岐阜県のちょうど真ん中に、縄文時代からそのまま残された巨石群があります。北極星を観察する石、北斗七星の正確な位置が描かれた石、太陽の射す角度を示す線が刻まれた石などがあり、そこに確かな宇宙と太陽の運行が読み取れます。「グレゴリオ暦」と同レベルの精度を誇る「金山暦」にみる、古代人の恐るべきコヨミづくりの叡智。そして巨石が生み出すパワーの一端を垣間見る旅をご紹介します!
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金山巨石群とは?
金山巨石群とは、岐阜県下呂市の岩屋ダムから500m地点にある「岩屋岩陰遺跡」、「線刻のある巨石」、「東の山巨石群」の3か所からなる巨石群のことを指します。
金山巨石群の発掘により確認された事実は、「金山巨石群の5大インパクト」として以下のように紹介されています。
- 1.巨石群内に差し込む太陽スポット光の観測により、夏至・冬至・春分・秋分が特定できる。
- 2.太陽スポット光の差し込む位置のズレを調査することで、4年に1度のうるう年を特定できる。
- 3.さらに18年におよぶ長期的な観測によって、128年周期の「金山暦」が成立することを証明!
- 4.「金山暦」は、現在私たちが使用している「グレゴリオ暦」と、同レベルの精度を誇る!
- 5.すなわち縄文人は、現代人と同じくらい高精度の暦を使用し、季節の移り変わりを把握していた。
高さ10m、幅20mにも及ぶ切り立った断面をもつ巨石は、山奥にひっそりと、しかし圧倒的な存在感をもって旅人に迫ってきます。この巨大な“モニュメント”が暦をつくる太陽観測所だと最初に発見したのは、巨石群のガイドをする小林さんでした。
金山巨石群の発見は、ガイド小林さんの”夢”からはじまった
『金山巨石群の「縄文」太陽観測ガイド』の著者である小林さんは、この場所が好きでよく足を運んでいたそうです。ある夏の日。石の上で小林さんは眠りに落ちてしまったそうです。そして夢を見ました。自分が岩のそばに立って太陽を観測している夢でした。
かねてからこの大きな岩たちの形に、何か意味があるように感じていた小林さんは、この岩に落ちる太陽の影と、石に刻まれた線(ライン)が一致するのを見ました。そして、巨石の埋まった部分を土から掘り起こす作業が、そこから始まったのでした。掘り起こしには5年もかかったと言います。
このような発見秘話を聞けるのが「金山巨石群ガイドツアー」です。筆者が訪れた際は、あいにくの曇り空だったため、太陽観測は残念な状況ではありましたが、それでも古代人がどのように観測したのかをつぶさに知ることができたのは、やはりガイドさんの説明があったからです。
金山巨石群ガイドツアーに参加してみよう
金山巨石群を巡る時は、ぜひガイドさんのお話を聞きながら巡ることをお勧めします。 本には出ていない秘話も飛び出します。
20年近くにも及ぶ研究成果は一冊の本ではおさまらないようで、質問すればするほど面白いお話をたくさんしていただけますよ。
- 出典:blog.livedoor.jp太陽の光がこのように入ってきて・・・(写真提供:金山町観光協会)
- 出典:blog.livedoor.jp射しこんだ光がこのように足場に落ちています(写真提供:金山町観光協会)
また、通常のガイドツアーの他、北極星を観測する星空観測会や春分、夏至、秋分、冬至の太陽観測会、太陽光の体験ツアーなどの催しが観測できる日時に行われます。
- 出典:blog.livedoor.jp北斗七星の観察会(写真提供:金山町観光協会)
上の写真は北極星を観測する会の様子ですが、巨石群の上部にうっすらとポラリス、北斗七星が浮かび上がっています。
詳しい日程などは、年により異なります。金山町観光協会までお問い合わせください。
一般のガイド料は一人3,000円です。10名以上の団体割引あり。
■金山町観光協会:080-3637-2201
■金山巨石群調査資料室:0576-34-0073
金山巨石群がおしえる古代人の叡智
さて、では「金山巨石群の5大インパクト」に沿って、観測ポイントを巡ります。あらかじめ石の配置図を確認しておくと良いでしょう。点在する巨石には、ストーンA、ストーンBというようにそれぞれアルファベットが振られて識別されています。
5大インパクト その1
「巨石群内に差し込む太陽スポット光の観測により、夏至・冬至・春分・秋分が特定できる。」
この観測に使われていた巨石が、ストーンAとストーンCです。ストーンAとストーンCの間から朝日を観測し、朝日がストーンC(上の写真の石です)の上に登る時、その登る位置で春分、夏至、冬至を特定できます。