京都市にある醍醐寺は、歴史ある建造物が立ち並ぶ、大きな寺院です。国の特別名勝にも指定されている日本庭園はとても美しく、心が落ち着きます。秋の紅葉は特に素晴らしく、弁天堂のあたりが真っ赤に染まる様子は、是非見たいものです。
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京都市伏見区にある醍醐寺
醍醐寺(だいごじ)は、京都市伏見区にある真言宗醍醐派の寺院です。平安時代の僧の聖宝(しょうぼう)によって、貞観16年(874年)に開かれた歴史あるお寺で、ご本尊は薬師如来です。
金堂や五重塔、観音堂といった様々な建築物のほか、数多くの仏像や絵画を持つ醍醐寺は、世界文化遺産にも認定されています。三宝院にある美しい庭園など、見どころも多いため、日々多くの参拝客が訪れています。
豊臣秀吉が「醍醐の花見」を催したことでも知られる醍醐寺は、春の桜の名所として人気が高いです。また、秋の紅葉も有名で、弁天堂周辺のモミジが真っ赤に色付く様子は、素晴らしいものです。
境内を散策しよう
広い境内を散策しましょう。拝観料は、通常期が大人1,000円、中学生・高校生が700円で、三宝院庭園と伽藍エリアが見られます。
3月下旬から5月のゴールデンウイーク最終日までは、春期の拝観料となり、三宝院庭園、伽藍エリア、霊宝館庭園の3か所で、大人1,500円、中学生、高校生が1,000円です。その他、三宝院御殿など、別途拝観料が必要となる場所もあります。
三宝院・三宝院庭園
醍醐寺総門より境内に入り、すぐ左手に見えるのが、三宝院(さんぼういん)です。永久3年(1115年)に建てられた、醍醐寺の本坊(居住スペース)のような存在の建物です。こちらには、国の特別史跡、特別名勝に指定されている、美しい庭園があります。
三宝院へは、通常の拝観券で入場できますが、御殿の内部に入るには、特別拝観の料金(大人・中高生500円)が追加で必要です。庭園も正面から見られるので、お時間のある方は、こちらをおすすめします。
三宝院の建築物の多くは、重要文化財に指定されています。そのうち、庭園に面した表書院は、寝殿造りとなっており、桃山時代の建築様式を今に伝えているため、国宝に指定されています。
三宝院庭園は、慶長3年(1598年)に、豊臣秀吉が「醍醐の花見」の際に、自ら基本設計をしたといわれています。島のある池が中央にあり、周囲には様々な樹木、植物が植栽されています。豪壮で華やかさを感じる庭園を見ると、気分が高揚しますが、じっくりと鑑賞していると心が落ち着いてくるのは、不思議なものです。
建物の一番東側に、三宝院の本堂があります。ご本尊の弥勒菩薩が安置されているので、弥勒堂とも呼ばれます。この仏像は、快慶の作だそうです。建物の周囲には、砂利の中に丸い形の苔が配されているのが見えます。
西大門
総門から少し歩くと、西大門です。現在のものは、豊臣秀頼が、金堂を再建した後の慶長10年(1605年)に、再建されました。もう建築から400年以上経つ門は歴史を感じますが、堂々とした姿です。仁王像が左右に安置されており、仁王門とも呼ばれます。
金堂
さらに進むと、金堂が見えてきます。こちらは、醍醐天皇の勅願で、延長4年(926年)に創建されました。過去の建物は焼失しており、現在のものは、豊臣秀吉の命により和歌山の湯浅から移築が計画され、慶長6年(1600年)に完成しました。ご本尊の薬師如来坐像がお祀りされている、醍醐寺の中心的なお堂となっています。
五重塔
金堂の反対側に、五重塔が建っています。こちらは、醍醐天皇の冥福を祈るため、第一皇子の朱雀天皇が着工し、天暦5年(951年)に完成しました。京都府内では、最も古い木造建築物となっており、国宝に指定されています。
高さは38メートルありますが、そのうち屋根の上にある金属の構造物の相輪(そうりん)が長く、約13メートルあるそうです。とても歴史のある建物ですが、それを感じさせないのは、このバランスによる安定感からくるのかもしれませんね。
不動堂
金堂の東隣には、不動堂があります。こちらには、不動明王など、5体の明王をお祀りしています。また、お堂前の護摩道場では、護摩が焚かれ、世界平和などの祈願が行われるそうです。
観音堂
醍醐天皇一千年御遠忌を記念して、昭和5年(1930年)に、山口玄洞氏の寄進によって建築されました。周辺にある林泉、弁天堂、鐘楼、伝法学院などを総称し、大伝法院と呼んでいます。醍醐寺の御朱印、納経は、こちらで受け付けています。
上醍醐
金堂や五重塔がある辺りは、「下醍醐」と呼ばれていますが、それに対し、さらに山の上のお堂が立ち並ぶ場所を、「上醍醐」と呼んでいます。麓の女人堂から険しい山道を登れば、醍醐寺の始まりの地とされる上醍醐です。
