東ティモールは、ポルトガルの植民地やインドネシアによる併合を経て20世紀に入り独立した新しい国です。これといった観光名所はないのですが、雄大な自然が美しい静かな国。しかし、独立までの道のりは決して静かではありませんでした。歴史的な遺物のない首都ディリで、歴史を探訪します。
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東ティモールの位置
東ティモールは、東南アジアのティモール島東部に位置し、正式名は「東ティモール民主共和国」といいます。
- 出典:www.openstreetmap.org© OpenStreetMap contributors
ティモール島の西側半分はインドネシアです。
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東ティモールの歴史
東ティモール島は、紀元前よりオーストラリアとメラネシアの人々が住んでいたとされていますが、特にそれを示すような遺物は残っていません。
16世紀に入るとポルトガルによって植民地化され、その後オランダが進出し西側を割譲したことで、ティモール島は東西に分断されました。第二次世界大戦中は、日本がこの島全体を占領しましたが、終戦とともに返上されています。
1975年、東ティモールはポルトガルで起こったカーネーション革命をきっかけにして、一方的にポルトガルからの独立を宣言します。しかし、そのわずか9日後にお隣インドネシア軍が侵攻してきたことによって、不法に占拠・併合されてしまいます。インドネシアの一つの州として占領されていた二十数年の間、東ティモール人はその不本意な侵略に対して抵抗に抵抗を重ね、10万人以上が亡くなったといわれています。
1999年には、インドネシアからの独立に国連が支援するかたちで国民投票が行われ、圧倒的多数の独立支持を得ましたが、インドネシア軍は輪をかけて多くの東ティモール人を殺害。或いは、西側(インドネシア)へ強制的に連行し、東側(東ティモール)のインフラを徹底的に破壊しました。
アジアで一番新しい国の誕生
東ティモールは、1999年10月に設立された国連の暫定政権に引き継がれます。そして新たな憲法を起草し、2001年に選挙が行われ、2002年5月に正式に独立しました。これ以降に新たな国はアジアで発生していないので、東ティモールはアジアで一番新しい国です。
首都ディリの様子
上述したように、首都ディリをはじめ周辺の州にいたるまで、様々なインフラがインドネシアによって破壊されたことで、歴史・文化的遺産が形としてない東ティモールは、有形の世界遺産を保有していない数少ない国でもあります。
実際に訪ねてみても、この国の歴史や文化などを感じられる名所らしきものは、全くと言っていいほどありません。在るのは、近年建てられたであろう比較的綺麗な建物と自然だけ。かと言って、これまで歴史がなかったわけでは決してありません。