2024年秋、江戸ファンタジーの大作『八犬伝』が公開されますが、そのモデルと言われている人物「里見忠義」と八犬士が眠る寺院「大岳院」が鳥取県にあります。ストーリーやモデルたちの話と共に、彼らが過ごした人気の観光スポット倉吉の町もご紹介します。
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八犬伝とは
八犬伝とは、江戸時代に作家“滝沢馬琴”によって書かれた長編名作小説で、『南総里見八犬伝』『里見八犬伝』とも呼ばれている時代物ファンタジーの傑作です。
物語は、妖怪「玉梓」による里見家への呪い、そして里見家の姫君「伏姫」と神犬「八房」の悲しい因縁話から始まります。悲劇に見舞われた里見家を救ったのは、姫が持っていた護身の数珠でした。その八つの玉がバラバラにはじけ飛び、玉による運命に導かれた八人の剣士たちが集結します。
彼らは全員名前の中に「犬」の字を持ち、「八犬士」とよばれました。そして里見家にかけられた呪いを解き、里見家復興のために妖怪玉梓と壮絶な戦いを繰り広げていくのです。
モデルになった実在の人物たち
まず城主のモデルになったのは房州館山十代城主“里見忠義”という人物です。この方は勢力争いに巻き込まれ、転封を命じられてこの倉吉の地にやってきます。
そしてこの大岳院の門前に居をかまえ、倉吉のためにつくしました。しかしその後、何度か居を移すことを余儀なくされ、結果29歳でこの世を去ります。
その際、八人の家臣たちが殿の後を追い、殉死しました。彼らは、法名にすべて「賢」の字がつけられ「八賢士」と呼ばれたのです。まさに八犬士のモデルそのものです。
そして八犬士の母的存在になる伏姫は、六代目当主の娘“種姫”がモデルであったと言われています。若くして未亡人になり、八房と山にこもった伏姫と同じように、種姫も山にこもって夫の菩提を弔いながら生涯をおくった信心深い姫君でした。
彼らが眠る大岳院
大岳院は1605年に創建された曹洞宗の名刹で、モデルになった忠義や八犬士らが祀られています。殿様の墓石を取り囲むように、八賢士たちの墓が並んでいます。また、境内には八匹のかわいらしい犬の石像がありますので、ぜひ探してみてください。
ストーリーはファンタジーですので、実際に起こった事ではありませんが、馬琴がこの里見家の話を聞いて構想の元にしたのではないかと想像できます。映画では八犬士の戦いの物語と同時進行で、馬琴の人生も描かれているのも見どころです。
倉吉白壁土蔵群
倉吉の町は江戸、明治から残る建造物が現存し、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。川沿いに白壁の蔵が並んでいる景色は、どこを撮っても映えます。
蔵や町屋をリノベーションしたおしゃれなショップやカフェがたくさんあり楽しめます。当サイトにも倉吉の楽しみ方をご紹介した記事がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
お土産におすすめ酒蔵「元帥」
嘉永年間創業の160年の伝統を持つ老舗酒蔵です。通りの角のわかりやすい場所にあり、入りやすいのも魅力で、いろいろな種類のお酒だけでなく、酒かすや地酒ケーキなど酒製品もそろっています。お酒はミニサイズもあるので、お土産におすすめです。
名作と共に生き続ける里見家の人々
里見忠義は倉吉に八年間在住したそうで、偶然的にもまた八の字です。神社や社殿を修復するなど事績をのこしました。里見家といえば八犬伝!というくらい、今や切り離せない存在です。映画を見る前に、また見た後で、忠義と八犬士たちが暮らした町を体感してみましょう。映画公開は気持ち良い秋の季節です。