ボディは周りに何もない、見晴らしの良い高原に突如現れる本物のゴーストタウン。アメリカで1849年ごろに沸き起こったゴールドラッシュ時は10,000人もの“49ers”(金鉱の発掘のためにカリフォルニアに押し寄せた人達のこと)で賑わった鉱山街でした。しかし金鉱が枯渇した20世紀に入ると一変。街は荒れ、大火事が起き、急速に人が消えていったそうです。なお、現在ではただの廃墟ではなく、州立公園・国定歴史建造物に指定され管理されています。そんなカリフォルニア州東部の観光名所の1つをご紹介します。
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ゴールドラッシュで栄えた【鉱山街】から【ゴーストタウン】へ
よく聞かれる「アメリカン・ドリーム」という言葉、この大元は「カリフォルニア・ドリーム」から来ていると言われています。
それは、1849年にカリフォルニアで沸いたゴールドラッシュ。今のサンフランシスコなどは、このゴールドラッシュ無くして語れない都市ではないでしょうか。
そのように発展した街があった一方、真逆の街もたくさんあったそうです。その中の1つが、ここ「Bodie(ボディ)」。
住民が10,000人にもなるほど栄えた街であったにもかかわらず、20世紀にはゴーストタウンとなってしまったのです。
【ボディ】が発展したワケは…?
金鉱が発見された当初は、小規模の鉱山キャンプだったそうです。それが10,000人もの人が集まるほどの規模になったのには、いくつか要因があります。
イチ個人ではなく企業が目をつけた!
町の奥にあるブルーグレイの大きな建物は 「Standard Mill(スタンダード・ミル)」 と呼ばれている鉱山工場です。
ボディでは個人個人が好き勝手に鉱山を掘っていたのではなく、大きな金鉱を見つけた企業「Standard Company(スタンダード社)」によって工場が建てられ、そこで雇われる人たちが多くいたんだそう。
また、このスタンダード社は当時のアメリカには無かった水力発電による長距離の送電も実現させたそうです。現在でも荒廃した町の中にポツリポツリと電柱が立っていることから、その名残が伺えます。
ボディに貢献した人物「James Stuart Cain(ジェイムズ氏)」
ジェイムズ氏もまた、金鉱に沸く「ボディ」を目指してやってきたのですが、彼の目的は金鉱を掘ることではなく、それ以外のビジネスでした。特に【木材の搬入】は、ボディが発達する大きな要因の1つだったようです。
鉱山工場を稼働させる蒸気の燃料、家屋や教会やお店を建てる資材、一般家庭のキッチンや暖炉のための薪など、木材は欠かせませんでした。
その他にもボディのために様々に尽力した方で、ジェームズ氏が住んでいた家は今も遺されており、きちんと彼の貢献についての説明書きもあります。
【ボディ】が衰退したワケは…?
20世紀の後半になると事態は急速に一転、ボディの金鉱は枯渇してしまいます。
その上、カリフォルニアのあちこちで金の採掘がボディのように“事業”として行われていたので、金が大流通し市場価値は下がって行く一方。そうなれば住民たちも荒んでいきます。
もともと、ゴールドラッシュ時にできた鉱山街はほとんどが無法地帯だったようで、ボディでも強盗や犯罪が日常茶飯事だったとか。
そこに拍車をかけるようにして起きたのが、町の中心部の大火災。この火災により、町としての機能がほとんど停止してしまったそうです。
今にも人が出てきそうな雰囲気がそのまま
ボディの建物の中を見て不気味なのが、生活感が残っている ということ。
学校は黒板に文字が書きっぱなし、教科書も置きっ放し。
一般家庭のキッチンには食器が出しっぱなし。
バーにはビアボトルが置きっぱなし。
相当な埃が溜まっている状態ではありますが、当時の人たちのリアルな生活がそのまま残っているのです。
これらは演出なんかではなく、本当にすべて当時から手を加えていないんだそう。
建物の内部は観光客に触れられないよう、ほとんどが内部侵入禁止。なので、外から窓越しに中を覗き込みます。
不気味なほどに綺麗に残っている建物もあれば、中には「強盗にあったのかな?」と思わせるような荒れた家も。。。
その他のボディの街の一部をご紹介
ここはガソリンスタンド。
他の場所にある車は錆びついて茶色になっているのに、このトラックだけがやけに鮮やかなのが不思議です。
名もない家に、売れそうな部品が盗まれたのでしょうか?壊れた車もたくさん。
金鉱を掘る機械なども、あちこちに残っています。
国が管理している観光地だから安心
アメリカには、他にもゴールドラッシュ後にゴーストタウンと化した街はいくつかありますが、ボディの面白いところは、今では国が管理している州立公園および重要歴史建造物に指定されているということ。だから安心して観光できます。
日本では馴染みのない「ゴールドラッシュ」かもしれませんが、そんな前知識関係なく、きっと楽しめるはず。日本のどこを探してもこのような光景は見られません。
【注意!】飲食店、ショップ、ガソリンスタンドは無し!
ボディは純粋にゴーストタウンを遺しているというだけの地。
レストランはおろか軽食を売っているようなお店もなく、もちろん本物のガソリンスタンドもありませんので、ご注意ください。一番近いガソリンスタンドは Bridgeport Gas & Go です(MAP)。トイレはあります。
アクセスについて
シエラネバダ山脈の景色が素晴らしい国道395からCA-270に入り、約21km進んだ先にあります。
途中、ガッタガタな未舗装の道で、車に揺られながら「え?!本当にこの先にあるの?!」と心配になるかもしれませんが、途中から舗装された道になるのでご安心を!
- 入場料 $3(約330円/2017年5月現在)
- 駐車場あり
- ホームページ https://www.bodie.com/
- ボディ
- アメリカ / 公園・動植物園 / 建造物
- 住所:アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ボディ地図で見る
- Web:https://www.bodie.com/