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昔は「口噛み酒」だった?!チチャを飲んでみよう♪
このように様々な面白い物があるピサック市場ですが、その中でもぜひ試していただきたいのが「お酒」!!おそらくペルーの中でも “聖なる谷” に来なければ飲めない、自家製の 【chicha チチャ】です。
【chicha チチャ】とは、トウモロコシが原料のお酒で、地元の人にとってはごく一般的に飲まれています。
筆者が訪れたお店は「BAR」とわかりやすく書かれていますが、なんの看板もなくても 赤いボンボン のようなものが軒先にあるお店が「うちはお酒造ってますよ」というマーク。このお店にも、小さく可愛らしくぶら下がっています。
赤いボンボンを見かけたら是非入ってみましょう!
「BAR」と言っても、飲み屋とか酒屋というより、実際は自家醸造している一般家庭のような雰囲気。売っているものは、ほぼ【チチャ】のみです。
歴史深い「チチャ」
「口噛み酒」というのをご存知でしょうか? その名の通り、穀類を人の口の中で噛み、唾液と絡ませ、それを壺などにペッとして溜めて造るお酒のこと。古代日本では巫女が口噛み酒を造り、それが神に捧げる神聖なお神酒だったと言われています。
現代では、もちろんそのような造り方をしたお酒は売られていませんが、「口噛み酒」は日本酒やワインのように「発酵」させてお酒を造る工程(デンプンを糖化させ、野生酵母が糖を発酵させてアルコールを生成させる)と同じ。
そんな「口噛み酒」としてペルーでも古代から造られていたのが【チチャ】。日本から遠く離れたこの地でも、日本と同じように造られたお酒があったというのは驚きです。インカ帝国時代も同じように太陽神に捧げるお酒、収穫を喜ぶお酒として、特別な存在だったようです。
代々使われている壺
現代では「チチャ」も、もちろん実際に口噛みをして造っているわけではありません。「カスピ海ヨーグルト」を作ったことがある方はわかると思うのですが、一度発酵したものに材料を追加して、また発酵させていく…という造り方です。
なので、チチャを発酵させている壺にも年季が入っています。筆者が訪れた日もトウモロコシを後ろの釜で煮出しており、できたものを追加していました。こうして継ぎ足し、継ぎ足し、何代にも渡って造られているのだと思います。
原料はトウモロコシ
チチャは基本的にはトウモロコシが原料です。トウモロコシを数日間、水に浸して発芽させたのが、写真右にある “もやし” のような「ホラ」。そのホラを乾燥させたら臼で粉末にし、大鍋で数時間煮込む。それを、壺に追加していきます。
酒屋さんの裏庭には、“トウモロコシの「ホラ」すり場” もあります。試しに触らせてもらいましたが、かなり重い!なかなかの重労働!
すっぱーい!けどクセになる?!
さてさて、肝心な味はというと…
黄色い方が、なんの味付けもしていない、そのままの「チチャ」。第一印象は すっぱーい!! ですが、不思議なことに飲み進めていくとクセになる!日本のお酒で例えるなら、一番近いのは「どぶろく」でしょうか。
アルコール度数は5%にも満たないそうなので、慣れればスルスルと飲めます。このBARにも、近所の方でしょうか、ラフな格好で世間話しながら何人かが集まってチチャを飲んでいました。
一方、ピンクのチチャはイチゴの味付けがしてあり、もっと飲みやすいジュースのような感じです。10歳前後に見える子供たちも飲んでいてビックリ!お酒といえど、この地域の生活にとけ込んでいるのですね。
「チチャ」と「チチャ・モラーダ」は別物
ペルーの国民的なジュースとして「チチャ・モラーダ」があります。各家庭で作る自家製のものもありますが、今では日本でもWEB購入することができるくらいメジャーなジュース。
でも、この「チチャ・モラーダ」は、上記で紹介した「チチャ」とは全く別物。ピサックで飲める「チチャ」は発酵させてアルコールを生成しているので、やはり本物を飲むためには、ピサック含め、“聖なる谷” にある村でしか飲むことはできません。
最後に・・・
聖なる谷にはピサック以外にも、オリャンタイタンボ、ウルバンバなどたくさんの観光スポットがあります。これらをぐるっと巡るツアーなどもありますので、ぜひ活用してみてくださいね。