リビアの首都トリポリは、地中海沿岸の美しい海岸線と歴史的な建造物が多く立ち並ぶ魅力的な都市です。今回は、古代からの歴史を持つトリポリ旧市街を中心にご紹介してます。
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リビアの首都トリポリ
トリポリはリビアの首都であり、リビア北西部に位置しています。地中海に面した港町で、美しい海岸線と歴史的な建造物が多く立ち並ぶ都市です。2023年の人口は約118.3万人。リビア最大の都市でもあります。トリポリは古代からの歴史を持ち、現在ではリビアの政治、経済、文化の中心地として機能しています。
トリポリはサハラ砂漠の端にある都市で、チュニジアとの国境にも近い位置。地中海に面しているため、港湾都市としても重要な役割を果たしています。夏季の最高気温は27℃~30℃、降雨は少なく過ごしやすい気候です。
トリポリは歴史的な背景を持ち、中世から近代にかけて異なる支配者によって征服されました。1986年にはアメリカ軍により空爆事件も起き、2011年の紛争では欧米が唆した反体制派によって制圧されました。
リビアのトリポリは、紀元前7世紀にカルタゴによって建設されたフェニキア人の植民都市「オエア」「サブラタ」「レプティス」の3つを総称して、ギリシア語で「3つの都市」を意味するTripolis。この3都市の所在した現在のリビア北西部を「トリポリタニア」Tripolitaniaと呼び、この3都市のうちのオエアが現代のトリポリとなりました。アラビア語ではタラーブルスといい、それもレバノンにある同名の都市トリポリ(タラーブルス)と同じです。区別して西のトリポリとも呼ばれるそうです。
トリポリの歴史
リビアの歴史は深く、トリポリはその中心都市です。トリポリの歴史について少し触れておきます。
先史時代
- 紀元前7世紀にフェニキア人によって設立されました。
- ローマ帝国、ビザンティン帝国、オスマン帝国など、さまざまな支配者の下で発展します。
- 特にローマ時代には商業と文化の中心地として栄えました。
オスマン帝国支配
- 1711年にトルコ系軍人が土着し、半独立のカラマンリー朝が成立しました。
- しかし1835年にオスマン帝国に再征服されました。
イタリア領リビア
- 1911年の伊土戦争によってイタリア領リビアとなりました。
- 1951年に旧イタリア領リビアだった3地域(トリポリタニア、キレナイカ首長国、フェザーン)が連合してリビア連合王国が成立し、トリポリはその領土となりました。
トリポリ旧市街(スーク)
トリポリ旧市街(スーク)は、リビアの首都にある歴史的な市場エリアです。さまざまな商品が並ぶスークは、ランプや絨毯、ウェディングドレス、また、美味しい食材やスパイスなど、ありとあらゆるものが売られています。
生活感のあるスークを散策すると、建物の多くは古代のままなのではないかと思われるほど古く、当時と変わらない暮らしぶりが垣間見えます。地元の人々と触れ合いながら、リビアの文化や日常生活を感じることができます。
マルクス・アウレリウス門
トリポリ旧市街の中心から海側にあるこちらは古代ローマの凱旋門です。
ローマ帝国ネルウァ・アントニヌス朝の皇帝ルキウス・ウェルスが164年にアルサケス朝パルティアの王ヴォロガセス4世を破り、クテシフォンを手に入れた記念として165年に建造され、交通の要所としても機能していました。
- マルクス・アウレリウス門
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トリポリ城と宮殿
トリポリ城は、旧市街にある城です。アラビア語で「アッサラーイ・アル・ハムラ(赤い城)」と呼ばれています。
この城は7世紀半ばにアラブ人によって築かれた要塞が起源の歴史的な建造物です。港を見張るために建てられ、その後、十字軍勢力やオスマン帝国支配下のカラマンリー朝の手に渡りました。
ジャマヒリーヤ博物館
この博物館はトリポリ城の一部として利用されており、古代ローマ時代から中世までの展示品を収蔵しています。リビアの歴史と文化を深く知ることができる美術館です。
- ジャマヒリーヤ博物館
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グルジ・モスク
リビアの首都トリポリの旧市街にあるモスクです。1834年にオスマン帝国カラマンリー朝の海軍長であったムスタファ・グルジの命により建造されました。このモスクは16のドームから成り、内部はそれほど大きくはありませんが、トルコ様式のタイルや八角形のミナレットが建てられています。
サンタマリア教会(Anglican Church of Christ the King)
トリポリ旧市街に1703年に建てられた歴史ある建造物です。現在は教会として使用されておらず、閉鎖が続いています。
マーターズ・スクエア
旧市街の入り口、トリポリの中心部に位置するマーターズ・スクエアは、かつて「緑の広場」と呼ばれていました。2011年にカダフィ政権が崩壊して以来、殉教者広場として知られています。この広場はイタリア統治時代に作られ、周辺には古い建物やレストラン、ショップが立ち並ぶほか、地中海の美しい景色も楽しめます。
- マーターズ・スクエア
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アッサラーヤ湖(Asaraya Lake)
旧市街とアッサリムに近接するこの湖は、「アッサラーヤ・アルハムラ」と呼ばれています。トリポリの歴史的な要塞である「トリポリ城」の前に位置しており、美しい景観を楽しむことができます。
ダルグート・トルコ風呂
トリポリ旧市街にある歴史的なトルコ式バスです。西暦1670年頃に設立されました。名前の由来であるシディ・ダルグートは、オスマン帝国の海軍司令官トゥルグートから取ったとされています。このお風呂とその豊かな歴史を探索することは魅力的な体験になるかもしれません。
- ダルグート・トルコ風呂
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旧市街の外
ジャマル・アブドゥル・ナセル・モスク
ジャマル・アブドゥル・ナセル・モスクは、リビアの首都トリポリにある重要なモスクです。ネオモレスク様式の建築は、アラブ連合共和国(エジプトとシリアから成る連邦)の初代大統領でエジプトの軍人、革命家、政治家でもあるジャマル・アブドゥル・ナセルに敬意を表して建設されました。
汎アラブ主義と汎アフリカ主義を掲げ、アラブ連合共和国を建国しアフリカ統一機構の議長も務めました。
- ジャマル・アブドゥル・ナセル・モスク
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リビア美術館(The Museum of Libya)
こちらの建築物は、元は1951年から1969年まで在位したリビア王国の初代国王イドリース一世の王宮として建てられたネオモレスク様式の宮殿でした。彼はリビアの歴史において重要な役割を果たした人物です。彼の治世はリビアの独立と発展に寄与しました。
カダフィ時代の2010年に、リビアの過去と未来の融合を象徴する先駆的な博物館として改装されました。現在でも王室の優雅さを醸し出しています。
トリポリ港
トリポリ港はリビアの主要な港であるとともに、地中海で最も古い港の一つでもあります。
トリポリの行き方
リビアの首都トリポリへ日本から直行便はありません。トルコのイスタンブルやエジプトのカイロを経由して行きます。
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