こちらには、国宝の薬師堂、清瀧宮拝殿(せいりゅうぐうはいでん)のほか、醍醐寺を開いた聖宝・理源大師をお祀りしている開山堂、如意輪堂といったお堂が立ち並んでいます。
上醍醐への所要時間は、麓の下醍醐から、片道1時間程度かかるそうです。頂上からは、お隣大阪の街並みも一望できるそうですので、お時間と体力がある方は、登ってみてください。
飲食店・売店
醍醐寺の周辺は、住宅地となっていることもあり、飲食店は非常に少ないです。境内には、和食やドリンク類、ランチがいただけるお店が3つほどあるので、休憩や食事に利用するのも良いでしょう。売店もあり、主に春の桜や秋の紅葉の時季などに営業しています。
筆者は、駐車場側の和食・甘味処を利用しました。生ゆばをあんかけに入れた「ゆば丼」は、体にやさしい味わいです。ゆばカレーなどのほか、和菓子やコーヒーもあるので、ちょっとした休憩に適しています。弁天堂のすぐそばにも和食店があり、同様の食事を提供していますが、紅葉の時季は混雑しているようでした。
なお、春の桜や秋の紅葉の季節以外は、通常営業していないお店もあります。境内の飲食店、売店を利用したい方は、こちらをご覧ください。
秋の紅葉を堪能しよう
醍醐寺は、京都市内でも人気の高い紅葉スポットとして知られています。境内の三宝院庭園や伽藍エリアなど、至る所で楽しめるので、堪能してみてください。見頃は例年11月中旬から12月上旬頃となっています。
三宝院周辺
まずは、最初に紹介した三宝院で紅葉を楽しみましょう。庭園に植えられたいくつかのモミジが、秋には美しく紅葉します。派手さはありませんが、緑の木々の間に、赤く色付いたモミジが見える様子は、趣があります。
筆者が訪れた際は、まだ真っ赤に色付いていないモミジもいくつかありました。しかし、緑や黄色、赤のグラデーションも美しいものです。すべて色付くと、かなり見ごたえがあるでしょう。
特別拝観では、建物内から庭園の紅葉をじっくりと見られます。表書院の裏側、奥宸殿にも、このような小さな庭があり、美しい紅葉が楽しめます。この庭も、表の庭園から続いているものですが、力強い石組みの景観が美しいので、注目してみてください。
三宝院の入口に近い、唐門付近も紅葉のスポットです。こちらのモミジはかなり赤く色付いており、記念撮影をする観光客の姿も見られました。
伽藍エリア
伽藍のエリアでも、紅葉が楽しめます。特に、仁王門から金堂へと続く道が美しいです。両側からモミジが張り出し、紅葉のトンネルが楽しめます。観光客が多いときはタイミングが難しいですが、紅葉の奥に仁王門が入るように写真を撮ってみても良いでしょう。
弁天堂(弁天池)周辺
弁天堂周辺は、醍醐寺の代表的な紅葉スポットです。弁天堂の周囲にあるモミジが真っ赤に染まる様子は素晴らしく、テレビ番組で中継されることもあります。
真っ赤なモミジが、弁天池の水面に映っており、背景の緑の木々とのコントラストも美しいです。筆者が訪れた2023年は、暖かい日が続いたため、色付きが遅れていましたが、11月中旬頃から急に赤く染まってきたようです。
例年と比べると、やや色付きは劣るのかもしれませんが、場所によっては真っ赤になっており、満足できるものでした。弁天堂のあたりは、人気の撮影スポットとなっており、写真を撮るのが難しいですが、池の周囲を歩けるので、空いている場所を探してみてください。
弁天池の西にある観音堂のあたりも、紅葉が美しいです。建物裏には大きなイチョウがあり、とても鮮やかです。観音堂からは、弁天池の紅葉が良く見えます。
こちらは、観音堂のすぐそばの鐘楼から、撮影したものです。この辺りは、苔も美しく生えているので、注目してみてはいかがでしょうか。
醍醐寺へのアクセス
バスで
京都駅からお寺への直行バスが、京阪バスによって運行されています。所要時間は約30分で、乗り換えもないので便利です。くわしくは、こちらをご覧ください。
電車で
京都駅からJR東海道本線「山科」駅まで乗車。京都市営地下鉄東西線に乗り換え、「醍醐」駅下車。徒歩約10分程度で到着。
または、京都駅からJR奈良線に乗車し、「六地蔵」駅下車、京都市営地下鉄東西線に乗り換え、「醍醐」駅下車、徒歩約10分。
この記事を書いたライターからひと言
秋の紅葉の時季に、醍醐寺を訪ねてみました。SNSやテレビの中継で取り上げられており、以前から気になっていましたが、やはり紅葉は素晴らしかったですし、見どころも多かったです。境内は広く、平日や午前中なら、庭園や建築物をゆったりと見られそうですので、みなさんも訪れてみてください。(ゆきたか)
- 醍醐寺
- 伏見 / 寺 / 紅葉 / 桜の名所 / 世界遺産 / 庭園の名所
- 住所:京都市伏見区醍醐東大路町22地図で見る
- 電話:075-571-0002
- Web:https://www.daigoji.or.jp/