中大兄皇子と中臣鎌足によって行われた大化の改新。2人は飛鳥寺の蹴鞠会で出会い、その後に乙巳の変は起こります。このクーデターを起こす前、中大兄皇子と中臣鎌足は、多武峰の山中で話し合いをしたとされ、その山こそが、談山神社のある談い山(かたらいやま)です。その後時を経て、中臣鎌足(のちの藤原鎌足)を祀る寺がこの地に建立され、今は談山神社として、春と夏は美しい青もみじ、秋には紅葉で大人気のスポットとなっています。17棟もの重要文化財を保有し、畳をも色鮮やかな緑や赤に染める談山神社を旅してみませんか?
この記事の目次表示
写真でたどる大化の改新
中大兄皇子と中臣鎌足が出会った頃、地方の有力豪族であった蘇我氏の権力を全盛期を迎えていました。大和の国を見下ろすことができる甘樫丘(あまかしのおか)に邸宅を建てたとされることからも、その権力の大きさがよくわかります。
蘇我氏に権力が集中していることを懸念していた中大兄皇子と中臣鎌足が運命の出会いをしたのは、飛鳥寺の蹴鞠会。飛んできた皇子の靴を鎌足公が拾ったことがきっかけとされています。
中大兄皇子と中臣鎌足は、国家の先行きを懸念して話し合いを続け、ついに乙巳(いっし)の変で蘇我氏を滅亡に追い込みます。
そして翌年の詔で大化の改新が成立したのです。
大化の改新発祥の地!談山神社
飛鳥の山中にある神社
談山神社があるのは、多武峰(とうのみね)の山中。社寺や遺跡が数多く残る明日香村から山道を車で15分程登ったところにあり、晴れた日には、見晴らしの良い景色を楽しめます。
2人が話し合いをしたとされる談い山にある談山神社は、大化の改新所縁の地・大化の改新発祥の地とされるだけでなく、今は藤原の祖となった鎌足公を祀る神社として多くの方が参拝に訪れます。
春夏の若葉の頃には青もみじ、秋には真っ赤に染まるもみじをゆったりと眺められることでも知られています。大和七福八宝めぐりの八社寺のうちの一つでもあり、開運出世のご利益があるのだそうですよ。
吊り燈篭が緑に映える拝殿
入口で拝観料600円を支払い、もみじに埋もれる朱色の鳥居をくぐって、鎌足公が祀られている本殿へと向かいます。参拝は、本殿向かいにある拝殿から行いますが、重要文化財である拝殿は土足厳禁。靴を脱いで廊下に一歩足を踏み入れて間もなく、見どころが訪れます。
吊り燈篭と青もみじと山々が織りなす美しい景観は、まさに「あおによし奈良の都は」と口にせずにはいられないほどの美しさ。プロアマ問わず多くの方がカメラを構えるスポットです。
もみじ愛でる拝殿
拝殿内部では、江戸時代に描かれた、『多武峯縁起絵巻』を展示。鎌足公が誕生してから大化の改新に至る経緯が描かれたこの絵巻物もまた、重要文化財の一つです。その他、藤原氏末裔一覧や、蹴鞠等が展示されていて、訪れる人々の興味を引いています。
拝殿からは、畳に座ってゆったりともみじを愛でることができます。畳を青く染め、緑薫る爽やかな吹き抜ける空間には、何時間でも滞在できそう。新緑の頃も紅葉の頃も、一度は見ておきたい日本が世界に誇れる素晴らしい景観です。
日光東照宮のお手本となった本殿
拝殿の中央部分からは、鎌足公が祀られている本殿を参拝できます。
江戸時代に再建された、絢爛豪華なこの建築は、日光東照宮造営の際にお手本となったのだとか。もみじの美しさにばかりに目が行きがちですが、花鳥などの色鮮やかな彫刻は一見の価値ありです。
世界で唯一の木造十三重塔
拝殿を後にしてすぐ、目の前に談山神社のシンボル的存在である十三重塔が見えてきます。
鎌足公の息子2人、定慧和尚と不比等によって鎌足公弔いの為に建立された十三重塔。現在のものは、室町時代に再建されたもの。石造りの塔が多い中、高さ17メートルある木造の十三重塔が現存しているのは、世界で唯一ここだけなのだとか。こちらも重要文化財として指定されている貴重なものです。
十三重塔から階段を下りたところにある蹴鞠の庭は、けまり祭りが行われるお庭。ここから見る景色は、メディアにも多く掲載されています。
写真右手の神廟拝所は、元は定慧和尚が建立した妙楽寺というお寺。秘仏や壁画などが見ることが可能ですが、秘仏の御開帳は期間限定の為、事前に確認が必要です。
縁結びのご利益!岩座と東殿
談山神社は、古来から縁結びのご利益があるとされていました。1,300年以上前、妙楽寺を建立する際に発見された光る石「むすびの岩座」もその言い伝えの一つとされています。
この石を撫でて願いを唱え、おみくじや御守りを購入すると願いが叶いやすいという言い伝えが残されていて、男女間だけでなく、人間関係の縁結びにもご利益があるのだそうですよ。
談山神社にはもう一つ、縁結びや恋成就のご利益の由縁とされる場所があります。その場所へ向かう道は、参道から分岐するもう一つの参道、「恋の道」。
恋の道の先にあるのは、鎌足公の妻である鏡女王を祀る東殿。鏡女王は恋の歌が得意だったことから、恋神社として今もなお多くの女性が手を合わせています。むすびの岩座は、この恋神社の左隣にありますから、先に岩座を撫でてから、参拝すると良さそうです。
灯篭亭で一休みしよう
参道を降りた目の前にある、黄色い看板が目立つお店灯篭亭。
目の前には、醍醐天皇が奉納した燈篭を始め、多くの燈篭が立ち並んでいることがお店の名前の由来なのだそう。
参拝客が食べ歩きしているのが、この焼きたての御餅。
栃餅・古代米餅・ヨモギ餅の3種類で、こしあん・黒あん(胡麻)・粒あんと、すべての餡が違うのが特徴的。ふんわり優しくやわらかいお餅の中に、甘すぎない餡がたっぷりと入った温かいおやつです。
地元産のひげ茶は、緑茶の茶葉をつくる際に出た部分を利用したお茶なのだとか。
緑茶よりも爽やかな香りのひげ茶と餅は、旅の疲れを一気に吹き飛ばしてくれる、抜群の組み合わせです。
談山神社へのアクセス
談山神社へは、近鉄・JRの桜井駅南口から奈良交通の路線バスで談山神社行きバスに乗車します。春と秋には臨時バスも出るそう。事前にHP等で確認が必要です。談山神社行きのバスは本数が少ないせいか、いつも混み合っていますので、できる限りマイカーやレンタカーでの参拝がおすすめです。
バス停又は第1~第4駐車場から神社までは、徒歩10~15分程度歩きます。急な階段を上り下りする為、歩くのが苦手な方は、第5駐車場に駐車すると便利です。
大化の改新に思いを馳せ、タイムスリップしたような心地になる談山神社。爽やかな風薫る明日香の奥座敷でゆったりとした時間を過ごしてみませんか?
- 談山神社
- 奈良 / 神社 / 絶景 / 紅葉 / 桜の名所 / 縁結びスポット / あじさい名所
- 住所:奈良県桜井市多武峰319地図で見る
- 電話:0744-49-0001
- Web:http://www.tanzan.or.jp/