木曽町(木曽郡)

信州木曽路のそば処【手打ちそば くるまや本店】(長野)

取材・写真・文:

兵庫在住
訪問エリア:44都道府県

2021年10月22日更新

1,751view

お気に入り

中山道の宿場町であった「福島宿」で、代官屋敷の御用達として、水車で製粉業を営んでいたのが「くるまや」の祖先。今では、自家製蕎麦の伝統を引き継いでいる老舗として超有名店です。歴史を感じながらお蕎麦を味わうことができます。

この記事の目次表示

信州木曽路にある歴史深い【くるまや 本店】

木曽ならではの蕎麦が食べられる【くるまや 本店】は、とても歴史深い場所にあります。現在の住所は長野県の「木曽町福島」、通称「木曽福島」なのですが、ここはかつてから 信州木曽路福島宿 と呼ばれている場所です。

「木曽路」って何?「福島宿」って何?

「木曽路」と言ったら「しゃぶしゃぶ」を思い浮かべますか(笑)? でも、この土地にしゃぶしゃぶは関係ありません。木曽路中山道(なかせんどう)という五街道の一部です。

遡ること 江戸時代。初代将軍の徳川家康に始まり2代目の秀忠が、江戸の中心地「日本橋」から、主要な地方へと5つの道を整備しました。それが 五街道 といわれる、東海道、日光街道、甲州街道、奥州街道、そして 中山道です。中山道 は江戸から京都を結ぶ街道で、木曽川に沿って険しい山々を抜ける道が、木曽路 と呼ばれるようになりました。

では、徳川家康は何のために道を整備したのでしょうか?「みんなが旅しやすい素敵な日本にするために〜♪」…なわけありません。お江戸を防御するためです。

各地から江戸に来る怪しい輩は 関所 で取り締まる。また、政治的情報の伝達を早くするために、長い長〜い道の各所に 宿場町 を設置しました。

宿場町 は、旅人が長い旅路の合間にゆっくり休憩できる場所としても重要な役割を果たしましたが、幕府にとっての目的は「馬が伝える」と書いて 伝馬 。今でいう リレー駅伝 の大元ですね!

当時は馬が最速の手段でしたが、馬だってバテます。江戸から京都まで走らせたら死んじゃいます。だから、宿場町でバトンタッチ!そこにいる元気な馬がバトンを受けて、情報を伝達していく…という重要なポイントだったわけです。

今でも全国各地に「○○宿」と呼ばれる名所が遺っており、【くるまや 本店】がある 福島宿 もその一つ。さらに、福島宿 は、中山道の 関所 でもありました。その責任者として、江戸幕府から任されたのが、名武将の 山村 良勝。今でも立派なお屋敷 「山村代官屋敷」 が遺っています。

山村代官屋敷
木曽町(木曽郡) / 建造物 / 歴史的建造物
住所:長野県木曽郡木曽町福島5808番地1地図で見る
Web:https://www.town-kiso.com/facility/100025/
福島宿
木曽町(木曽郡) / 町・ストリート / 穴場観光スポット
住所:長野県木曽郡木曽町福島大手町5808−1地図で見る

【くるまや】は山村家に仕えていた製粉・精米屋さんだった!

【くるまや 本店】に話を戻すと、ここの家は代々、その山村代官の屋敷に仕えていた 製粉・精米屋さん だったのです。当時は製粉・精米のために「水車」の回転を動力源にしていました。それがいわゆる「水車小屋」。木曽川の豊かな水源を利用していたのですね。

その頃から、水車の “車” にちなみ「車屋」と呼ばれるようになり、古くから「くるまや」が屋号に。明治に入ると、自家製のそば粉を使った手打ちそばが評判を呼び、その歴史が絶えること無く現在に至ります。

2019年にリニューアルオープンするも明治らしい佇まい

「くるまや」の旧家はダム建設のためなくなってしまいましたが、現在のお店も 明治43年(1910年)からあった建物を譲り受けたもので、とても年季が入っています。

全座敷だった店内は、2019年にリニューアルしてテーブル席を設けましたが、モダンながらも明治の雰囲気が漂います。座敷ももちろん残されています。

蕎麦屋定番のメニューはどれも美味しそう!

