東ティモール

【東ティモール】アジアで一番新しい激動の国

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:191ヶ国

2023年6月27日更新

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写真:toshel

東ティモールは、ポルトガルの植民地やインドネシアによる併合を経て20世紀に入り独立した新しい国です。これといった観光名所はないのですが、雄大な自然が美しい静かな国。しかし、独立までの道のりは決して静かではありませんでした。歴史的な遺物のない首都ディリで、歴史を探訪します。

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東ティモールの位置

東ティモールは、東南アジアのティモール島東部に位置し、正式名は「東ティモール民主共和国」といいます。

ティモール島の西側半分はインドネシアです。

東ティモールの歴史

東ティモール島は、紀元前よりオーストラリアとメラネシアの人々が住んでいたとされていますが、特にそれを示すような遺物は残っていません。

  • 写真:toshel

16世紀に入るとポルトガルによって植民地化され、その後オランダが進出し西側を割譲したことで、ティモール島は東西に分断されました。第二次世界大戦中は、日本がこの島全体を占領しましたが、終戦とともに返上されています。

  • 写真:toshel東ティモールの国際線ターミナルへ送迎にくる人々

1975年、東ティモールはポルトガルで起こったカーネーション革命をきっかけにして、一方的にポルトガルからの独立を宣言します。しかし、そのわずか9日後にお隣インドネシア軍が侵攻してきたことによって、不法に占拠・併合されてしまいます。インドネシアの一つの州として占領されていた二十数年の間、東ティモール人はその不本意な侵略に対して抵抗に抵抗を重ね、10万人以上が亡くなったといわれています。

  • 写真:toshel現在でも若者のデモは続く
  • 写真:toshel現在でも若者のデモは続く

1999年には、インドネシアからの独立に国連が支援するかたちで国民投票が行われ、圧倒的多数の独立支持を得ましたが、インドネシア軍は輪をかけて多くの東ティモール人を殺害。或いは、西側(インドネシア)へ強制的に連行し、東側(東ティモール)のインフラを徹底的に破壊しました。

アジアで一番新しい国の誕生

東ティモールは、1999年10月に設立された国連の暫定政権に引き継がれます。そして新たな憲法を起草し、2001年に選挙が行われ、2002年5月に正式に独立しました。これ以降に新たな国はアジアで発生していないので、東ティモールはアジアで一番新しい国です。

  • 写真:toshelディリ市庁舎

首都ディリの様子

上述したように、首都ディリをはじめ周辺の州にいたるまで、様々なインフラがインドネシアによって破壊されたことで、歴史・文化的遺産が形としてない東ティモールは、有形の世界遺産を保有していない数少ない国でもあります。

実際に訪ねてみても、この国の歴史や文化などを感じられる名所らしきものは、全くと言っていいほどありません。在るのは、近年建てられたであろう比較的綺麗な建物と自然だけ。かと言って、これまで歴史がなかったわけでは決してありません。

  • 写真:toshel

歴史を感じられる場所

東ティモール・レジスタンス博物館 (The Archives & Museum of East Timorese Resistance)

ポルトガルによる領土化とインドネシアによる併合・圧制、そして東ティモールの抵抗と独立までの激動の軌跡を知ることのできる博物館です。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

東ティモールという極めて小さな国が、他国による支配でどれだけの苦悩に直面していたかを知るうえで、とても貴重な写真やビデオを展示しています。

  • 写真:toshel

これが高々20年前の出来事かと思うと、同じアジア人としては非常に悲しい歴史です。東ティモールを訪れたら、必ず立ち寄ってほしい博物館です。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel
東ティモール・レジスタンス博物館
東ティモール / 博物館
住所:東ティモール博物館地図で見る

サン・アントニオ・モタエル教会(Church of Saint Anthony of Motael)

ディリ中心部から海沿いを西へ歩くと、クラシックなデザインの教会が見えてきます。

  • 写真:toshel

ポルトガル植民地時代に建てられた、東ティモールで最古のローマカトリック教会です。最初の建物は1800年頃に建てられましたが、幾度か破壊され、現在の建物は1955年に再建されたものです。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

この教会は、歴史の転換点になった重要な場所でもあります。1991年10月、インドネシアの占領に反対するデモを起こした若い独立活動家セバスチャン・ゴメスは、身を潜めていたこの教会でインドネシア治安部隊に射殺されました。

  • 写真:toshel
  • 写真:toshel
  • 写真:toshel

1991年11月、ゴメスを追悼したのち、この教会前でデモが始まり、サンタクルス事件が発生したのです。

  • 写真:toshel

サンタクルス事件とは、こちらの教会を出発した独立を求める一般市民のデモ行進に、インドネシア軍が無差別発砲して大量の死者を出した事件です。

  • 写真:toshel

この一件より、東ティモール問題は国際的な大事件へと発展し、世界中の人々の関心を寄せ始めました。そして、一気に独立の機運が高まったのです。

サン・アントニオ・モタエル教会
東ティモール / 教会
住所:Church of Saint Anthony of Motael timor dil地図で見る

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地球旅~現在192ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

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