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【東トルキスタン】ウィグルの古都カシュガルの見どころ

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東京在住
訪問エリア:192ヶ国

2025年8月26日更新

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写真:toshel

カシュガルは、東トルキスタン(中国新疆ウイグル自治区)の西端に位置するシルクロードの要衝として栄えた歴史深い都市です。ウイグル文化のまだ残るこの地には、異国情緒あふれる見どころがあります。

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東トルキスタン(新疆ウィグル)の歴史

カシュガル(喀什)は、東トルキスタン(中国新疆ウイグル自治区)の西端に位置する都市です。シルクロードの交差点として2000年以上の歴史を持つ重要な文化都市で、その歴史は多民族・多文化が交錯する壮大な地でした。まずは、カシュガルの歴史を簡単にお伝えします。

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古代から現代:交易と宗教の交差点

  • 紀元前2世紀:前漢の史書に「疏勒国(そろく)」として登場。西域36国の一つで白色人種国家の都と記される。
  • 紀元前119年:漢の勢力下に入り、紀元前60年には西域都護府が設置され、中国の正式な領土となる。
  • 7世紀:唐代に安西都護府が設置され、軍事交易の要衝として発展。仏教とイスラム教の混在する文化都市となる。
  • 9〜10世紀:モンゴル高原からウイグル人が移住し、カラハン朝がカシュガルに都を置きイスラム化が進む。
  • 中世以降:契丹、西遼、チャガタイ・ハン国、ヤルカンド・ハン国などが支配。多くの王朝がこの地を巡って争う。
  • 18世紀:清朝時代にカシュガル直隷州が設置され、南疆の行政拠点に。
  • 19世紀〜20世紀初頭:ロシア、イギリス、中国の勢力が交錯し地政学的に重要な都市となる。
  • 1933年:「東トルキスタン・イスラム共和国」が成立するも、すぐに中華民国の支配下に戻る。
  • 1952年:カシュガル市が正式に設立。
  • 現在:シルクロード経済ベルト構想のもと、道路網が整備され貿易都市として再開発。
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カシュガルは、古代から現代に至るまで、東西の文化・宗教・政治の交錯する「歴史の交差点」として発展してきました。そして、シルクロード交差点としての歴史的背景と、ウイグル族を中心とした多民族・多宗教の融合によって形成された独自の文化がありました。また、仏教からイスラム教への宗教的変遷、王朝の興亡、そして近代においては地政学的緊張があり、現代は都市再開発により本来の歴史的文化がほとんど失われつつあります。

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シルクロード文化の交差点カシュガル

上述のようにカシュガルは、古代より東西交易の中継地として栄え、中国、中央アジア、ペルシャ、インド、さらにはヨーロッパの文化が交差するシルクロードの要衝でした。交易を通じて、物資だけでなく宗教・芸術・言語など多様な文化が流入し、独自の文化的融合が行われてきました。

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また、9世紀以降にイスラム教が広まると、イスラム文化(宗教・教育・芸術)の中心地として、イスラム建築の美しさと信仰の深さがウィグル族の象徴となります。

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カシュガルの主な見どころ

カシュガルの主な見どころをご紹介します。

カシュガル旧市街

カシュガル旧市街は、歴史的な都市構造と城壁に囲まれた伝統的な商業・居住区です。ウイグル族の文化が残るこのエリアは、旧市街全体が城のような構造をしており「カシュガル古城(喀什古城)」として知られています。

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これは、かつての交易都市として発展し、外敵から守るために城壁で囲まれていたためです。現在も一部の城壁や門が残っており、街全体が「城塞都市」のような雰囲気を醸し出しています。

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カシュガル旧市街は、伝統的なウイグル建築、職人工房などがあります。迷路のような路地に土壁の家々が密集し、職人の工房や市場が軒を連ねる歴史地区です。

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陶芸、絨毯織り、木工細工などの手工芸は、世代を超えて受け継がれており、文化遺産としての価値が高いです。

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また、イスラムらしい青いドアや彫刻窓が印象的です。

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旧市街でよく見かける車輪のオブジェは、古い荷車の車輪を再利用した装飾品でウイグル文化やシルクロードの歴史的背景を象徴するアイテムとして使われています。

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カシュガルは古代シルクロードの要衝であり、荷車は物資を運ぶ重要な手段でした。車輪はその「移動」「交流」「繁栄」を象徴しています。昔ながらの荷車は、農業や市場での物資運搬に使われていました。

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現在ではその車輪が、伝統と現代の融合として街の装飾に活かされています。この車輪のオブジェは、カシュガルの「動き続ける歴史」を静かに語る存在です。

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エイティガール・モスク

こちらは旧市街にある中国最大級のイスラム教モスクです。1442年に建てられた歴史ある建物ですが、外壁こそ美しく保たれているものの内部は損傷がひどく、礼拝所での礼拝は禁止されています。完全に観光地化しており、モスクながら入場料も必要です。

