チェコの首都・プラハの中央部にある「プラハ市民会館」はコンサートホールであるスメタナホールを擁していることで有名です。またこの「市民会館」はチェコを代表するアールヌーヴォー建築。建物の外側にも内側にもアールヌーヴォーの要素が取り入れられています。実はこの市民会館ではガイドツアーを実施しており、ミュシャが手掛けた部屋はこのツアーでしか見ることができません。今回はそのガイドツアーの見どころをご紹介します。
この記事の目次表示
プラハ市民会館とは?
プラハ市民会館はコンサートホールやレストラン・バーを擁している建物です。もともとはこの場所に王宮がありましたが、20世紀初頭にその王宮は破壊されたと言われています。
1902年に市当局が再建を計画、1912年に完成した建物には現在はコンサートホールやレストランなどの施設が入っています。この建物自体もアールヌーヴォーの要素を各所にちりばめた美しい建物として知られています。
ところで、アールヌーヴォーとは?
19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心広がった美術で、アールヌーヴォーとは「新しい芸術」という意味。美しい花や柔らかい曲線が特徴で、日本でも有名なミュシャ(チェコ語だと「ムハ」と言います)はこのアールヌーヴォーの代表的人物です。
ガイドツアーに参加しよう!
ガイドツアーはHP(こちら)から予約することができますが、空席があれば、当日、受付でも申し込むことができます。時間帯によって英語・チェコ語と分かれているの注意が必要です。
ツアーの最初に、出身国を聞かれ、「日本!」と言うと、日本語の「ガイド要約集」を貸してくれました。これがあると、英語での説明がより深く理解できますので、ぜひ借りましょう。
ツアーの見どころ
このガイドツアーでは、スメタナホールやコンフェクショナリーなど11か所をまわりますが、今回は、この見学ツアーのハイライトをご紹介します。
Smetana Hall(スメタナホール)
スメタナホールはクラシックファンにとっては憧れのホール。1,200席を擁し、現在でも国際的な音楽フェスティバル「プラハの春」のオープニング・クロージングコンサートのほか、様々なコンサートのための会場として使用されています。あの『のだめカンタービレ』の映画のロケ地にもなった場所です。
世界最大級のパイプオルガンは圧巻です。
コンサートホール自体はそんなに大きくはないのですが、目を引くのが装飾の数々。
高いところにある席は市長の特別席、なんだとか。その隣の壁画も美しいものです。
このホールの名前の「スメタナ」とは、チェコを代表する作曲家「ベドルジハ・スメタナ」のことです。合唱曲としても有名な「モルダウ」を含んでいる交響詩「わが祖国」がよく知られています。
Confectionery(コンフェクショナリー)
女性のための休憩室の一つ。こちらには鏡の壁や漆喰の装飾が特徴的な部屋になっています。照明が鏡に反射されてとても明るい印象のお部屋です。
大理石で作られたテーブルも美しい!この大理石は天然大理石だそうで、ガイドさんからは「天然大理石」と「人工大理石」の違いを知る方法も教えてもらいました。天然大理石は触ると人工大理石よりも冷たいのだとか!
椅子も一つ一つが美しく、部屋のどこを見ても美しさであふれています。椅子は部屋によっては座ってもいいところもありますので、ガイドさんが言っている注意に耳を傾けててくださいね。
Moravian Slovak Parlour(モラビアン-スロバック パーラー)
こちらも休憩室として使われていたお部屋です。1つ前のコンフェクショナリーに比べると部屋全体の雰囲気はシンプルな感じですが、調度品が何ともゴージャスな雰囲気を醸し出しています。
こちらは実際に使われていた水槽。水槽もこのような彫刻が施されており、側面にはアールヌーヴォーの特徴と言えるカタツムリも施されています。
Božena Němcová Parlour(ボジェナ・ニェムツォヴァー パーラー)
ボジェナ・ニェムツォヴァーはチェコを代表する小説家。彼女の名前が使われているこの部屋も休憩室として使われていました。このお部屋には美しいモザイクが特徴の噴水があります。モザイクだけを見ていてもとてもきれいですが、ここに水が流れているとより美しいのだろうなぁと想像力をかきたててくれるお部屋です。
Grégr Hall(グレーグルホール)
19世紀~20世紀にチェコで影響力のあった新聞社National Dailyを創設した、グレーグル氏の名前を擁したこのホール。このホールにはフランティシェク・ジェニシェクというチェコを代表する芸術家が手掛けた絵が壁一面に掲げられています。誕生から死までを表した三部作です。
Mayor's Hall(市長の間)
この市民会館のガイドツアーで一番の目玉がこの「市長の間」。こちらのホールはミュシャによってつくられ、アールヌーヴォーの美しさであふれた部屋です。
天井画もとてもきれいです。
ステンドグラスもとても美しい!
特徴的な紫とブルーが混ざったような美しい色で囲まれて、不思議な空間にいる感覚です。表現することがとても難しい、でも美しくていつまでもこの空間にいたい気分にさせられるホールです。
Sladkovský Hall(スラドコフスキーホール)
市長の間をはじめ、いくつもある他のホールとは違い、壁画装飾のないホールがこのスラドコフスキーホールです。カーテンやシャンデリアといった職人の手作業で作られた調度品たちがとても印象的。この部屋はチェコのジャーナリストであるカレル・スラドコフスキーの名前を擁しています。
最後に
以上、プラハ市民会館の見どころのご紹介でした。プラハというと、プラハ城やカレル橋が観光の中心となってしまうと思いますが、この市民会館も見どころが沢山ありますので、ぜひガイドツアーに参加して、プラハで花開いた芸術文化を堪能してみてください。
- プラハ市民会館
- チェコ / 建造物
- 住所:nám. Republiky 5, 111 21 Staré Město, Czechia地図で見る
- Web:http://www.obecnidum.cz/en/