高野町(伊都郡)

【高野山】永遠の聖域!弘法大師が瞑想を続ける奥の院

取材・写真・文:

トラベルライター

2021年3月25日更新

8,126view

お気に入り

写真:トラベルライター

聖域・奥の院は高野山の信仰の中心。弘法大師・空海が今もなお、世の平和と人の幸せを願って瞑想を続けていると信じられています。弘法大師が入定しているという御廟までの2㎞の参道には、樹齢数百年を超える大樹が連なり、その間に20万基を超えるという諸大名から庶民の墓石や慰霊碑などが並んでいます。その静かで厳かな空間は、墓地であることを忘れるくらい安らかで穏やかな時間を与えてくれます。日本人だけでなく、外国人をも魅了する仏教の聖地・奥の院をご案内します。

この記事の目次表示

樹齢1,000年以上の並木が誘う聖域へ

高野槇や杉の巨木が守る参道

高野山の町の中心からバスで5分ほど、一の橋口か奥の院口のバス停で降りて奥の院へ向かうと見えてくるのが一の橋。正式には大渡端(おおばし)とも呼ばれる弘法大師御廟(ごびょう)に向かう参道の入り口です。

  • 写真:トラベルライター奥の院入り口
  • 写真:トラベルライター一の橋

一の橋の前では、入る時も出る時も、合掌と一礼をするのが作法…気がひきしまります。

  • 写真:トラベルライター大樹の道
  • 写真:トラベルライター大樹

まず圧倒されるのが、道の脇を連なる巨木たち。自分一人の腕では抱え込めない太さの木々は、古いもので樹齢1,000年以上とか…思わず見上げてしまいます。

苔むした墓石と木々の中を進む

聞こえてくるのは鳥のさえずりと木々のざわめきだけ。無心になって歩くのが心地好くなってきます。

  • 写真:トラベルライター外国人観光客
  • 写真:トラベルライター外国人巡礼者

時折、すけ笠に白装束の人たちとすれ違いますが、よく見ると外国人巡礼者かもしれません。

  • 写真:トラベルライターお地蔵さま
  • 写真:トラベルライター切り株のお地蔵さま
  • 写真:トラベルライター切り株の上のお地蔵さま
  • 写真:トラベルライター道端のお地蔵さま

大小様々なお墓が立ち並ぶ中、いろんなお地蔵さまが…木の株に埋もれていたり、切り株に乗せられていたり…大きなものにも小さなものにも、ほとんど服を着せられているのが印象的。厳しい冬の寒さでも、寒くないようにと着せてくれた人々がいたのでしょうか。

  • 写真:トラベルライター奥の院への道
  • 写真:トラベルライター奥の院への道の側溝

長く感じるはずの距離ですが、いつまでも歩ける気がします。湧き水が流れる参道の小さな側溝も苔むして、悠久の時の流れを感じそう。

聞こえてくるかも?静寂が伝える歴史の記録

穏やかに眠る諸大名と名士の痕跡

参道にはおよそ1,200年間の歴史や痕跡が刻まれています。

  • 写真:トラベルライター弘法大師の腰掛石
  • 写真:トラベルライター武田信玄公の墓

弘法大師が休憩で腰掛けたと伝えられている石、腰掛け石(息処石)。その近くには武田信玄公の墓所もあります。

  • 写真:トラベルライター八代将軍吉宗公の墓
  • 写真:トラベルライター豊臣家の墓への階段

紀州徳川出身の第8代将軍吉宗公の墓、一方で、徳川が滅ぼした豊臣家の墓も…

真言密教には誰もがみな平等であるという教えがあるため、ここでは敵味方の区別がなく供養されています。生前の因縁すらも包み込むその懐の深さが、この安らかな空間を作っているのでしょうか。ちなみに高野山内には徳川家霊台があり、金剛峰寺の家紋やは豊臣のものです。

