ゴッホ、ピカソ、ダヴィンチ、モネ…世界中の絵画をその土地で見るのも旅行の楽しみの一つですよね。でも、「この名画たちを一度に見ることができたら」「人があまり多くないところでじっくり見られたら…」と思うことはありませんか。今回ご紹介する大塚国際美術館はそんな夢をかなえてくれる場所です。「日本で一度に見られるなんて、贋作でしょう?」と思われる方もいるかもしれません。もちろん「本物」の作品ではありませんが、驚くべき方法で再現された絵画たちです。本物以上に絵画を楽しめる大塚国際美術館を今回はご紹介します。
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大塚国際美術館とは
「大塚国際美術館」は、ポカリスエットやボンカレーで有名な大塚グループが設立した日本最大級の常設展示スペースを持つ美術館。その広さはなんと29,412㎡。ただし、その内部に飾られている作品たちは、何一つ「本物」ではなく、「再現」されたものなのです。
陶板名画とは
陶板名画とは、陶器の大きな板に原画に忠実な色彩・大きさで作品を再現したものです。大塚国際美術館には古代壁画から、世界25ヶ国・190余の美術館が所蔵する現代絵画まで、1,000点以上の陶板名画が展示されています。
大塚グループの底力!? 名画の再現のされ方が半端ない!
大塚グループである大塚オーミ陶業株式会社の特殊技術によって、オリジナル作品と同じ大きさで忠実に原作を陶板に再現しています。この陶板名画は、経年劣化や雨風による劣化も気にすることもないので、これからの文化財の記録保存の在り方に大いに貢献するもの、と注目を集めている技術でもあります。
陶板名画ができるまで
大塚国際美術館に飾られている陶板名画はすべて、原画の著作権者・所有者から陶板名画として複製をつくることの許諾を得ています。複製の許諾が得られてから、原画作品に使われた塗料や塗られ方、現地で展示されている際にどのように作品に光が当たっているか等、隅々まで分析し、その後長い時間をかけて忠実に復元。
作品が完成したら監修の方や原画を所有されている方などに検品をお願いし、問題なければようやく展示、という流れです。いわば、大塚国際美術館に飾られている作品たちは「名画の持ち主たちによってお墨付きが出た再現画」とも言えます。
名画が飾られている環境をまるごと再現!
大塚美術館の一つの特徴に、名画が飾られている空間や環境を丸ごと再現している点があります。大きさや、部屋の広さ、光の当て方まで細部にわたって再現。まるでその土地に行ったかのような臨場感を味わうことができます。
システィーナ礼拝堂天井画および壁画/ヴァティカン
美術館に入って一番初めに見るのがこの部屋。礼拝堂を再現した空間は圧巻、の一言です。
スクロヴェーニ礼拝堂/パドヴァ、イタリア
こちらも礼拝堂をそのまま再現しています。ここでは実際に結婚式も行われるそうで、とても素敵です。
聖マルタン聖堂壁画/ノアン=ヴィック、フランス
パリから300kmほど南にある小さな村「ノアン=ヴィック村」にある聖堂をそのままの大きさで再現しています。素朴な色遣いの中に臨場感が感じられます。
モネの「大睡蓮」/オランジュリー美術館、フランス
こちらは「展示の環境を再現した」のではなく、モネの「自然光の中で見てほしい」という願いを実現した展示の仕方です。陶板名画であれば、屋外に飾っていても太陽光や風雨による劣化を心配する必要はありません。青空の下で見る「大睡蓮」は本当に綺麗です。
陶板名画の楽しみ方
緻密に再現された陶板名画の楽しみ方をご紹介!
1) 近づいて絵をよく見る
本物の名画であれば、ある程度の近さ以上は近づけないように、ロープなどが引かれていたりするもの。この大塚美術館ではロープなどは一切ありません。筆遣いも緻密に再現されているので、作家の筆跡を近づいてよく見ることができます。
2) 触ってみる
本物であれば絶対御法度の「触ってみる」という体験。そんな絵画を触るという楽しみ方も陶板名画だからこそです。実際に幾つかの作品の横には「触ってみよう」というコーナーもあります。
3) 座って、時間をかけて楽しんでみる
本物の作品が展示されているスポットはおおむね観光客がとても多く、あまり時間をじっくりかけて楽しむことができないでしょう。そんな名画たちもここであれば、椅子に座って、ゆっくりとその世界観に浸ることができます。
展示数が多く、「どれから見ればいいのか分からない!」という方にはツアーガイドもありますので、それを利用するのも楽しみ方の一つです。