東京都文京区にある日本最古の研究図書館・東洋文庫ミュージアム。施設全体で約700㎡と小さなミュージアムながら、そこにぎゅっと詰まっているのは、日本を含む東洋全体の歴史と文化についての貴重な文献です。その数なんと80言語からなる約100万冊!ミュージアムの目玉は、その膨大な量の書籍の一部が本棚に所狭しと並んでいる「モリソン文庫」。しかし館内では、ほとんどの本を実際に手に取って読むことができません。本を読まずに展示として鑑賞する、ふだんとは違ったちょっと新鮮な本の楽しみ方を一度味わってみては?
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いざ東洋文庫ミュージアムへ
東洋文庫ミュージアムには、東京都文京区の駒込駅・千石駅から徒歩7~8分で到着します。10時から19時まで利用可能です(最終入館は18時半まで)。エントランスには、ミュージアムショップのマルコ・ポーロも併設されています。まずは受付で入場料(一般900円)を支払い、中へと入りましょう。
入ってすぐ右手には、国内最長と言われる展示ケースの中に、世界各国の言語で訳された日本の古書が展示されています。『古事記』、『源氏物語』、『こころ』、『高瀬舟』などの名作が、これまでどう翻訳・出版されてきたのかを、展示を通して眺めることができます。
天気のいい日はガラス窓から陽光が差し込み、隣接するオリエント・カフェと気持ちの良い芝生を眺めながら展示を楽しむことができます。
記念スタンプが押せる台もあるので、生粋の本好き・歴史好きな子供や外国人旅行客にも喜ばれるのではないでしょうか。東洋文庫が出版している一部の本は閲覧可能なので、長椅子に腰かけてページをめくってみては。
ミュージアムの目玉・モリソン書庫
2階へと続く階段を上ると、まるで教会にいるかのようにも感じられる吹き抜けがあり、一気に荘厳な雰囲気に。その場所こそが、ミュージアムの目玉でもある「モリソン書庫」です。三方を本棚に囲まれるような配置で展示されています。
この本棚に収められている書物は、三菱第三代当主の岩崎久彌が、オーストラリア人のG.E.モリソン博士から一括購入したといわれる約2万4千点のコレクション。主に欧文で書かれた東洋に関する貴重な文献の数々が並び、まさに本の洪水ともいうべき圧倒的な迫力に、目を奪われること間違いなしです。『東方見聞録』や『蝶々夫人』、『竹取物語』などが展示されています。
時を経てなお現存する書物の中には、膨大な情報が詰まっています。インターネットもなく、簡単に世界各国と交流できなかった時代、情報の保存・共有に本がどれだけ貢献してきたんだろう・・そんなことを改めて感じ取ることができます。
企画展示も楽しめる
モリソン書庫の奥には、4か月ごとに変わる企画展示が。筆者が訪れた際は「本のなかの江戸美術」として、『源氏物語』や『伊勢物語』、『百人一首』や『義経記』などの絵巻や掛け軸などを鑑賞できました。一部の展示は春画も含まれていたので、その展示箇所のみは18歳以上からとなっていました。
また「回顧の道」という展示スペースは、暗がりに一部分が照らし出され、数か所ガラスの床になっていて・・と不思議な雰囲気を味わえるのでお楽しみに。
鑑賞後の過ごし方
もと来た階段を下りて、入り口横の重い扉を開けば、カフェへと続く「知恵の小径」が。アジア各国の言語でいろんな名言が刻まれているので、そこも忘れずに歩いてみて下さい。ミュージアムを満喫した後は、併設する小岩井農場直営のオリエント・カフェで休憩をしたり、ショップでお土産を買ったり、近くの旧古河庭園を散策するのもおすすめですよ。
- 東洋文庫ミュージアム
- 巣鴨・大塚・駒込 / 博物館
- 住所:東京都文京区本駒込 2 - 28 - 21地図で見る
- 電話:03-3942-0280
- Web:http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/museum_index.ph...