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鉄製造工場(鍛冶屋)

旧市街の中にあるカシュガルの鉄製造業は、およそ1,000年前のカラハン時代に発展しました。兵士たちが訓練を行う場所の近くにあり、武器修理工房が設置されていました。時が経つにつれ、鉄製造は徐々に伝統的な国の手工芸品となりました。

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職人(鉄工)たちは、鉄鍋、鉄のスプーン、ナイフ、剣、槍など、様々な鉄製品を加工・製造しました。彼らによって製造されたすべての鉄製品の材料は廃鉄から選ばれ、鉄の炉に投げ込まれ再生されています。

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空中庭園

カシュガル旧市街の西城エリアは一段高く、階段を上ると周りの旧市街からさらに高い丘へ通じています。

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そこは、中国人観光客ウケするカラフルな装飾が施されており、記念撮影を楽しむ姿もよく見られます。

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カシュガル展示館

旧市街の南東には、カシュガルの古代から現代までの都市発展の歴史を紹介した展示館があります。

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展示は主に中国語で書かれており、ウイグル文化やイスラムの影響についての記述は少なく、展示は中国政府の視点に基づいた内容が中心です。

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高台民居(ガオタイミンジュ)

旧市街のには、800年の歴史を持つ日干しレンガの建築群があります。土黄色の家々が立体的に重なり合うウイグル族の伝統的な住居群で、崖の上に密集して建てられています。建物は泥とポプラの木で造られており、何世代にもわたって増築され、家々が積み重なるように連なっています。

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喀什商業歩行街(日曜バザール)

また、同じく旧市街の東にはシルクロード交易文化の伝統が2,000年も続く新疆最大のバザールがありました。地元の特産品や工芸品、食品、家畜まで幅広く取引される活気あるスポットでしたが、老朽化を理由に取り壊され今は更地です。一部にはバザールとは全く関係のない新しいビルが建ち始めています。(2025/7現在)

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消えるウイグル文化の保存と継承

カシュガルは、東西文明の融合点としての歴史的・文化的価値を持つ都市です。宗教はじめ、芸術、建築、食、音楽など、あらゆる面で多様性と伝統が共存していましたが、現在はその文化は失われつつあります。

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急速に失われるウィグルの文化

かつて、カシュガルは「新疆を本当に訪れたと言えるのはカシュガルに行った時だけだ」と言われるほどウィグルの歴史を遺す地域でした。

しかし、中国政府は2009年頃からカシュガル旧市街の再開発を本格化させ、耐震性や安全性の向上を名目に伝統的なウイグル建築を片っ端から取り壊し、近代的なインフラ導入を進めています。これにより、旧市街は「整備された観光空間」となり、中国人観光客ウケする施設や演出ばかりが目立ちます。

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ウイグル文化は「見せるための文化」として再構成され、伝統的な生活様式や宗教施設が観光資源として扱われているのです。モスクなども「宗教の中国化」政策のもとで観光対象とされ、本来の宗教的機能は制限されています。

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さらに、ウィグル住民の生活空間は伝統的なマハッラ(職業や血縁で構成される共同体)などが観光空間に包摂され、住民の生活は監視や規制の対象となっています。旧市街はじめ街の至る場所に死角がないほど多数の監視カメラが設置されています。旧市街には高い壁が設けられ、治安維持と称し、どこから入域するにも荷物検査とボディチェックが必要です。

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民族的アイデンティティへの影響も強く、ウイグル族の文化や宗教が「演出されたプリミティブ性」として消費され、彼ら自身のアイデンティティや表現の自由は制限されています。これは、国家価値観による少数民族への弾圧とも言える行為です。

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カシュガル旧市街の再開発は、表面的には「美しく整備された観光地」ですが、その裏には文化の再編、宗教弾圧、ウィグル住民の監視といった深刻な問題が潜んでいます。「観光用に演出された文化」として表面的に保存される一方、実際の宗教・言語・生活習慣は抑圧されており、観光客にとっては魅力的な場所であっても、そこに暮らす人々にとってはアイデンティティの喪失を強いられる空間です。

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例えばこの下の写真はモスクのミナレットだったはずです。しかしここは現在、博物館になっています。本来のモスクでしたら、このようにミナレットに不要な装飾を付加することはないでしょう。こうやって平然とイスラム教を軽視する宗教弾圧が行われているのです。

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ウイグル文化の保存は、単なる伝統文化の継承ではなく、アイデンティティと人としての尊厳を守るために必要です。

カシュガルの行き方

日本から直行便はありませんので、北京を経由して行きます。

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この記事を書いたトラベルライター

地球旅をしています~現在192ヵ国~
行ったことのない国を中心にひとり旅しています。他国の歴史、文化、宗教、遺跡、そしてそこに住む人々の考え方に興味があります。

車の運転が好きなので、海外ではドライブ旅を楽しんでます。普段は会社員です。

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