毎年夏の風物詩として多くの人に感動を与えてきた「アートアクアリウム」。金魚などが美しく舞い泳ぐ姿を展示するアートイベントでしたが、2020年8月、常設展となる「アートアクアリウム美術館」が東京・日本橋にオープンしました。SNS映えしそうな金魚の作品からグルメ、お土産まで見どころ満載!今回は「アートアクアリウム美術館」の見どころをご紹介します。
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「アートアクアリウム美術館」とは?
東京・日本橋をはじめ、京都や熊本など、全国各地で「金魚×光」のアートを発信してきた「アートアクアリウム」。アーティスト・木村英智(きむらひでとも)氏によって、様々な金魚を使った作品をプロデュースしてきましたが、今回、日本橋・三越本店から少し歩いたところに常設館として「アートアクアリウム美術館」がオープンしました。
コンセプトは、「生命の宿る美術館」。今まで開催されてきたイベントよりも、約3倍もの広さを誇る会場で、約3万匹もの金魚たちが彩る作品を見ることができます。
アートアクアリウム美術館へは、地下鉄で行くことが可能。東京メトロ銀座線または半蔵門線・三越前駅から歩いて2分のところにあります。三越前駅へは渋谷駅から約20分、新宿駅からは東京メトロ丸ノ内線「赤坂見附(あかさかみつけ)駅」経由で約25分でアクセスできます。
また東京駅からは、無料巡回バス「メトロリンク日本橋」でアクセス可能。東京駅八重洲北口にある鉄鋼ビル前から約5分、地下鉄三越前バス停で下車した後、徒歩で行くことができます。約10分間隔で運行しているので、ぜひ利用してみて。
アートアクアリウムのプロローグ「水端」
ここからは、アートアクアリウム美術館の見どころをご紹介します。最初のフロアは「水端(みずはた)」。金魚たちと戯れる非日常の世界の入口で、アートアクアリウムで所蔵されている作品を鑑賞できるほか、不定期で過去の人気作品が展示されています。
出迎えるのは、紅白の3つの水槽が特徴的な「禅アクアリウム」。日本画によく金魚たちが描かれたことにちなんで、まるで絵画のような美しいシルエットを見ることができます。
「禅アクアリウム」を鑑賞した後は、期間限定の作品を鑑賞しましょう。赤い瓶が特徴的な水槽は、イタリアのヴェネツィアンガラアートの最高峰「VENINI(ヴェニーニ)」との共同作品。金魚の一種「土佐錦魚(とさきん)」の尾びれをイメージしています。
水槽には、オレンジと白色のうろこが特徴的な和金系の金魚が泳いでおり、写真映えしそうな優雅な姿を見ることができます。
VENINIとの共同作品の間にある作品が、「床掛け金魚飾り」。プロジェクションマッピングされた水墨画の掛軸の中に本物の黒い「出目金」が泳いでおり、「バーチャル」と「リアル」を掛け合わせた作品を鑑賞できます。
少し歩くと見えるのが、次の作品「カレイドリウム3D」。水槽の中にビー玉が敷き詰められているほか、側面に三角形のレンズが埋め込まれており、中を覗くと金魚たちの泳ぐ姿とともに幾何学的な模様を見ることができます。
中で泳いでいるのは、紅白の和金。水槽は7色にライトアップをするため、まるでカラフルに色づけられたような金魚を鑑賞できます。一匹一匹が持つオリジナルの模様や尾びれの動きを間近で見ながら、金魚たちが表現する美の世界を楽しみましょう。
また正当な品種から珍しい品種まで、壁にそって金魚の水槽が展示されています。定番の土佐金から花房(はなふさ)、水泡眼(すいほうがん)、らんちゅうなど、紅白から黒色まで金魚の品種ごとに鑑賞できます。
アートアクアリウム最大の写真映えフロア「浮世」
「水端」を鑑賞した後は、アートアクアリウム美術館で人気のフロア「浮世(うきよ)」へ移動しましょう。現代における江戸の花街を象徴するエリアで、豪華絢爛で煌びやかな世界と花魁(おいらん)たちの生き様を金魚で再現。InstagramやTwitterなどのSNSでシェアしたくなるような作品を見ることができます。
「浮世」のフロアで最初に出迎えるのは、「セキティリウム」。「石庭」をイメージしたコーナーで石をイメージした水槽には、紅白や黒色の金魚たちの泳ぐ姿を鑑賞できます。光によって中に泳ぐ金魚たちが大きく見えたり、小さく見えたりするほか、近くには石灯篭をイメージした水槽や、茶室などで用いられる丸窓の水槽もあります。
「浮世」フロア最大の見どころが、代表作の「花魁(おいらん)」。高さ約2.4メートル、直径2メートルの巨大水槽が複数あり、約1,000匹の金魚たちが泳いでいます。幻想的な光と音の演出で江戸花街の華やかさを表現しています。
大提灯(だいちょうちん)のある門の近くには、ユニークな形をした水槽「リフレクトリウム」があります。凹凸のレンズや二重レンズなど、様々な形をしたレンズが組み合わさっており、レンズ越しには大小の金魚たちを見ることができます。また、大提灯の門の天井にも金魚たちが泳いでいるので、見逃さないようにしましょう!
門をくぐると、再び「花魁」の水槽がお出迎え。さらにその先を進むと、手鞠のような形をした作品「テマリリウム」が登場します。色とりどりの模様が特徴的な三重県の伝統工芸「伊賀組紐(いがくみひも)」と中で泳ぐ金魚たちを表現。また花魁の水槽の下にも金魚たちが泳いでいるほか、近くにはかわいい灯篭の形をした「ボンボリウム」も鑑賞できます。
華やかな「花魁」の世界を楽しんだ後は、少し落ち着いた雰囲気のある「金魚品評(きんぎょひんぴょう)」へ。水面が波立たない円筒型の水槽に金魚たちが優雅に泳ぐ姿を上から鑑賞できます。金魚の愛らしい表情もはっきりと見えるため、金魚の品評にも適した作品です。
異次元の金魚×光のアートを楽しめるフロア「神秘」
アートアクアリウム美術館となって初めて登場する作品が勢揃いのフロア「神秘(しんぴ)」。人間の知恵では計り知れない異次元の空間をコンセプトに、金魚と光を活かした非現実の世界へと誘い込むような作品を見ることができます。
「神秘」のフロアでぜひとも見たい作品のひとつが、「アースアクアリウム ジャポニズム」。水が溢れる巨大な球体の表面には世界地図が描かれており、「地球で生まれた美しい生命を我々は大切にしなければならない」というメッセージが込められています。
巨大な球体の水槽の中で泳いでいるのは、錦鯉(にしきごい)。発祥の地である新潟県・長岡市にある山古志村(やまこしむら)で育った錦鯉が泳いでおり、7色の光の変化とともに趣深い錦鯉の泳ぐ姿を鑑賞できます。
「神秘」のエリア、最大の見どころが「金魚の杜(きんぎょのもり)」。水柱がまるで森のように立ち並び、水柱内には数多の金魚が泳いでいます。水の中の世界と外の世界との境界線があいまいになり、浮遊感に包まれているかのような雰囲気を楽しめます。
水柱内に泳いでいる主な金魚の種類は、和金やランチュウ、出目金、琉金といった紅白や黒色の金魚たち。優雅に泳ぐ姿を見ることができます。
「金魚の杜」は2階からも眺めることができます。1階とは違った雰囲気で作品を鑑賞できるほか、金魚をイメージしたプロジェクションマッピングも行っており、「光」と「音」、「映像」を駆使した神秘的な幻想的な世界観を堪能できます。