お蕎麦のメニューはほとんどが写真付きでわかりやすい!温かい蕎麦、冷たい蕎麦、要予約のコースもあります。ホームページ にも細かくメニューを紹介されているので、ぜひご参照ください。

ざるそばもりそば の違いについては度々話題になり、蕎麦の歴史をたどると奥深いのですが、現在一般的には ざるそば は海苔がかかっている蕎麦、もりそば は海苔がない蕎麦です。

また、蕎麦屋独特の表現「天ぬき」というような「○○ぬき」とは、お寿司の「さびぬき = わさびは別に添えていますよ」と同じような意味。例えば「天ぬき付き ざるそば」なら、別皿に天ぷらを添えていますよ、という感じでしょうか。

なお、現代では「○○ぬき」というメニュー表記は蕎麦屋さんによって扱いが異なり、「抜き = 無い」という意味で使っているお店もあるのでご注意ください。

次のページを読む

木曽町(木曽郡)の旅行予約はこちら


この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


【長野】木曽名物「すんき」って知ってる?食べ方・買える場所もご紹介!

長野県木曽地方の名物「すんき」をご存知ですか?実は、世界的にもとっても珍しい食べ物なんです!本記事では、すんきについての解説と、すんき料理を食べられるお店や、購...


【木曽福島】信州名物牛乳パンの元祖!「かねまるパン店」

信州のご当地グルメの1つ、牛乳パン。今や長野県内のどこでも買うことができますが、牛乳パンの元祖はご存知でしょうか? 本記事では、牛乳パンの元祖と言われる「かねま...

【長野】道の駅日義木曽駒高原で買いたい季節限定お土産7つ!

長野県木曽郡木曽町の木曽駒ヶ岳の麓にある道の駅、日義木曽駒高原(ひよしきそこまこうげん)。昔の五街道のひとつ中山道の中間地点にあります。本記事では、道の駅日義木...

健康を考えた料理で子連れにも嬉しい店内【aalto kitchen】(長野・木曽町)

長野県、木曽駒高原の麓にある【aalto kitchen アアルトキッチン】は、店内にはお子様向けのお遊びスペースやピアノ、絵本などがある楽しいカフェレストラン...

【長野】道の駅日義木曽駒高原テイクアウト弁当3つをご紹介

おでかけは、公共交通機関よりも車!という方におすすめの施設と言えば、道の駅。本記事では、長野県にある道の駅「日義木曽駒高原(ひよしきそこまこうげん)」のテイクア...

この記事を書いたトラベルライター

じっとしているのは耐えられない旅行好き&飲兵衛です
日本在住ですがアメリカで生活したこともあり、その時にすっかりアメリカ大陸の自然に魅了されました。それ以来、帰国しても日本の自然の素晴らしい場所をあちこち旅行するのが好きです。1児の母でもありますので、“子連れで行くとどんな旅になる?!”という視点も織り交ぜていろんな場所をご紹介できればと思っています。
http://blog.goo.ne.jp/makiko0213ha

【大丸神戸店】デパ地下で楽しくお買い物!神戸土産にもぴったりな名物13選

神戸観光の人気エリア、旧外国人居留地にある【大丸神戸店】は、神戸元町を象徴する建物として鎮座しており、地元人も観光客もショッピングや飲食に訪れる人気スポット。そ...


【岡山県・西粟倉村】ただの田舎じゃないその魅力とは?!

かつて市町村合併が進んだ中、あえて「村」として生きる道を選んだ岡山県の「西粟倉村」。今、ここには若く発想力も豊かでエネルギッシュな人たち、ローカルベンチャーを目...


シカゴに行ったらコレを食べよう!歴史と共にある4つの個性派グルメ

アメリカ本場でステーキといったらニューヨーク?いえいえ実は、アメリカ人の間では「肉といったらシカゴ!」と言われているそうです。その他にもシカゴには、シカゴピザや...

日本ではできない体験!アメリカでガン・シューティング【GILBERT INDOOR RANGE】

日本では一般人が実弾の入った銃を撃てる機会はほとんどありませんが、アメリカでは初めての人でも実弾でガン・シューティングができる射撃場がたくさん!屋内の射撃施設「...

車で行こう!子連れで楽しもう!【ユニバーサル・スタジオ・ジャパン】

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下 USJ)に子連れで車で楽しく行きませんか?!子供用のたくさんの荷物も車ならラクラク♪ 駐車場情報や入場時の混雑具合、また...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります