2011年に世界自然遺産に登録された西オーストラリア州にあるニンガルーリーフでは、8月から10月くらいまでの間、大海原を回遊するザトウクジラの姿がよく見られます。そんなザトウクジラと間近で泳げるユニークなツアーをご紹介します。
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ニンガルーリーフとは
ニンガルーリーフは、澄み切った海に260kmにも及ぶ広大なサンゴ礁が広がる世界最大の裾礁(きょしょう)です。2011年に世界自然遺産にも登録されました。
この一帯にはウミガメ、熱帯魚、マンタ、ザトウクジラ、ジンベエザメが生息しており、このように多様な海洋生物が多数共存する場所は、世界でもニンガルーリーフだけです。
- 出典:www.openstreetmap.org© OpenStreetMap contributors
ニンガルーリーフの玄関口エクスマウスまでは、州都パースから北へ1,250km。車での移動が一般的ですが、エクスマウスには飛行場もあり、空路での移動も可能です。
- ニンガルー・リーフ
- オーストラリア / 自然・景勝地
- 住所:Ningaloo地図で見る
- Web:https://www.australia.com/ja-jp/places/ningaloo.ht...
- エクスマウス
- オーストラリア / 町・ストリート
- 住所:Exmouth Western Australia地図で見る
- Web:https://www.westernaustralia.com/en/Destination/Ex...
ニンガルーリーフで見られるザトウクジラ
- 出典:www.instagram.comsara.barbieri 撮影・提供
例年6月から10月頃まで、エクスマウス周辺の海域では多くのザトウクジラを見る事ができます。ザトウクジラは南極から出産のために温かい海域向かって北上し、そして捕食を目的に南極の海に戻って行きます。そのルート上にニンガルーリーフがあり、6月から10月の間は彼らの餌となる生物が豊富なため、ニンガルーリーフが休息の場となっており、その時期には数千のクジラが集まると言われています。
クジラスイムを体験しよう
そんなニンガルーリーフでは、ザトウクジラを間近に見られるクジラスイムの体験ができます。ニンガルーリーフでのクジラスイムの特徴は、独自のサーチ方法。上空に飛行している偵察機と連携を取り、偵察機によって安全にクジラに近寄れる場所を指示されます。
シーズン中のニンガルーリーフでは、ビーチにいてもクジラを確認できるほど、たくさんのクジラが集まっていますが、その中でも小さい赤ちゃん連れでないクジラであるとか、ジャンプをしたり、尾びれを海面に叩きつけていたりしていない大人しそうなクジラなど、条件に合ったクジラを偵察機は探して、正確な停船場所をボートの船長に伝えるなど連携を取ります。
出発~船中
筆者が体験したエクスマウスダイブ&ホエールシャークスニンガルーというツアーでは、朝8時に宿泊場所にツアーの迎えが来て、ボートが出港し1時間ほど沖に出ます。船中ではクジラスイムの注意事項や、ザトウクジラについてなど、インストラクターが説明をしてくれます。午前中のモーニングティーやランチ、アクティビティ終了後のドリンクの提供などもありました。
シュノーケルスポットでのレクチャー
まずはシュノーケルの練習も含め、シュノーケルスポットでのレクチャーがあります。なるべく音をたてない、クジラスイム時は横泳ぎでインストラクターの指示に従って縦に一列に並ぶなど、クジラスイムをするにあたっての体制をこの時に練習します。
クジラスイム出陣
ボートが上空の偵察機の指示通りに停船したら、こちらも偵察機から出される「海に入るタイミング」の指示を待ちます。
偵察機からの指示が出たら、迅速にそして音をたてないように海に入ります。
そしてインストラクターの指示に従って泳ぎ(インストラクターにはトランシーバーで、偵察機からクジラを待つ場所の指示が細かく入っています)、縦に1列に並んでクジラが泳いで来るのを待ちます。
クジラは大抵、参加者の真下から少しずれた海底を泳いで通り過ぎます。それも上空の偵察機からの計算された位置関係なのです。
10mくらい下をクジラが泳いでいる姿を肉眼で見られるなんて、巨大なクジラに圧倒されて興奮すると同時に、夢を見ているような気にもなります。
耳を澄ますとクジラの鳴き声が聞こえます。そんな生のクジラと接近できていることに胸が高まります。
そして無事にクジラが通過したら、参加者みんなで喜びを分かち合います。
1日に1度だけのチャンスの時もあれば、筆者が参加した時は4回もクジラを見る事ができました!(頻繁に泳ぐ事になるので、それだけ疲れます)
シャンパンタイム
全行程が無事に終了したら、ドリンクタイムです。幸福感と充実感に満たされたあとのシャンパンは格別です。
船着場に着くまでクリスタルクリアのニンガルーコーストを眺めていると、あっという間です。ツアー終了はその日のクジラ次第でしょうが、16時頃。丸一日がかりのツアーになります。
- エクスマウス ダイブ & ホエールシャークス ニンガルー
- オーストラリア / 体験・アクティビティ
- 住所:2 Payne Street, Exmouth, WA, 6707, Australia地図で見る
- Web:https://www.exmouthdiving.com.au/
この記事を書いたトラベルライターから一言
今回ご紹介したクジラスイムの参加費は、1名AU$425(約30,000円)でした。
かなりの高額なツアーですが、上空からに偵察機とボートやスタッフ、1度のクジラスイムに参加者7名に対してスタッフ2名がつくという規定があるので、筆者が参加した時は2グループに分かれましたが、ボートスタッフとは別にインストラクター3名、カメラマンが2名いました。そのようにクジラと参加者の安全を守るために事細かく規制されているので、それだけ経費がかかるのでしょう。
それでも野性の体長10m以上ものザトウクジラを間近で、しかも水中で見て感じられることは、貴重な経験となりました。
参加者はプロのカメラマンが撮った水中写真や動画をもらう事ができます。その際はオフィスにUSBなどのディバイスを持参するか、別料金で購入したディバイスにデータを入れるようになります。こちらの記事にもカメラマンのSara Barbieriさんの承諾の上で、その時にもらった写真を使わせてもらっています。興味がある方はSaraさんのインスタをチェックしてみて下さい。
最後にクジラの動画をお楽しみください。珍しいクジラの鳴き声が聞こえます。(bemnty)