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約1,300年前に帝が見た光景!奈良県の特別史跡・平城宮跡を一望

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:25都道府県

2017年8月30日更新

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写真:SaoRi

約1,300年前の日本、それは奈良時代。710年に藤原京から平城京に都が移され、784年に長岡京に都が移るまでの75年間、この平城宮跡地を中心として日本は時代を刻んでいきました。宮都の中心施設であった第一次大極殿は、多くの専門家の研究により、9年もの歳月をかけ、平城京遷都から1,300年にあたる2010年に復元されました。天皇の玉座が置かれ、厳かな空気が漂います。細部まで忠実に復元された内部と共に、当時の帝が見ていたであろう景色を一望し、遥か昔の日本に思いを馳せてみましょう。

この記事の目次表示

第一次大極殿とは?

平成22年に復元工事を終えた第一次大極殿ですが、そもそもこの建物はどのような役割を持った場所だったのでしょう?

  • 写真:SaoRi

大極殿は平城宮の中で最も重要な建物で、元日朝賀や天皇即位など、国家儀式の際に天皇が出御する場所でした。天皇の玉座である高御座(たかみくら)が置かれ、そこからの景色はまさに1,300年前の天皇が見渡した光景と言えるでしょう。

第一次大極殿の見どころ

では、さっそく多くの専門家たちの研究によって忠実に復元された見どころを巡ってみましょう。

第一次大極殿の外観

第一次大極殿は、間口44m、奥行20m、屋根の高さ27mで平城宮の中で最も大きな建物です。

  • 写真:SaoRi

屋根の一番上の両端には鴟尾(しび)がつけられ、その高さは約2mほどあったと想定されています。

  • 写真:SaoRi屋根の大棟の両脇についていたとされる約2mの鴟尾

復元工事の際には古代からの伝統的な技術である宮大工・屋根葺き・左官などの技術が最大限に用いられたそうです。奈良時代の建築技術を考えると、当時の技術の限界に挑んだような建物だったと思われます。

第一次大極殿の天井

建物内に入ると、赤い格子状の天井が目を引きます。

  • 写真:SaoRi

天井桁の間に太い木材が格子状に組まれ、上に板を載せた組入天井という形式が用いられています。

  • 写真:SaoRi

天井板には蓮の花をモチーフとした絵柄模様があしらわれ、華やかさに目を奪われます。

樹齢約250年の柱

第一次大極殿に用いられた主要な木材は、樹齢約250年の国内産のヒノキやケヤキです。直径709mm、高さ5.0m、下から1/3より上に向かって徐々にすぼまっていく形式となっています。

  • 写真:SaoRi

当時のものがそのまま残っていたのではないかと思うほどの風合は、様々な加工作業や工程を経て、設計通りの部材に仕上げられたそうです。

  • 写真:SaoRi

柱などに触れることは禁じられており、警備員の方の目が常に光っています。思わず触れてしまいたくなるほどの立派さですが、ご注意を。

小壁に描かれた四神と十二支

丹土(赤い土)や緑青で塗装された部材や展示物に目を奪われがちですが、四周に巡る小壁に施された彩色もお見逃しないよう気を付けて下さい。

  • 写真:SaoRi

西に白虎、北に玄武、南に朱雀、東に青龍が鮮やかに彩色され、その周囲に十二支が描かれています。

  • 写真:SaoRi

奈良県在住の日本画家・上村淳之氏によるもので、周囲の厳かさに溶け込み、じっくりと一枚ずつ見入ってしまう美しさです。

天皇の玉座・髙御座(たかみぐら)

第一次大極殿、見晴らしの良い中央に天皇の玉座である高御座が置かれています。

  • 写真:SaoRi

各種文献資料などをもとに製作された実物大のものが忠実に再現されています。

  • 写真:SaoRi

当時は、即位の儀式や元日の朝賀の際に髙御座が置かれ、天皇がお座りになり儀式が執り行われたそうです。その厳かな佇まいに圧倒されます。

平城宮跡 第一次大極殿
奈良 / 遺跡・史跡
住所:奈良県奈良市佐紀町地図で見る
電話:0742-30-6753
Web:http://heijo-kyo.com/map/daikokuden/

奈良時代に帝が見ていたであろう光景!平城宮跡を一望

いよいよ、平常宮跡を一望できるスポットのご紹介です。奈良時代に帝が見たであろう光景が拝めるのは、天皇の玉座である髙御座の真ん前です。

  • 写真:SaoRi

正面の扉は開放されており、よく見渡せるようになっています。

  • 写真:SaoRi

遥か遠くに見えるのが、平城宮の正門である朱雀門です。一見、殺風景とも思えるこの空間にこそ、色々な思いを巡らせることができます。

  • 写真:SaoRi

目の前に広がる広場には、かつて儀式の際などに貴族が整列したそうです。なんとも言えない静寂さや、吹き抜けていく風が感じられ、感慨深い気持ちを味わえます。

  • 写真:SaoRi

第一次大極殿と朱雀門の間には近鉄奈良線が通っており、平城宮内を通過していきます。奈良時代の景色の中を通り抜けていく電車。この心地よい違和感に、1,300年という歳月がひしひしと感じられます。

おわりに

専門家の研究により、細部にわたって復元された平城宮跡はいかがだったでしょう?第一次大極殿の厳かさや、天皇の玉座である髙御座、そして、そこから一望できる平城宮。ぜひ、蘇った平城宮跡で奈良時代の日本に思いを巡らせてみてください。

平城宮跡歴史公園
奈良 / 遺跡・史跡 / 世界遺産
住所:奈良県奈良市佐紀町地図で見る
電話:0742-30-6753(奈良文化財研究所)
Web:https://www.heijo-park.jp/

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