世界三大仏教遺跡で世界遺産でもある「ボロブドゥール寺院」では、年に一回「ワイサック祭」が行われます。当日は午後からパレードがはじまり、メインはライトアップされた幻想的なボロブドゥール寺院を背景に行われる僧侶たちのワイサックの儀式と、ランタン上げです。今回は、一般に公開されてからまだ数年しか経っておらず、まだあまり知られていない幻想的なワイサック祭りをご紹介します。
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ワイサック祭とは
ワイサック祭とは、仏陀の生誕を祝うために行われる仏教徒最大の宗教行事です。毎年インドネシアのみならず、世界中から仏教徒や僧侶が集まり祈りを捧げます。
いつ開催されるか?
開催されるのは5月から6月にかけて起こる満月の日ということで、毎年ワイサック祭の日程は異なります。筆者が参加した2019年は5月18日で、2020年は5月7日となっています(コロナウィルスの影響により、今後どの様になるのかは2020年3月時点で不明です)。
会場となるのは、世界遺産のボロブドゥール寺院遺跡
ボロブドゥール寺院遺跡は、8世紀後半から9世紀前半にかけて建立されたと言われる世界最大級の仏教遺跡です。ムラピ山の大噴火により、千年もの間火山灰の下に埋もれ、人々から忘れられていましたが、1814年イギリスのラッフルズ提督らに発見されたのをきっかけに発掘調査と修復が開始され、1991年に世界文化遺産に登録されました。
場所はインドネシアのジョクジャカルタの街から1時間半ほどの郊外に位置しています。
ワイサック祭への参加方法
基本的に仏教行事ではありますが、一般の観光客でもワイサック祭に参加する事ができます。以下でワイサック祭の参加形式をご紹介します。
ツアーに申し込む
日本からのグループツアーに申し込むか、現地代理店主催のツアーに申し込んで参加する事も出来ます。一般的には、祭りの日当日にジョクジャカルタのホテルを早朝バスで出発して、いくつか寺院を周り、夜になってランタン上げしてから、深夜ジョクジャカルタのホテルに戻るといった行程です。チケットの手配費や食事もツアー料金に込みといった内容になります。
ボロブドゥールに宿泊して、地元の人達と同じ方法で参加する
もう一つの参加方法が、ボロブドゥール寺院遺跡の近辺に宿泊して、地元の人達と同じ方法で祭りに参加する方法です。宿泊場所と祭会場を好きな時間に行ったり来たりできるので、時間の拘束がないことがメリットです。ですが、祭参加へのチケットは自分で手配しなければなりません。
筆者は今回後者の形でワイサック祭に参加したので、その流れをご紹介します。
ワイサック祭の流れ
筆者は当日の早朝ジョクジャカルタを出て、祭で交通規制が始まる前にボロブドゥール寺院付近のホテルに到着する事ができました。祭の当日はジョクジャカルタから多くの人が祭に行くので交通渋滞になることと、またパレードの開催によって交通規制も行われるので、出来れば祭の前日にボロブドゥール入りする事をお勧めします。
またワイサック祭の翌日は、ボロブドゥール遺跡で人気のサンライズツアーが中止となります。サンライズツアーへの参加も希望されている場合には、祭り前日のサンライズツアーに参加し、そのままホテルにチェックインといった形がベストかと思わわれます。
チケットを購入する
当日、ボロブドゥール遺跡のチケット売り場の前(中ではありません)で、現地の学生さん達がチケットを売っています。このチケットは夜のセレモニーのチケットで、ランタン上げへ参加するにはこのチケットが必要になります。
価格は変動があるようですが、2019年はRP100,000(約700円)でした。ランタン上げは2部制になっているので、購入の際は時間を確かめて下さい。1部は20:00からで、2部は22:30とかなり遅い時間でした。1部のチケットが人気で数に限りがあるので、早目にチケットをゲットしましょう。
パレード
13:30くらいから、ムンドゥッ寺院からボロブドゥール寺院へ向けてのパレードが始まります。ボロブドゥール寺院遺跡の前の通りで待っていると、パレードを見る事ができます。インドネシアはイスラム教徒が多いですが、仏教徒も多いことに驚かされます。
ボロブドゥール寺院を拝観
パレードの最後尾の後をついて行くと、ボロブドゥール寺院遺跡内に入れます。これは通常の光景ではないのかもしれませんが、多くの僧侶が拝観するボロブドゥールは、特別な空気感がありました。
ワイサック祭セレモニー
筆者が参加したセレモニーは第1部の20:00からの部でしたが、ボロブドゥール付近の宿泊先の宿を貸し自転車で出発して、30分程前に到着しました。自転車や徒歩でセレモニー会場まで行けるのはとっても楽です。
チケットをスタッフに見せると、会場に案内してくれます。写真のようにきちんとセッティングされています。ボロブドゥール寺院遺跡を背景にした会場にランプが灯されると、セレモニーが進行されます。インドネシア語と英語の進行になりますが、よく出来た構成で、僧侶の言葉やお経も飽きずに聴き入る事ができました。
ランタン上げ
メインのランタン上げでは一斉にランタンを上げるため、進行に沿ってランタンに灯をいれます。ランタンは4人に1つ分配され、両隣に座っている人たちとシェアします。
ランタン内の空気が十分熱されて、ランタンが浮き上がってきたら準備完了です。進行の合図に合わせて、3,000個のランタンを一斉に放ちます。
夜空に浮かぶ3,000個のランタンと、ライトアップされたボロブドゥール寺院遺跡が幻想的で、それはそれは美しい光景です。
そして満月の空に浮かぶランタンも、うっとりするくらい幻想的で、この特別な時間と場所にいられることに感謝したくなります。
尚、このランタン上げは1部につき2度行われます。1度ならず2度までも、貴重な体験をする事が出来るのです。
この記事を書いたトラベルライターから一言
一般公開されてからほんの数年なので、ほとんど知られていないボロブドゥールのワイサック祭。筆者が参加した時も地元の人が殆どで、海外からの観光客はまだまだ少ない印象でした。
ランタン祭と言ったら、タイのチェンマイのコムローイ祭りや、台湾のものが有名ですが、規模こそ小さいものの、こちらのワイサック祭は喧騒感もなく、そして厳かでもあり、良いお祭りでした。
ボロブドゥール寺院の近くに宿泊する事によって、混雑する中自転車ですいすい会場を往復でき、通常の混雑したお祭りにありがちなストレスがなく快適だった事も、このお祭りが好印象になった要因だったと思います。
一生に一度は行ってみたい、世界三大仏教遺跡のボロブドゥール寺院遺跡を訪れるのに、特別なワイサック祭の日を選ぶというアイデアを、楽しい旅行プランのひとつに加えてみてはいかがですか?(bemnty)