ヨーロッパの最西端にある国・ポルトガルは、古くから日本と交易関係があり、日本にはポルトガルから伝わった文化が多くあります。またポルトガルは日本だけでなくアジアや中東、ヨーロッパからの文化が交差した土地でもあり、中でも装飾タイルの「アズレージョ」や「陶器」、「コルク」などの素材が有名な国です。今回は、ポルトガルの首都リスボンで見つけた美しい「アズレージョ」や、果物やイワシの形をした「陶器」など、お土産としても重宝するポルトガルのものづくりについてご紹介します。
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「アズレージョ」とは?
装飾タイルを意味するアズレージョという単語は、アラブ語で「モザイク片」を意味する”az-zuleycha”に由来するといわれています。
正方形のタイルに、顔料で幾何学模様や身の回りの動植物の絵が描かれています。オランダのデルフト焼に見られるようなブルーの顔料で描かれたタイルから、イスラム系のアラベスクのような色とりどりの幾何学模様を合わせたタイルなど、様々な種類があります。
首都リスボンを始めとするポルトガルの街には、建物や地面、標識などにこうした装飾タイル「アズレージョ」を見ることができ、アズレージョが街全体を色鮮やかなものにしています。
アズレージョはイベリア半島によく見られますが、元々はアラブの文化に強い影響を受けていたスペイン、特に南スペインのアンダルシア地方で用いられており、スペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿にも多く用いられています。そして15世紀に入ると、ポルトガルにもその技法が伝わったようです。その頃の主流は、幾何学的な模様のモザイクタイプでした。
その後、17世紀に入ると人物や花、動物といった絵柄も取り入れるようになり、歴史上の物語も描かれるようになりました。ポルトガルの多くの教会や建物には、こうしたデザインのアズレージョが飾られています。
アズレージョ博物館でアズレージョの世界の奥深さを知る!
ポルトガルの首都リスボン市内にあるアズレージョ博物館では、アズレージョの歴史的変遷や歴史を学びながら、様々な種類の装飾タイルを見て回ることができます。
展示スペースは、タイルに描かれる際に使用される顔料や道具の展示から始まり、時代ごとで異なるタイルを見ることができます。青い顔料で描かれる緻密な絵(街や宗教画、動植物、幾何学模様など)が、大小様々な白いタイルに描かれています。
また、黄色や青のグラデーションをたくみに組み合わせて幾何学模様を表現したものもあります。
20世紀に入ってから描かれた近代的なアズレージョの中には、海辺を吹く潮風を表現したかのような、ポルトガルらしいアズレージョもあります。
アズレージョ博物館内には、中庭に面してカフェも併設されています。そこにある昔のかまどを模しただまし絵風のアズレージョが独特の世界観を醸し出しており、素敵な空間となっています。
- 国立アズレージョ博物館
- ポルトガル / 博物館・美術館 / 博物館
- 住所:R. Me. Deus 4, 1900-312 Lisboa, Portugal地図で見る
- Web:http://www.museudoazulejo.gov.pt/
果物や野菜に似せた陶器
装飾タイルといった焼物・絵付け文化が文化遺産のような存在であるポルトガルで、ぜひチェックしたいものが他にもあります。それが、果物や野菜に似せた陶器です。中でも、BORDALLO PINHEIRO(ボルダロ ピニェイロ)社は、1884年に創業されたポルトガルでは有名な老舗陶磁器ブランドです。
特に有名なのが、レタスを模した器です。新鮮なレタスの葉脈がよく表現されており、陶器という硬い素材でありながらレタス本来の質感の特徴がよく出ている傑作です。他にもイチゴやトマト、パプリカやブドウなど、見ているだけでワクワクするような作品がたくさんあります。
こうしたボルダロ ピニェイロ社の陶器は、リスボン市内の様々なお土産物ショップで取り扱われています。因みに先に紹介したアズレージョ博物館のミュージアムショップでも、陶器を見つけることができます。
他にも、リスボン市内のお土産もの屋さんには必ずと言っていいほど陶器の置物や雑貨があります。炭火の塩焼きにして食べるイワシや、タラの仲間であるバカラオを模した陶器など、かわいいものがたくさんあります。
最後に
装飾タイルに果物の器といった陶器・・・ポルトガルの旅の記念に、ぜひこれらを見て回ってポルトガルの手仕事の独自性・奥深さに触れてみませんか?
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※記事内のユーロから日本円への換算は1ユーロ=約132円で計算しています。