芸術の都パリには有名な美術館や博物館がたくさんあります。そんな中、パリの中心部から少しはずれたところにある比較的新しい博物館が縁日博物館です。ここは鑑賞するだけでなく、体験しながら展示物を楽しめる、タイムマシンのような場所です。
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縁日博物館とは
縁日博物館(Les Pavillons de Bercy - Musée des Arts Forains)はパリの東の端にある個人が所有する博物館です。日本語の観光サイトなどでは「縁日博物館」と紹介されているのですが、日本の「縁日」から連想する雰囲気とはだいぶ異なるお洒落な博物館です。
縁日というより移動遊園地
縁日と聞くと筆者は神社やお寺などのお祭りのようなものを想像してしまうのですが、こちらはヨーロッパの縁日なので全く別物です。移動遊園地と言った方がしっくりくる気がします。この博物館では、個人のコレクターが集めた昔のメリーゴーラウンドなどのアイテムを当時の状態に近い形で展示しています。しかもほとんどの展示は実際に体験できます。体験型移動遊園地博物館、と言ったところでしょうか。
縁日博物館がある場所
Les Pavillons de Bercyはその名のとおりベルシー(Bercy)という地区にあります。Bercy村は19世紀にはワイン貯蔵庫が立ち並び、世界一のワイン市場として栄えました。当時はたくさんのバーなどもあり、パリに住む人々が頻繁に訪れ飲み明かす賑やかな場所だったそうです。
Les Pavillons de Bercyは昔は倉庫だった建物に入っています。14番のメトロのCour St Emilion駅から徒歩5分の場所にあります。Bercy地区は現在は再開発されユニークなレストラン街になっています。
レストラン街も素敵な雰囲気なので、博物館訪問のついでにのんびり滞在するのも楽しいと思います。
ガイドツアーで回る3つの部屋
ではさっそく博物館の中を案内しましょう。一般のビジターが縁日博物館を楽しむにはガイドつきのツアーに申し込む必要があります。ツアーは基本的にフランス語で行われますが説明の英語訳が印刷されたものがもらえます。また、夏の間(7月、8月)は英語のツアーもあります。ツアーの予約は電話、または博物館のホームページでオンライン予約ができます。
約90分のツアーでガイドが3つの部屋を案内してくれます。筆者は英語のツアーに参加しましたが、ちょっとダンディーでとても熱心なガイドさんで、面白おかしく参加者を1900年頃のカーニバルの世界へ誘ってくれました。子供達は完全にガイドさんの虜になってましたよ。
【1】イリュージョン劇場
ここはこの博物館の中で最も広い部屋です。派手な気球や大きな象、有名なショーガールの衣装などの飾りが散りばめられた中に、カーニバルでよく見かけるゲームが設置されています。これらのゲームは今でも動くので実際に遊ぶことができます。
例えば競馬ゲーム。
参加者はボールを転がして目の前にある穴に入れます。穴の色によって点数が異なり、その点数分、自分の馬が前に進みます。
司会を務めるガイドさんがその場を盛り上げ、次第にレースは白熱していきます。大人も子供も、皆で夢中になってゴールを目指します。あと一歩のところで負けると本気で悔しいです。
ここにはダンスホールもあり、自動演奏のピアノやオルガンがあります。もちろんちゃんと動いて演奏が聞けます。
こんなところでパーティーを開いたら絶対に楽しいです。実際にここはイベント会場としての貸し出しも行っています。少しだけ雰囲気を味わってもらえるようにユニコーンが弾くピアノを録画したのでご覧ください。
【2】ベネチアの間
ここはその名の通り、ベネチアにインスピレーションを受けた部屋です。18世紀のベネチアのカーニバルを再現したきらびやかな場所です。
古いメリーゴーラウンドが部屋の中にあり、これは今でもちゃんと動くので乗れます。ゲスト全員で楽しませてもらいました。また、ピンボールの原型になったという独楽を弾いてベルを鳴らすゲームもありました。Toupie Hollandaiseと呼ばれるこのゲームは真ちゅうと真珠でできていて、見た目も芸術的で美しいです。
残念ながら実際に動くところは見られませんでしたが、動画を見つけたのでリンクを張っておきます。ベルを鳴らすことができると願いが叶うと言われています。
ベネチアの間のもうひとつの見所は人形によるオペラです。ベネチアにまつわる有名人の人形が動きながら素敵な歌を披露してくれます。非常によくできていて聞いているとどんどん引き込まれていきます。