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活気あるマラケシュから世界遺産の町にサハラ砂漠まで

【モロッコ】アイット・ベン・ハドゥの集落(世界遺産)

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:192ヶ国

2025年10月18日更新

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写真:toshel

11世紀にキャラバン交易の拠点として成立し、戦略的要塞村としての歴史を持つモロッコの文化遺産「アイット・ベン・ハドゥ」をご紹介します。

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アイット・ベン・ハドゥの集落

モロッコ南部、ワルザザート近郊のアトラス山脈の麓に佇むアイット・ベン・ハドゥは、1987年にユネスコの世界遺産に登録された要塞集落です。赤茶色の日干しレンガで造られた建物群は、古代の建築手法を今に伝え、サハラ交易路に沿った中継地として栄えた歴史を色濃く映し出しています。その迷路のような路地や高台からの絶景は、訪れる旅行者に時代を超えた異世界体験を提供します。

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アイット・ベン・ハドゥの歴史

アイット・ベン・ハドゥは、7世紀から11世紀頃にかけて隊商交易の中継地として発展しながら形成されました。サハラ砂漠とマラケシュを結ぶキャラバンルートに位置したため、金や塩、香辛料、布などの交易が行われ、戦略的な交易拠点として発展します。特に11世紀のムラービト朝時代には、集落名の由来となった「ベン・ハドゥ一族」が居を構え、防御を重視した要塞的な街並みを築きました。さらに13世紀以降、部族間の争いや盗賊などの略奪を防ぐため、村全体が要塞(カスバ)として整備され、入り口は一つに限定され、路地は迷路状に設計されました。

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アイット・ベン・ハドゥの建築様式

現在の建物は17世紀以降のものですが、建築手法はベルベル人による古来の方法を踏襲しています。伝統的なクサール(要塞村)の形式を保っており、粘土と藁で作られた日干しレンガの建物が密集しています。建物はほとんどが三階建てで、1階部分は窓がほとんどなく換気口のみ設けた馬小屋、2階は倉庫、3階が住居として利用されました。外壁には銃眼が配されるなど工夫がみられます。最上階には籠城用の食料庫が存在していました。

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村内にはモスクや隊商宿もあり、生活と防御が両立する設計となっています。丘の頂上にも食料庫が備えられ、長期包囲にも耐えうる構造です。丘の上の立地は、見張りや交易路の管理にも適しており、長期包囲にも耐えうる構造です。

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建物の多くは日干しレンガで作られ、赤茶色の外壁と精巧な装飾、そして外壁の銃眼や一か所しかない入り口、迷路のように入り組んだ通路が特徴です。イスラム化以前の砂漠地帯独自建築様式を今に伝えています。

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食料庫や水源が設置されており、自然環境と防衛構造が巧みに融合しています。こうした設計は、交易都市としての機能と防衛機能が両立する独自の都市計画といえます。

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アイット・ベン・ハドゥの文化的価値

アイット・ベン・ハドゥは、古代の建築技術と集落生活の様式を残す典型的なクサール(要塞化された村)として評価されています。ユネスコ登録基準では、以下の点が特に注目されます:

  • 建築様式と技術の集積:伝統的な土造建築、カスバの密集、城壁機能を持つ集落構造。
  • 文化・生活様式の保存:伝統的な村落構造と交易を通じた生活環境の例証。

なお、近代化や観光化により多くの住民は対岸の新しい集落に移住しましたが、少数の家族は今も旧集落に生活しています。

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観光の見どころ

カスバと要塞的建築

集落内には多層のカスバ(砦)が林立密集し、全体が城壁に囲まれた要塞都市のような形態を呈しています。これはクサール(要塞化された村)の典型例で、孤立した場所にあり、敵の侵入や盗賊の襲撃から身を守るための城砦に匹敵する防御機能が備わっています。

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迷路のような路地

狭く入り組んだ通路や階段が特徴で、入り組んだ路地を歩きながら古代都市の雰囲気を体感できます。足元には昔の生活の痕跡や小さな土産物店も点在しています。

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映画ロケ地巡り

アイット・ベン・ハドゥは歴史的にも文化的にも重要な集落ですが、さらに映画やテレビドラマの撮影地としても世界的に有名です。「アラビアのロレンス」「グラディエーター」「キングダム・オブ・ヘブン」「スター・ウォーズ」「ソドムとゴモラ」「ハムナプトラ」「プリンス・オブ・ペルシャ」、そしてテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」など、多くのハリウッド作品でロケ地として使用されました。

多くの映画やドラマのロケ地として世界的に有名です。映画好きには、この視覚体験だけでも訪れる価値があります。ワルザザートからアイット・ベン・ハドゥへ向かう途中には映画スタジオが複数存在し、撮影後のセットや街並みを見学することもできます。観光と映画文化が融合した独特の観光体験が楽しめます。

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文化体験

土産物店や地元民との交流を通じて、伝統生活の一端を知ることができます。

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川渡り体験

集落へ向かう途中、小川を飛び石で渡る体験ができます。

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この川はアスィフ・アヌイラといい、正確な全長は不明ですがアトラス山脈から流れる雄大な川です。

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この川を渡らないと集落に辿り着けない設計です。

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頂上からの眺望

集落の高台からの眺めは必見です。

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赤茶色の建物群が川沿いに広がり、アトラス山脈を背景に広がる風景はまさに映画の一場面のようです。サハラ砂漠や周囲のオアシスも一望できます。

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また、食料を蓄えるための塔もあります。こちらは、篭城時の防御と生活の両方に役立っていました。

  • 写真:toshel

下から見るとかなり高く遠く見えますが、土産物屋で捕まらなければ10分くらいで登れます。

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観光の注意点

  • 住民との調和:集落内での写真撮影は、事前に許可を求めることが望ましいです。
  • 足元・通路:道が狭く、段差や階段が多いため、歩きやすい靴が必須です。
  • 気候:3〜4月、10〜11月がベストシーズン。気温差が大きいため、体温調整できる服装を推奨します。
  • 体験時間:集落の散策には1〜2時間が目安ですが、ゆっくり観光するとさらに充実します。
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アイット・ベン・ハドゥへのアクセス

日本からモロッコへ直行便はありませんので、まずはEUや中東を経由して入国します。

マラケシュからのアクセス

約3時間の車移動。バスまたはグランタクシーの利用が一般的。ツアー参加がおすすめです。

ワルザザートから

車で30分ほど。モータープールから乗合タクシーで片道40ディルハム(およそ700円)、一般のタクシーで90ディルハム(およそ1,500円)です。町中⇔モータープールは、プチタクシー(町中どこからでも一律5ディルハム(およそ75円)です。

まとめ

アイット・ベン・ハドゥは、古代ベルベル人の知恵が凝縮された要塞集落であり、サハラ交易路の歴史的象徴でもあります。砂漠地帯特有の粘土建築、多階建て構造、要塞的配置、塔や迷路状通路などの防御機構を組み合わせた建築様式が特徴で、歴史的文化遺産として保存されている重要な集落です。歴史的価値、文化的保存、映画ロケ地としての魅力、そして目に映る景観のすべてが観光客を惹きつけます。訪れる際は、歴史と文化を尊重しながら、人々の生活と共存する観点を持つことが大切です。古の交易都市を歩き、城塞都市の構造を肌で感じる体験は、旅行者にとって忘れられない経験になるでしょう。

  • 写真:toshel
アイット=ベン=ハドゥの集落
モロッコ / 観光名所 / 町・ストリート
住所:Ksar of Ait-Ben-Haddou,Morocco地図で見る

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地球旅をしています~現在192ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

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