日光は、明治中頃から昭和初期にかけ国際的な避暑地として賑わいました。「夏は外務省が日光に移る」と言われたほど。大使館別荘や御用邸、日本初リゾートホテルの礎となった建物等を巡りながら、時間旅行を楽しむ1日モデルコースです。
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中禅寺湖畔に点在する大使館別荘記念公園
四季折々に美しい姿を見せる栃木県日光は、夏でも爽やかな涼しさであることから、昔から国際的な避暑地として大変にぎわいました。特に標高の高い中禅寺湖の周辺は、明治中頃から昭和初期にかけ、各国の大使館をはじめ多くの外国人別荘が建てられています。中禅寺湖畔の南岸に位置するのが、ヨーロッパの各大使館別荘が残る地区。
今回ご紹介する英国大使館別荘、イタリア大使館別荘のほか、近隣には、公開されていないフランス大使館別荘、ベルギー大使館別荘(期間限定公開もある)もあります。英国大使館とイタリア大使館の各別荘では、それぞれに趣が違う庭づくりもされているので、建物同様お庭の散策や景色も楽しんでください。
10:00 英国大使館別荘記念公園を見学
1896年(明治29年)、英国の外交官アーネスト・サトウの個人別荘として建てられました。その後、英国大使館別荘として利用されていましたが、2010年(平成22年)には栃木県へ寄贈、修復後、現在一般公開されています。
アーネスト・サトウは、1872年(明治5年)に日光を訪れ、3年後には英文のガイドブック「日光案内」を刊行し、日光の魅力を海外の人々に紹介しました。サトウの友人で旅行家&紀行作家でもあるイザベラ・バードも滞在し、友人あての手紙に「山荘から眺める風景の素晴らしさ」を綴っています。
館内では、奥日光の国際避暑地としての歴史や英国文化についての展示などから、彼が日光をこよなく愛したことが伺われます。2階の広縁からは、絵にかいたような中禅寺湖の美しい景色が広がります。
そんな景色の中、駐日英国大使館シェフの監修を受けたスコーンと紅茶のセットをいただくことも。英国大使館から寄贈された家具が配置された中、絶景を楽しみつつ、優雅なひと時を楽しんでみては?別荘の前面は、石積みの3段テラスが造られていて、まるで中禅寺湖を舞台に見立てた客席のようになっています。
- 英国大使館別荘記念公園
- 日光 / 建造物 / 穴場観光スポット
- 住所:栃木県日光市中宮祠地図で見る
- Web:https://www.nikko-nsm.co.jp/british.html
11:00 イタリア大使館別荘記念公園(本邸)を見学
イタリア大使館の別荘は、1928年(昭和3年)に建てられ、1997年(平成9年)まで歴代の大使が使用していました。建物は、床板や建具・家具などをできる限り再利用して復元されているので、真新しくリフォームされた英国大使館より、趣が感じられます。
杉の皮張りで仕上げられた外装や内装も特徴的で、周囲の自然と調和しています。ゆったりと設けられた居室や大きな石造りの暖炉、歴史を感じる家具や食器などが設えられていることから、当時の息遣いまで伝わってくるようです。目の前に広がるプライベートピアからの美しさも格別で、往時の避暑生活を彷彿とさせる世界が広がります。
- イタリア大使館別荘記念公園
- 日光 / 公園 / インスタ映え / 歴史的建造物
- 住所:栃木県日光市 中宮祠2482地図で見る
- 電話:0288-55-0880
- Web:https://www.nikko-nsm.co.jp/italy.html
11:30 国際避暑地歴史館(副邸)を見学
イタリア大使館別荘の副邸として建てられたこの建物は、大使に随行した使用人が宿泊するために建てられた建物です。本邸の後ろの森の中にあり、暖炉を持つ居間兼食堂とそれに続く広縁、寝室と台所からなります。
こちらは往時の歴史を紹介する「国際避暑地歴史館」として整備されており、ヨットや鱒釣りを楽しんだ避暑生活、国際的な社交倶楽部を生んだ中禅寺湖の歴史などを、写真パネルや映像で紹介しています。
- 国際避暑地歴史館
- 日光 / 歴史的建造物
- 住所:栃木県日光市中宮祠2482地図で見る
- Web:https://www.nikko-nsm.co.jp/italy.html
各大使館別荘見学用の駐車場案内
各大使館別荘地に駐車場はないので、日光山中禅寺近くの、歌ケ浜第一駐車場か歌ケ浜第二駐車場を利用するようになります。英国大使館別荘記念公園までは徒歩約10分、イタリア大使館別荘までなら徒歩約15分です。
車いすの方、高齢者用には、別荘地に近い歌ケ浜思いやり駐車場(数台分のみ)もあります。両大使館別荘の間は、緑に包まれた小道で行き来でき、徒歩5分ほどで、楽しい散策路となっています。