地中海に面したアフリカ大陸のチュニジアは、古くから地中海交易の中心として栄えてきた国です。古代よりフェニキア、ローマ帝国、アラブ王朝、オスマン・トルコ帝国、フランスの支配を受けてきたため、複雑な歴史と文明をもちながらも多様な文化を受け入れてきました。中でも首都チュニスはそれらの時代背景が濃縮されている場所で、様々な影響を未だ色濃く残している素敵な街です。今回はそんなチュニスで必見の観光スポットと共に、チュニスから少し離れた場所にある、チュニジアで最も美しいと言われている街も合わせてご紹介します。
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アラブとフレンチの交差点
チュニジアの首都チュニスの「新市街」は、フランス統治時代に建設されたヨーロッパ風の建築物が多く、街を歩いているとかつてプチ・パリと呼ばれたチュニジア風アール・ヌーヴォーの街並みを堪能することができます。
古代ローマ時代のモザイクの多彩なコレクションが世界一といわれる「バルド国立博物館」へ行けば、古代ローマ時代にテレポートした気分を味わえます。一方で、「旧市街メディナ」に入り込めば、完全にイスラム文化の世界!迷路のような路地が張り巡らされ、活気あふれるイスラムの生活を垣間見ることができます。このように、チュニスはまさに、様々な顔をもつ都市です。
はたまた、チュニスから少し離れたチュニジアン・ブルーで彩られた家並みの街「シディ・ブ・サイド」に行けば、地中海リゾートを存分に味わうこともできてしまいます。この「チュニジアン・ブルー」の景色はシディ・ブ・サイドだけでなく、首都チュニスの街中にも多く点在しています。
そしてこれらは、時代によって様々な国に支配されてきた影響がそれぞれ独立して存在しているのではなく、うまく融合していることで、チュニスの魅力を一段と際立たせています。
異文化の溶け合うチュニジアの首都チュニス
それでは以下より、チュニスの美しき見どころを紹介します。
チュニスのメイン通り「ハビブ・ブルギバ通り」
チュニスの一番のメイン通りとなる「ハビブ・ブルギバ通り」は、道沿いにホテルやブティック、レストランなどがひしめく賑やかな大通りです。
多くの市民やビジネスマン、観光客がカフェでおしゃべりを楽しんだり、ベンチで休んだりしているなど、人が集まる場所です。
- ハビブ・ブルギバ通り
- チュニジア / 町・ストリート
- 住所:Avenue Habib Bourguiba地図で見る
チュニス大聖堂
ハビブ・ブルギバ通り沿いにあり、ひときわ目立つチュニス大聖堂は、メイン通りの独立広場に隣接しています。
国民の98%がイスラム教徒というチュニジアですが、フランス統治時代にはキリスト教も少なからず広まり、街には教会も建っています。ほとんどの国民がイスラム教徒である国ながら、このように首都の中心に堂々と教会が建っている様は、歴史に翻弄されつつも多様な文化が生まれ、それらを受け入れてきた寛容さと多様さを反映している感じがします。
チュニス大聖堂は歴史的な建造物で、内部の装飾も素晴らしいです。
街の喧騒から離れ、静寂を求めたい場合にもお勧めの静かな教会です。
フレンチ・チュニスのコロニアル建築
メイン通りを少し外れると一般家庭が並ぶ小路が続いていますが、ここでも、フレンチ・チュニスのコロニアル建築は続きます。
ヨーロッパ世界とアラブ世界が交錯し、古代と近代が良い感じでブレンドされた異国情緒あふれる街です。日常の風景にも歴史や情緒を感じられるため、チュニスの街を歩くのはとても楽しいですよ。
路面電車(メトロ)
メトロと呼ばれているので、筆者はてっきり地下鉄かと思いましたが、こちらのメトロ(路面電車)は、ハビブ・ブルギバ通り近くにあるバルセロナ駅を中心として四方に広がるライトレールです。
2018年11月現在は6路線。わりと遠くまで伸びており、市民の足として古くから馴染まれてきた路面電車です。この後にご紹介する「バルド国立博物館」や「シディ・ブ・サイド」も、こちらのメトロで行くことができます。
Clock Tower of Habib Bourguba
ハビブ・ブルギバ通りの歩道を地中海へ向かって歩いていくと、こちらの時計塔があります。周りは噴水になっており、これといって特長もないのですが、多くの人が座って寛いでいます。
- Clock tower of Habib
- チュニジア / その他スポット
- 住所:Clock of Habib bourguiba avenue地図で見る
古代ローマ時代のモザイクコレクションは世界一「バルド国立博物館」
歴史深いチュニジアでは、多くの出土品や美術品が発掘されています。バルド国立博物館は、古代ローマ時代の貴重な遺産を多く展示しており、特にモザイクの多彩なコレクションは世界一の所有数といわれています。
古代ローマ時代のモザイク画
館内に入ると若干「展示し過ぎなのでは?」と思うほど、隙間なくモザイクが飾られています。
チュニジアで発掘された有史以前からの出土品や美術品が、時代別、テーマ別に展示されています。
一つ一つが緻密かつ優美で、その時代の背景を如実に表しています。鮮烈な色彩の描写は、どこか温かさを感じますね。
それにしても、階段の踊り場や廊下、天井にまで、「これでもか!」と多くのモザイク画が展示されており、世界一といわれるその作品数の多さに圧倒されます。
古代ローマ時代の彫刻
モザイクばかりではありません。古代ローマ時代の彫刻も多く展示されています。
イスラム装飾
陽光を取り入れる部屋には、水の流れる噴水があります。この部屋を見ると、イスラムの香りを感じさせますね。
その周りの部屋の天井は正にイスラム。
とても美しいです。わりと広い美術館ですが、壁という壁、天井という天井に余すことなく趣向が凝らされています。
建物は、かつてオスマン・トルコ帝国の地方長官ベイが暮らした宮殿で、それだけでも一見の価値ありの美術館です。
バルド国立博物館の概要
- 開館時間:6/1~9/15 9AM – 5PM、9/16~5/30 9:30AM – 4:30PM
- チケット:11TD(チュニジアディナール)≒440円(カメラ持ち込みの場合1TD≒40円の追加料金)すべて現金のみ
- 行き方:バルセロナ駅始発のメトロ4番に乗りBardo駅で降りるか、タクシーを利用します。
ヨーロッパからの観光客が非常に多く、午後になるとかなり混雑しますので、午前中の早い時間に入られることをオススメします。
- バルド国立博物館
- チュニジア / 博物館・美術館 / 博物館
- 住所:バルド国立博物館地図で見る
- Web:http://www.bardomuseum.tn/index.php?lang=en