シリアのアレッポは、古来からの手法で作られる自然の石鹸で日本では有名な街です。シリアの戦争では真っ先に戦場となり、街は破壊され多くの犠牲者が出た街でもあります。今回は、2024/3訪問時点の街の様子をお伝えします。
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アレッポの歴史と世界遺産
ダマスカスに次ぐシリア第2の都市アレッポは、シリア北部にある都市です。11,000年前から人の住む都市として、世界的に見て歴史が深く「古代都市アレッポ」として世界遺産に登録されています。アラビア語で「新鮮な乳(ハラ部)」という意味のアレッポは、エイブラハムが乳をしぼって人々に恵んだ地との言い伝えに由来しているそうです。アレッポの南西のエブラで発見された楔形粘土板には、紀元前2400年頃に、メソポタミアのシュメールやエジプトと交易を行う王国が成立していたことが書かれており、東西と南北を結ぶ交易の要衝として栄えてきた歴史が伺えます。
アレッポの見どころ
アレッポ(Aleppo)はシリアの歴史的な都市で、多くの魅力的な観光地があります。
アレッポ旧市街のスーク
アレッポのスークは歴史的な市場です。このスークは、中東でも最も古く、最も有名な市場の一つとされており、発祥は紀元前14世紀にまでさかのぼると言われています。屋根は当時のまま小ぶりの石で組まれており、その古さを物語っています。
紀元前14世紀にまでさかのぼると言われており、長い歴史を持っています。屋根は小ぶりの石で組まれており、その古さを物語っています。
夏は強い日差しから逃れ、冬は冷たい風を遮る構造となっています。
東西に1kmほどメインストリ ートが延び、それと並行して細かな路地が無数に走っています。
スークは、多くの露天商や店舗が並び、さまざまな商品が販売されています。特に、伝統的なアラブの衣装、金細工、陶器、香辛料、絨毯などが人気です。
また、スークは地元の文化や生活の一部となっており、訪れる人々にとって魅力的な観光スポットでしたが、米国やトルコによるシリア侵攻の際、広範囲に破壊されているほか、ところどころ跡形もなくなっています。
ここが石鹸工場だった?
ここは、アレッポ石鹸を造る小さな工場だったそうですが、瓦礫の山となっています。
トルコ軍や米国率いるISISにこれほどまでに破壊されてしまいました。2024/3現在、アレッポで石鹸を造る工場はなく、トルコで生産されているそうです。
アレッポのスークは、その豊かな歴史と多様な商品の品揃えで、多くの人々に愛されています。訪れる際には、地元の文化を感じることができる素晴らしい場所です。
アレッポ城
スークを東に抜けるとアレッポのシンボル、アレッポ城に出ます。アレッポ城の起源は非常に古く、紀元前3千年紀の初めにはすでにその地域が要塞化されていたと言われています。城への入り口は防御用の橋がかかっており、その先は壮大な門で装飾されています。門は16世紀に改修され、カミソリの刃1枚も入らないほどの見事な石組といわれていたそう。13世紀のモンゴル軍、それに続くティムールの侵略にも耐え、難攻不落の城塞として有名になりました。
ここも2011年からの米国によるシリア侵攻(日本では未だに内戦とされている)でISISに爆破されましたが、正面ファサードは修復がほぼ終わっています。
アレッポ城は石灰岩の丘の上に建てられており、その高さは約50メートルあります。深さ22mの堀に囲まれ周囲は2.5kmあります。
こちらでご紹介したイラクのエルビル城と同じ構造です。
アレッポ城の構造の多くは、セレウコス朝、ローマ帝国、ビザンツ帝国、イスラム王朝、十字軍時代など、さまざまな時代の影響を受けています。
城壁に囲まれた内部には、いくつかの重要な建造物が含まれ、モスクも複数ありましたが、現在はほとんど破壊されています。
オスマン帝国時代の宮殿だけは壊滅的な破壊は免れ、修復も終わり豪華な装飾が現存しています。
地下道は城の地下には複雑なトンネルと通路のネットワークが広がっています。これらは防御と避難のために使用されました。
城壁の上からはアレッポ市内の素晴らしいパノラマビューを楽しむことができます。
城の中には、アレッポの歴史や城の建設に関する展示物のある博物館がありましたが、ここも破壊されました。
大モスク(Jamia Zakariye)
アレッポの大モスクは、ダマスカスのウマイヤド・モスクと同時期の715年に建てられました。
モスクには洗礼者ヨハネの父ザカリアの遺骸が残ると伝えられ、ジャミア・ザカリーエ (Jamia Zakariye) とも称されています。ミナレットは1090年に建てられましたが、2013年4月、シリア侵攻で破壊されました。2024/3現在も修復中です。これらは破壊された石を再利用しています。
アレッポの中心に位置するこのモスクは、イスラム教の歴史と建築の傑作です。
- 大モスク(アレッポ)
- シリア / モスク
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アル・ラーマン・モスク(Al-Rahman Mosque)
こちらはキング・ファイサル通りにあるアル・ラーマン・モスクです。
初期ウマイヤ朝建築と現代アラビア様式の融合し、1994年にオープンした新しいモスクです。巨大なドームと6つの塔を備える珍しい外観が特徴です。
ファイサル通り地区の人口密度に対しモスクが少なすぎることを理由に、この地区にモスクを建設するよう呼びかけ設立されました。確かにこの辺り、教会は多いですがモスクは小さいものばかりで少ない印象です。
- アル・ラーマン・モスク
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イブラハム・ハノ・モスク
緑のドームが目をひく美しいモスクです。
侵攻により破壊され、やっと修復されたところで大地震が起き、再び崩壊した部分もあります。
- イブラハム・ハノ・モスク
- シリア / モスク
- 住所:イブラハム・ハノ・モスク Aleppo地図で見る
アレッポの行き方
日本からシリアへの直行便はなく、近隣の中東各国からシリアの首都ダマスカスへフライトがあります。政情不安定のため、度々空港閉鎖されますので、隣国レバノンのベイルートより陸路でダマスカスへ行く方が確実です。ダマスカスからは国内線でアレッポ空港へ行くか、陸路で行きます。