2015年に北陸新幹線が開通し、注目される石川県金沢市。その中心部から車で約20分のところにある湯涌は「金沢の奥座敷」と呼ばれ、豊かな自然のある温泉街としても知られています。ここ湯涌で、大正時代に活躍した詩人画家・竹久夢二は、最愛の恋人・彦乃と数週間滞在し、生涯の中でもとても幸せなひとときを過ごしました。この地に夢二の作品を展示する「金沢湯涌夢二館」があります。2017年は、夢二と彦乃が滞在して100周年にあたる年になり、特別展示や様々な企画も開催されています。
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竹久夢二とは
竹久夢二は、明治17年(1884年)岡山県生まれの大正ロマンを代表する詩人画家。「夢二式美人」と呼ばれる美人画でよく知られています。夢二の生涯には数々の女性たちとの出会いと別れがあり、その創作に大きな影響を与えています。
夢二の愛した3人の女性と金沢との縁
夢二の数々の女性遍歴の中でも、「夢二をめぐる3人の女性」としてよく名前が挙がる3人の女性。この3人の女性には、いずれも金沢との縁があります。
戸籍上の唯一の妻であった岸たまきは、故郷が金沢。夢二とはわずか2年で離婚しますが、その関係は長きにわたって続きます。
夢二の「最愛のひと」とされる笠井彦乃は、父親に反対されながらも交際を続け、夢二と金澤の湯涌に滞在。その翌年に、結核のため25歳で生涯を終えました。
夢二の画のモデルだったお葉は、彦乃の影に苦しみ、金沢の地で夢二との別れを決意しました。
夢二が永遠の恋人・彦乃と過ごした湯涌
夢二はたまきと離婚した後、京都に移り住んで彦乃を呼び寄せ、当時7歳だったたまきとの間の次男・不二彦と3人で暮らしていました。北陸旅行の際に疫痢になった不二彦の保養を兼ねて、大正6年(1917年)9月~10月の約3週間、夢二は不二彦と彦乃とともに湯涌温泉に滞在しました。
湯涌滞在の翌年に、彦乃は結核のため25年の生涯を閉じました。夢二はそのショックからなかなか立ち直れなかったそうです。彦乃と湯涌で過ごしたひとときは、夢二の生涯にとってとても幸せな時間だったと言われています。
金沢湯涌夢二館
夢二が恋人と滞在し、また深く関わった3人の女性すべてと縁があった金沢。金沢湯涌夢二館は、こうした事実に基づいて、平成12年(2000年)に設立されました。
常設展示では、夢二の作品や遺品等を通して、その芸術性を「旅」「女性」「聖書」の視点から問い、3人の女性と金沢との縁も絡めて紹介しています。
レトロ可愛い夢二グッズ
詩画だけでなく、挿絵や書籍の装幀、広告宣伝物、日用雑貨などのデザインも手がけていた夢二の、大正レトロな可愛いデザイン。館内では、夢二の画を使った様々なグッズを買うことができます。
- 金沢湯涌夢二館
- 金沢市 / 美術館 / 雨の日観光 / 穴場観光スポット
- 住所:石川県金沢市湯涌町イ144-1地図で見る
- 電話:076-335-1112
- Web:http://www.kanazawa-museum.jp/yumeji/
夢二も愛した「ロマンの湯」
湯涌温泉は、夢二が恋人と滞在したことから「ロマンの湯」とも呼ばれています。なめらかさと温もりが肌を包み込む、湯涌温泉特有の泉質です。金沢湯涌夢二館のすぐそばに、日帰りでも入浴できる温泉がいくつかあります。
日帰り入浴施設「総湯白鷺の湯」
養老二年(718年)、紙漉き職人が泉に身を癒す白鷺を見て、この温泉を発見したと伝えられています。外にある「白鷺の足湯」も誰でも利用できます。
- 総湯 白鷺の湯
- 金沢市 / 日帰り温泉
- 住所:石川県金沢市湯涌町イ139−2地図で見る
- 電話:076-235-1380
- Web:https://yuwaku.gr.jp/yu/
夢二が滞在した「お宿やました」
夢二が滞在した「山下旅館」が前身となる「お宿やました」でも、日帰り入浴が可能です(日帰り入浴に関しては電話にて利用条件等を要確認)。
- 湯涌温泉 お宿やました
- 金沢市 / ホテル / 旅館
- 料金(目安):10,100円〜52,047円
- 宿泊時間:15:00〜10:00
- 住所:石川県金沢市湯涌町イ165-1地図で見る
- 電話:(076)235-1021
- Web:http://oyado-yamasita.com/onsen.html
夢二と彦乃の滞在から100周年!
2017年は、夢二と彦乃が滞在して100周年にあたる年。金沢湯涌夢二館での特別展示や様々な企画、湯涌温泉観光協会主催のイベント等が開催されています。
金沢湯涌夢二館の特別展
「湯涌滞在100年記念・金沢湯涌夢二館特別展~竹久夢二と同時代の美人画~」
平成29年4月22日(土)~7月2日(日)
湯涌温泉観光協会のイベント
9月には、大正ロマン風カクテルバー等のイベントを開催予定です。
観光協会のホームページからご確認ください。
おわりに
金沢駅からは、北陸鉄道バスで向かうこともできます(約50分)。あなたも、夢二が恋人と過ごした温泉でほっと一息過ごしませんか?
電話番号(北陸鉄道テレホンサービスセンター):076-237-5115
HP:http://www.hokutetsu.co.jp/route-bus
営業時間:8:00~19:00/年中無休