東京に数ある中東料理店の中でも特に有名な、北区・十条のパレスチナ料理店「ビサン/Bisan」を紹介します(値段、メニューも)。中東料理やパレスチナ料理についても解説。
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中東料理とパレスチナ料理について
中東料理
- 出典:gauchan.xyz中東料理のお惣菜盛り合わせ「メゼ」。画像:がぅちゃんのブログ
中東料理は、中東で食される料理の総称です。中東に該当する国は数十ヶ国存在するので(見方によって数は変わる)、中東料理は広範囲をカバーする料理といえます。
中東料理の中でも、東地中海一帯の食文化は「レバント料理/Levantine cuisine」と呼ばれます。パレスチナ、レバノン、シリア、イスラエルなどの料理がレバント料理に含まれます。外国から見たらどの料理も同じに見える、という意見があってもおかしくないくらい似通っている状態です。
パレスチナ料理
パレスチナで暮らしているパレスチナ人にとって、郷土料理はパレスチナ料理と言えます(レバント料理という見方もできます)。隣国のイスラエルとは食文化がかなり似ており、「フムス/Hummus」や「ファラフェル/Falafel」は、どちらの国でも名物料理です。
- 出典:gauchan.xyzフムスの例。画像:がぅちゃんのブログ
- 出典:gauchan.xyzファラフェルの例。画像:がぅちゃんのブログ
フムスはひよこ豆のペーストで、ピタパン(円形のフラットブレッド)をつけて食べるのが一般的。ファラフェルはひよこ豆のコロッケで、ピタパンに挟んでファラフェルサンドとして食べることもあります。
- 出典:gauchan.xyzファラフェルサンドの例。イスラエルではイケアでも売られている。画像:がぅちゃんのブログ
もともと同じ地域の土地を人工的に分けてできたのがパレスチナとイスラエルなので、両国の食文化が共通するのはそこまで異様なことではないです。
北区・十条のパレスチナ料理店・ビサンとは
ざっくりした中東料理ではなく、ピンポイントで「パレスチナ料理」と言い切っているのが「ビサン/Bisan」。パレスチナ料理店は日本では数店しか存在しないので、珍しいお店と言えます。
ビサンはパレスチナ料理だけでなく、日本で一般的に中東料理と認知されている料理も扱っています(トルコのドネルケバブなど)。日本で広く認知された中東料理も提供しつつ、その芯にあるパレスチナを伝えようという気概が感じられるお店です。
ビサンの雰囲気
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
中東料理店であることはもちろん、パレスチナ料理店だというのが伝わるビジュアル。看板の写真に現地の名所「岩のドーム/エルサレム旧市街」が写っていて、説得力があります。岩のドームは、京都でいう金閣寺のような場所です。
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
インテリアからは、パレスチナの! というアイデンティティの主張が伝わってきます。パレスチナの地図や国旗、パレスチナの著名な政治家「ヤーセル・アラファート」の写真などが印象的です。
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
(イスラエルとして視ることも可能な)パレスチナという地域を、アラビア語で視る人の世界線をなぞっているような気分が味わえます。食べる前から味わい深いです。
ビサンのメニュー
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
「パレスチナの本格家庭料理。それは、中東で待つ優しい母の味」という文字がまず目に入ります。つまりビサンの料理のコンセプトはパレスチナの家庭料理。パレスチナの定番料理といってよいでしょう(とはいえトルコの料理などもあります)。
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
メニューは写真付きで、それぞれの料理に簡単な説明があります。図鑑を見ている楽しさを感じました。知らない人に丁寧に伝えたいというフレンドリーさを感じるメニューです。
フムス(ホンムス)
フムス※は日本のポテサラくらい個性の幅が広い料理なのですが、ビサンのフムスはクリーミーです。中東のゴマペースト「タヒーニ/Tahini」の風味が強く感じられ、塩もしっかりめで食べ応えがあります。
ビサンのフムスは、イスラエルで人気とされるフムスの傾向と似ている気がしました。イスラエル人が食べても「これこれ!」となる気がします。
※フムス(Hummus)のカタカナ表記にはバリエーションが存在します(ホンモス、フンムス、フムス、ハモスetc)。
- フムス/900円
ファラフェル
ファラフェルの説明で「ひよこ豆のコロッケ」という表現がよく使われますが、本当にコロッケを食べている気分でした(日本のお惣菜屋さんにあるようなやつ)。「おかんが作った」とか言われれば納得する食べ応えです。
念の為ですが、ファラフェルはコロッケではないです。衣は使わず、すり潰したひよこ豆や香辛料を、そのまま揚げます。コリアンダーやクミンの風味が強いので、日本で言うカレーに近い味がします。
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
ビサンのファラフェルは家庭的ゆえに唯一無二といった味わいで、「イスラエルのファラフェルではない」と言い切れそうな味です。とても美味しいです。
- ファラフェル/1300円
ビサン=パレスチナ料理/裏イスラエル料理
- 出典:gauchan.xyz画像:がぅちゃんのブログ
レストランのビサンはパレスチナ料理ですが、町のビサンはイスラエルにあります。「Beit She'an/בית שאן」とも呼ばれており、奇しくもイスラエルの北区(Northern District/北県とも言える)に位置します。
イスラエルの北区にはパレスチナ系の市民が多く暮らしており、「アラブ系市民※」などと総称されます。郷土料理の解釈には幅があり、パレスチナ料理、パレスチナ系イスラエル料理、アラブ系イスラエル料理、などと言えるのかもしれません。
※「アラブ系市民」はイスラエルの国民の2割を占めますが、アラブ系市民の全てがパレスチナ系というわけではないです。
- 出典:en.wikipedia.orgビサンの位置。
現地の郷土料理については、「イスラエルがイスラエルになる前から住んでいた人が食べていた料理」と言える可能性もあります。こういった事情があるため、「イスラエル料理は無い」など言われたりもします。(イスラエル建国は1948年)。
パレスチナ料理と主張するのは、日本で無理矢理例えるならば、「だし巻き」を日本料理でもなく関西料理でもなく京料理と主張するスタンスに遠からず近からずな状態です(なるべくしての理由はきっとある)。
ビサンの料理はパレスチナの家庭料理であると同時に、(裏)イスラエル料理という見方もできるのではと思います。
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