スリランカが誇る世界遺産、シーギリヤロック。ジャングルに突如出現する高さ約190メートルの巨大な岩は、かつて5世紀の王が築いた天空の宮殿でした。長く続く階段を登って行くのはとても大変ですが、登っている途中にも見どころがいっぱい。そして、頂上では感動の絶景が待っています。そもそも、王はなぜこんなところに宮殿を築いたのでしょう。シーギリヤロックの謎と見どころについて、ご紹介します!
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シーギリヤロックについて
スリランカ中部のマータレー州にある、古都シーギリヤ。この広大なジャングルの中で圧倒的な迫力を見せる岩山が、スリランカで最も人気のある観光地、シーギリヤロックです。5世紀に築かれた後、1857年にイギリス人によって岩山に描かれていた壁画が発見されるまで、長い間眠り続けていた遺跡でした。垂直に切り立った高さ約190メートルの岩山は、階段で頂上まで登ることができ、頂上には貯水施設や水路などが整備された、驚きの宮殿跡が広がります。
なぜ天空に宮殿を造ったの?
5世紀、シーギリヤのダートゥセーナ王には2人の息子がいました。身分の低い母を持つ長男カーシャパは、正妻の子である弟モッガラーナに王位継承権を奪われることを恐れ、478年に父である王を部下に殺させ、自らが王位に就きます。その後、南インドに逃亡した弟の復讐を恐れるあまり、巨大な岩の上に宮殿を築いたのです。
その後、父を殺してしまった自責の念と、復讐の恐怖に怯えながら暮らしたカーシャパ王。495年に弟モッガラーナが大群を率いて戻って来るのを見て、自ら命を絶ってしまいます。豪華な宮殿は、わずか11年で役目を終えてしまったのです。
シーギリヤロックの見どころ
シーギリヤロックの下に広がる庭園
シーギリヤロックのある敷地には、広い庭園が広がります。ここには、噴水のように水が循環する小川や、上下水道も造られていました。5世紀とは思えない建築技術に驚かされます。
頂上へ続く様々な階段
頂上へ登る階段は、観光客用に整備されているので安心。かなり急な場所もあってきついですが、色々なタイプの階段を楽しみつつ、休憩をはさみながら登ってみましょう。
まずは、巨大な岩と岩の間をくぐる階段からスタート。岩をくぐり抜けると、5世紀にタイムスリップしたような気分になります。
絶壁にはりついた急な階段や、くるくる回るらせん階段もあります。下から見ると、ちょっと怖いですね。急な階段が長く続いてとても大変ですが、頂上へ着いた時の感動を味わったら、疲れも吹き飛びます。
シーギリヤレディ
断崖の中腹、らせん階段を登ると、シーギリヤレディの壁画が現れます。かつては500体も描かれていたそうですが、現在残っているのは18体。カーシャパ王が色々な国から集めた後宮の女性だという説と、天女アプサラであるという説があります。女性たちの柔らかな曲線や優しい表情は、現代の人が見てもとても美しいです。上半身裸で豪華な宝石を身につけているのが貴婦人、服を着ているのは侍女だと言われています。
シーギリヤレディは、少し前まではフラッシュ無しで撮影可能でしたが、守らない人が多かったため、完全撮影禁止となってしまいました。
ミラーウォール
シーギリヤレディの壁画を下った先にあるのが、ミラーウォールと呼ばれる高さ3メートルの壁です。レンガの壁に漆喰を塗り、蜂蜜などで磨いて造った壁で、その名のとおり鏡のようにピカピカだったそう。現在はピカピカではありませんが、昔の人が書いたシンハラ文字が残っているので、よく見てみましょう。
ライオンテラス
さらに進むと、大きなライオンの足が鎮座する、ライオンテラスと呼ばれる広場に出ます。現在はライオンの前足しかありませんが、かつては、頭を持つ巨大なライオン像だったと言われています。しかし、発掘調査ではライオンの頭のパーツは見つかっていないとか。頭があったのかなかったのか、未だに謎のままなのです。
フォトスポットとしても人気の場所なので、写真を撮りながら、ここでちょっと休憩です。ライオンの足の間を登り始めたら、頂上までもう一息!
宮殿跡
頂上に到着すると、1.6ヘクタールの敷地に天空の宮殿跡が広がります。
建物自体は残っていませんが、貯水池、貯蔵庫、プールなど、素晴らしく整備された跡地を見ていると、どんなに豪華な宮殿だったのかが分かります。
とても贅を尽くして造られたこの宮殿。カーシャパ王の観覧席なるものがありました。ここに座って何を眺めていたのでしょう。シーギリヤレディ達の踊りか、自分が支配する王国の美しい景観か・・・それとも、弟の復讐に怯えながら下界を眺めていたのでしょうか。狂気の王と呼ばれているカーシャパ王の宮殿は、謎がいっぱいで想像がふくらみます。
頂上からの眺めは、息を飲む素晴らしさ。360度の壮大な景観に、しばし見入ってしまいます。眼下に見えるのは、シーギリヤロックに続く庭園の中央道。あそこを歩いて登って来たのかと、達成感を感じます。晴れている日は美しい夕焼けも見られるそうなので、日没の時間を確認してから向かいましょう。
シーギリヤロックで気をつけること
なんと、シーギリヤロックの断崖には、スズメバチの巣がたくさん。普通にしていれば刺されませんが、手で追い払ったり、大声で騒いだり、ハチを刺激しないようにしましょう。強い香水も危険です。
頂上までは片道40分ほどかかります。階段は急で滑りやすいので、歩きやすい靴で慎重にゆっくり登り下りするようにしてください。暑いので水分も忘れずに。頂上には屋根などがないので、早朝や夕方の比較的涼しい時間をおすすめします。
- シーギリヤ・ロック
- スリランカ / 遺跡・史跡 / 観光名所
- 住所:Central Province, Matale District, Sigiriya 21120, Sri Lanka地図で見る
- 電話:+94 776507253
- Web:http://seelanka.net/sigiriya/#_=_