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排水システム
上述のように高度な水利システムを確立していたモヘンジョ・ダロは、公共の場だけでなく、各家庭の生活排水(お風呂や水洗トイレ、キッチン)も、通りの側溝を伝い集中排水所を介してインダス川に流れるよう設計されていました。
これらは、他の近い文明であるエジプトやメソポタミアでは見られず、一般の人々に寄り添い、快適で生活のしやすい文明だったことが伺えます。
確立された農業
また、農業が盛んで小麦栽培や家畜牛の飼育を行い、収穫物を保存・保管する大きな倉庫も建設されているほか、モヘンジョ・ダロ以外の街への輸送もされていたようです。
各国へ輸出されるインダス文明
モヘンジョ・ダロで発掘された土器や土偶、ビーズの首飾りや印章は、インダス川をくだってメソポタミア(現イラク)、ペルシア(現イラン)にも輸出されるなど、活発な交易がおこなわれていたようです。
もはや解読不可能?インダス文字
モヘンジョ・ダロより発掘された印章は多く、そのほとんどにインダス文字が書かれています。400語ほどあるとされるインダス文字は、各国の研究者によって繰り返し解読が試みられたものの、多言語による文章の対比等の手がかりもなく、未だ解明には至っていません。
字体のバランスが良く、何か「物」を示しているようにも見えますが、皆様はどう思われますか。こちらの牛とユニコーンの印章には、餌と思われる器がそれぞれ浅い皿とワイングラスのようなカップに入れられているようです。この違いは何を表しているのか興味深いですね。
エジプトやメソポタミアの古代文字は解明が進んでいますが、インダスだけは未だに解明されておらず、一部ではAIによる解析も試みられているようですよ。
紀元前1800年頃に急速に衰え消失したとされるモヘンジョ・ダロですが、遺物として発見されたものの中には、ヒンドゥ教シヴァ神に似通った肖像の印章もあり、インダス文明が現インドの文化に引き継がれ、伝えられているものもあるようです。
モヘンジョ・ダロ美術館
モヘンジョ・ダロ美術館は、遺跡入り口付近に隣接しています。
こちらは、モヘンジョ・ダロの当時の様子を再現した都市の様子です。計画都市の様子がよく分かりますね。
モヘンジョ・ダロだけでなく、周辺で発掘された様々な遺物が展示されています。
アクセサリや手鏡も発見されています。どの時代、どの場所でも必ず発見されるこれらの遺物は、環境こそ違えど人間の感覚的なところは変わらないことを教えてくれます。
チェス(ボードゲーム)も好まれていたようですね。駒が多く展示されていました。
子供のおもちゃでしょうか。ミニサイズの牛車も発見されています。
モヘンジョ・ダロは、現時点で派手な宮殿や寺院、記念碑等は見つかっておらず、王や女王が君臨していた形跡もありません。軍隊などを有していたと思われる武器などの遺物もなく、人々は皆平等で、秩序立って謙虚に暮らしていたことが想像されます。
モヘンジョ・ダロの入場料
入場料は、世界遺産としては破格の300ルピー(220円)です。(2021/5月現在)
入場の際、外国人は受付で渡される訪問台帳に名前と国名、パスポートナンバー、訪問日の日付と入場時間を記載します。因みに、筆者の上に名前が書かれた観光客は、4か月前に訪問したフランス人2名でした。あまり訪問者はいないようですね。
モヘンジョ・ダロ周辺の治安
モヘンジョ・ダロ周辺にはイスラム原理主義の過激派集団が潜伏している場合があり、あまり治安が良いとは言えません。その集団は普段は遺跡まで入ってきませんが、遺跡を広範囲に歩くには注意が必要です。
モヘンジョ・ダロへの行き方
モヘンジョ・ダロ周辺は観光が発展していないこともあり、遺跡自体、決して行きやすい場所ではありません。周辺にはほとんどホテルもなく、モヘンジョ・ダロ美術館併設の宿泊施設のようなものも空室の有無が事前にはっきりしないため、近隣都市から日帰りするのがベターです。
近隣の都市サッカル(Sukkur)から車で行く
サッカルは、モヘンジョ・ダロから77Kmほど離れた都市です。フライトは、パキスタンの首都イスラマバードから毎日、南部の大都市カラチから週3回あります(2021/5現在)。
インダス川沿いの街ですので、観光ついでに行かれてみてはいかがでしょうか。
パキスタンの中では田舎町のため結構なカオスぶりで、人、馬、ロバ、荷馬車や自転車、オートリクシャーも車もごちゃ混ぜに行き交う幹線道路など、お隣インドでは一般的ながら、パキスタンでは珍しい光景が見られます。
南部の大都市カラチから飛行機で行く
南部の大都市カラチからのみ、モヘンジョ・ダロ空港へパキスタン航空の国内線フライトがあります。しかし週一本のみのうえ、搭乗客が少ないと欠航になるなど不安定です。また、モヘンジョ・ダロ空港1~2時間の滞在でカラチへ戻ってしまいますので、遺跡をじっくり探訪したい方には飛行機のみの日帰りは厳しそうです。
筆者のモヘンジョ・ダロ訪問コース
筆者は、イスラマバードからサッカルへ飛行機で行き、サッカルで一泊した翌朝、モヘンジョ・ダロ遺跡入り口までタクシーで行きました。
荷物はタクシーに保管してもらい、遺跡を一通り見学したあと、同じタクシーに乗って直ぐ近くにあるモヘンジョ・ダロ空港へ向かい、飛行機に乗ってカラチへ抜けました。
尚、サッカルのホテルでモヘンジョ・ダロ行きのタクシーを手配すると、こちらが何も言わなくとも、運転手のほかにライフル銃を携行した警察が移動中の警備のため必ず一人同行してくれます。
遺跡内も警護に当たってくれますので安心です。基本はフリーですが、少しばかりの気持ち(1,000円くらい)はお渡しすると良いでしょう。サッカル~モヘンジョ・ダロ遺跡~モヘンジョ・ダロ空港のタクシーは日本円2,000~3,000円で交渉するとよいです。
日本からパキスタンへ
日本からパキスタンへ、パキスタン航空が成田からの直行便(北京トランジット)をイスラマバードおよびカラチへ出しています。(2021/5現在)
- モヘンジョ・ダロ遺跡
- パキスタン / 史跡・遺跡 / 世界遺産
- 住所:moenjodalo pakistan地図で見る
- Web:http://whc.unesco.org/ja/list/138