  • 写真:トラベルライター芭蕉句碑

松尾芭蕉も1688年に奥の院を訪れています。「父母の しきりに恋し 雉子の声」…雉子(きじ)は、子を思う気持ちが強い鳥だとされるが、その声を高野山で聞くと、亡くなった両親のことがひとしお偲ばれる…という意味の俳句です。

雉子は春先から初夏にかけて繁殖期に鳴くそうです。耳をすませば、芭蕉の気持ちになれるかも。

残る不思議な言い伝え

  • 写真:トラベルライター中の橋

一の橋と御廟橋の中間にある中の橋手水橋(ちょうずばし)とも呼ばれます。この橋の架かる川は、三途の川を表しているといわれ、中の橋から先は死の世界に入るとか…もう一つの聖地壇上伽藍が修行僧たちの生の修行場だとすれば、奥の院は死の修行場なのかもしれません。

  • 写真:トラベルライター汗かき地蔵

中の橋を渡ってすぐのところにあるのが、汗かき地蔵。その名の通り、いつも汗をかいていると伝えられるお地蔵さまです。そのわけは、人々の苦しみを身代わりに受けているからとか。本当の苦労を知っている人ほど謙虚なもの...小さなお堂なので素通りしがちですが、参拝を忘れずに。

  • 写真:トラベルライター姿見の井戸

汗かき地蔵のすぐ脇にあるのが姿見の井戸。別名は薬井です。弘法大師が掘ったと伝えられ、昔から井戸の水で目を洗えば、どんな目の病気も治ったといわれています。

ただ、恐ろしい言い伝えも…井戸を覗き込んで自分が映っていなければ3年以内に死ぬ…試すも試さないも自己責任でお願いします。

  • 写真:トラベルライター覚鑁坂
  • 写真:トラベルライター覚鑁坂と大樹

しばらく参道を進むと見えてくる階段が覚鑁坂(かくばんざか)。43の階段は、42(死に)を超えるという意味があるそうです。

そして、この階段にも別名が…京都の清水寺近くの坂と同じ三年坂。由来はもちろん、途中で転ぶと3年以内に死ぬと伝えられているためです。歩くときはご注意ください。

汗かき地蔵
高野町(伊都郡) / その他スポット
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山555地図で見る
Web:http://www.koyasan.or.jp

次のページを読む

高野町(伊都郡)の旅行予約はこちら


この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


日本の最強パワースポット24選!神社やゼロ磁場、自然のパワースポットも

日本の総氏神のように信仰される天照大御神をお祀りする伊勢神宮や、”願いが叶うパワースポット”として有名な来宮神社、全体が最強パワースポットと言われる皇居など、日...


巡るのを躊躇う!?【高野山】奥之院に伝わる少し怖~い七不思議!

樹齢数百年にもなる杉木立に囲まれた、厳かで神秘的な高野山・奥之院。一の橋から中の橋、御廟(ごびょう)までは約2kmあり、数え切れないほどの供養塔が並んでいます。...

絶対に拝んでおきたい!高野山・奥之院の個性的なありがたいお地蔵様

高野山の中でも、大師信仰の中心聖地とされている奥之院。歴史的に有名な著名人や、戦国武将などの供養塔が無数に並び、その数は二十万墓ともいわれています。厳かさに包ま...

【和歌山】高野山の紅葉を観賞しよう!名所や混雑回避の方法も解説

和歌山県にある高野山では、例年10月下旬頃から美しい紅葉が楽しめます。毎年訪れるリピーターも多く、関西でも人気の高い紅葉スポットです。こちらでは、是非立ち寄りた...

【高野山】幻想的な体験!普賢院の宿坊と恵光院のナイトツアー

高野山を訪れるなら一度は滞在したいのが、宿坊。参詣者が宿泊できるお寺です。どの寺院でも精進料理や写経、朝の勤行などを体験できますが、ぞれぞれの特色はさまざま。客...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります