京都の高級料亭として名を馳せる和久傳(わくでん)が、創業の地である丹後に開いた”和久傳ノ森”。その和久傳ノ森に、2017年にオープンした「森の中の家 安野光雅館」を丹後出身の筆者がご紹介します。
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和久傳ノ森に抱かれてひっそりと佇む「森の中の家 安野光雅館」
画家であり、絵本作家としてもよく知られている安野光雅さん。『ふしぎなえ』という絵本をはじめ数多くの著書があり、そのやわらかなタッチの絵は、子供の頃、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
”森の中の家 安野光雅館”は、そんな安野さん独特の繊細でやさしい絵画にふさわしく、森に抱かれてひっそり佇む美術館をイメージしてつくられたのだそう。
世界的建築家・安藤忠雄さんの設計でも話題
延べ床面積約420平方メートル、2階建ての建物の設計に携わったのは、世界的な建築家である安藤忠雄さん。外壁は素朴な風合いが残る杉板張りで、周囲の自然な景観に溶け込むように配慮されています。
美術館へと続く回廊は、安藤さんらしいコンクリートの打ちっ放しで、折れ曲がった長い回廊を歩きながら、次に広がる世界への期待を抱かせる構造が印象的です。
安野さんが90歳で描いた初公開作品も展示
筆者が訪れた際は開館記念ということで、アメリカのTVドラマ『大草原の小さな家』の原作小説をもとに、安野さんが90歳で描いた初公開の『小さな家のローラ』シリーズなどが展示されていました。(館内は撮影禁止のため、その絵をご覧いただけないのが残念ですが)
展示室は木をふんだんに使った明るい雰囲気で、縦長のわずかな開口部から外の光が差し込み、森の息吹を感じながら絵画を鑑賞できるように考えられています。
世界の風景や風物を描いた安野さんのやさしい水彩画と、安藤さんのシンプルかつ自然の光や風を取り込んだ設計が、豊かな森に美しく調和していました。
パンフレットにも安野さんらしい遊び心が
入館料を支払うと、開館の挨拶が書かれたパンフレットをもらえます。中を開くと、飛び出す絵本のような仕掛けがあって、かわいい絵にじっくり見入ってしまいました。
パンフレットと一緒に和久傳オリジナルの「桑茶(くわちゃ)」のプレゼントも。そのラベルにも安野さんの絵があしらわれていて、飲んでしまうのが惜しくなるほどです。
桑茶は、京丹後で採れる桑の葉を使ったお茶で、くせのないすっきりとした味わい。食事にも合わせやすく、ノンカフェインなのでいつでも気軽に飲めます。
- 森の中の家 安野光雅館
- 天橋立・舞鶴・宮津・丹後 / 美術館
- 住所:京都府京丹後市久美浜町谷764地図で見る
- 電話:0772-84-9901
- Web:http://www.wakuden.jp/mori/?cat=2
工房レストラン「wakuden MORI」で、絵画鑑賞の余韻に浸って
安野光雅館を出たら、ぜひ向かいにある工房レストラン「wakuden MORI」に立ち寄りましょう。
大きな三角屋根が目を引く建物は、どこかノスタルジックで、まるで安野さんの絵本から抜け出してきたかのよう。
安野さんの著作やコラボグッズがいっぱい
店内に入ると、安野さんの著書が並んだ書棚や、絵をあしらった可愛いグッズコーナーが。美術館でも安野さんのサイン入り本などが購入できますが、こちらはさらに多くの本が集まっていて、それらを眺めているだけでも楽しい時間が過ごせます。
『小さな家のローラ』の登場人物をモチーフにしたTシャツや布バッグなどもあります。Tシャツはパッケージもおしゃれなのでお土産にも良さそうです。
丹後の食の魅力が詰まったレストラン
工房レストラン「wakuden MORI」のMORI(モーリ)はイタリア語で桑の樹のこと。丹後は昔から桑の樹が育ちやすい土壌にあり、その葉を好む蚕を飼うことで丹後ちりめんが繁栄したのだとか。
このレストランでは、和久傳ノ森で採れた食材をふんだんに使用したメニューが用意され、もちろん料亭として名高い和久傳なので味は保証済み!明るく居心地のいい店内で、豊かな森を眺めながら丹後の食の魅力を堪能できます。
ランチメニューも充実していたのですが、私は今回、時間の都合でゆっくり食事できなかったので、ぜひ次回はリベンジしたいと思います!
和久傳特製の限定アイテムも見逃せない
丹後の恵みを和久傳の技で仕立てたお土産の数々も必見。上品な味わいを洗練されたパッケージに詰め込んでいて、お土産としてはもちろん、お持たせ用にもいろいろ欲しくなりそう。
- wakuden MORI
- 天橋立・舞鶴・宮津・丹後 / 和食 / ランチ
- 住所:京都府京丹後市久美浜町谷764地図で見る
- 電話:0772-84-9898
- Web:https://mori.wakuden.kyoto/category/mori/
周囲に広がる「和久傳ノ森」も散策してみて
レストランでゆったりとした時を過ごしたら、腹ごなしにちょっと周囲を散策もおすすめ。
和久傳ノ森には、2007年より56種3万本もの植樹が行われており、イチジクや柿、ブルーベリーなどの果樹園が広がり、山椒や桑、フキなど四季折々の自然に触れられます。
行き方は?
- 鉄道からバス利用:京都丹後鉄道 久美浜駅または峰山駅からバスで「和久傳ノ森」まで
- 駅からタクシー利用:京都丹後鉄道 久美浜駅から15分、峰山駅から25分、JR豊岡駅から35分
- 車の場合:京都縦貫道 京丹後大宮IC下車25分
目印は駐車場のサインボード
美術館前にはバス5台、普通車100台が停められる大きな駐車場も完備。無料なので時間を気にせずのんびり過ごせます。
- 和久傳ノ森
- 天橋立・舞鶴・宮津・丹後 / その他スポット
- 住所:京都府京丹後市久美浜町谷764地図で見る
- Web:http://www.wakuden.jp/mori/