地下の泥が断層などの割れ目を通じて地表に噴出する現象で、地質学的にも非常に珍しいものです。約20年に一度の周期で活動すると言われ、2001年にはバクー近郊の泥火山が15メートルもの炎を吹き上げました。

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このような地質現象は、古代の拝火教(ゾロアスター教)の誕生にも関係していると考えられており、宗教的・文化的な背景とも深く結びついています。

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また、薬効や美肌に効果があるとされ地元民にも親しまれています。微量のメタンガスを発生させているので、火を点けるとボッと燃えますよ。

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このように、今は小さな泥火山でも月日を経てここまで大きくなります。

  • 写真:toshel
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尚、泥火山の周辺はアチコチで小さな火山を形成しているため舗装された道路はありません。

  • 写真:toshel

ところどころぬかるんでいることから、タイヤを取られることもあり大型車での訪問は避けた方が無難です。ツアーで行くとこのようなレトロな車に途中で乗り換えて向かいます。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

ゴブスタンは、単なる考古学的遺跡ではなく、先史時代から続く人類の創造性と自然との共生を象徴する場所です。

コブスタン泥火山エリア
アゼルバイジャン
住所:40.17016103896917, 49.297634444895884地図で見る

コブスタンの行き方

コブスタンは、アゼルバイジャンの首都バクーから車で一時間の距離です。ロックアートと泥火山は距離があり、その間の景色も素晴らしい自然の景観を楽しめます。

  • 写真:toshel

レンタカーで行く場合

泥火山へ行く場合は、泥濘(ぬかるみ)にタイヤが取られる場合がありますので、小型車を借りることをお勧めします。

タクシーで行く場合

アゼルバイジャンでは配車アプリ「Bolt」が便利です。ただし、ロックアートと泥火山は離れており、特に泥火山周りは何もありませんので、往復の交渉が必要です。

ツアー

主要な観光地を安価に巡るツアーが催行されています。一つ一つの説明が素晴らしいうえ、足としてもとても便利です。

ここは入場料は別となりますが、非常に安価に設定されているのでおすすめです。

  • ロックアート:10マナト(860円)2025/9現在
  • 泥火山:車両を乗り換えツアコン込みで35マナト(3,000円)2025/9現在
  • 写真:toshel

アゼルバイジャンの行き方

日本からアゼルバイジャンへ直行便はありませんので、中東かヨーロッパを経由して首都バクーへ飛びます。日本のパスポート保持者は、アゼルバイジャンで唯一VoA(Visa on Arrival)かつFree of Chargeで入国できます。

バクー旧市街
アゼルバイジャン / 町・ストリート
住所:Baku, Azerbaijan地図で見る

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地球旅をしています~現在192ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

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