1185年、平家と源氏の軍船が関門海峡に集結し、平家一門は滅亡に向かいました。幼い安徳天皇を抱いた清盛の妻・二位の尼が入水し、戦いは終結。そんな平家滅亡の面影は下関の人たちの記憶だけでなく、史跡としても残っています。平家一門の墓と安徳天皇陵や耳なし芳一のお堂がある赤間神社や、壇ノ浦に残る兵士の物語。1,000年近く前の出来事とは思えないほど、下関では今もしっかりと伝えられています。唐戸や関門海峡周辺に残る平家の面影やパワースポットをご紹介します。
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平清盛の孫・安徳天皇を祀るパワースポット
壇ノ浦を望む竜宮城・赤間神宮
今はふぐで有名な下関ですが、昔から歴史の要所でもありました。
それを実感できるのが、JR下関駅からバスで10分、唐戸市場を過ぎたあたりにある、ひときわ目立つ竜宮城のような朱色の神社・赤間神宮です。
壇ノ浦の合戦に敗れ、安徳天皇とともに入水するとき、祖母の二位の尼が詠んだ歌「今ぞしる みもすそ川の おんながれ 波の下にも 都ありとは」。「波の下にも都がありますよ」と幼い孫に言ったと伝えられています。
第二次大戦時に社殿は消失しましたが、海の中に都はあると孫を諭した二位の尼の儚い願いを映して、戦後、赤間神社は竜宮城をイメージした形で再建されました。
境内は朱色がまぶしく、なんとなく夢心地…本当に海の中の竜宮城にいるような気分になります。
神社側から海を見ると、まるで景色が門の中に描かれたよう。今まで見ていた景色が神秘的なものに見えてくるのが不思議。
赤間神宮の御利益は海上安全、水難除け、国家鎮護、子宝祈願などです。
安徳天皇の御陵と平家一門の墓
赤間神社の入り口左にある木造の扉。よく見ると菊の御紋が…天皇陵です。ここは入水した安徳天皇の御陵。たった8歳での死でした。
赤間神社の奥、安徳天皇陵の裏のひっそりとしたところには、平家一門の墓があります。七盛塚とも呼ばれ、自然の石の碑が前面と後面に7基ずつ並んでいます。祀られている平家一門の名前が刻まれた石碑も…1,000年近く前のこととは思えないくらいリアルに残されています。
肝試し?耳なし芳一のお堂
…平家物語の弾き語りが得意だった盲目の琵琶法師・芳一が武士に誘われ、夜な夜な琵琶を演奏していた。危険を感じた住職は芳一の体の隅々まで経文を書いて対策。しかし、耳だけ経文を書き忘れてしまい、武士の霊に耳を切られてしまう…
明治時代に小泉八雲著の『怪談』の中でも取り上げられた耳なし芳一の物語。その舞台となったのが、阿弥陀寺・現在の赤間神社でした。お堂には芳一の木像が安置されています。芳一が当時、毎晩琵琶を演奏していたのは、このお堂だったのかもしれません。
- 赤間神宮
- 山口 / 神社 / パワースポット
- 住所:山口県下関市阿弥陀寺町4−1地図で見る
- 電話:083-231-4138
- Web:http://www.tiki.ne.jp/~akama-jingu/
平家終焉の地・壇ノ浦へ
平家の一杯水?残る言い伝え
赤間神社からバスに乗り前田の停留所で降り、少し戻って関門海峡の海を見下ろすと鳥居があります。鳥居側には井戸があり、ここから湧き出す水は平家の一杯水と呼ばれています。
戦いで傷を負った平家の武将が飲んだとされる水で、一杯目は真水だったのに二杯目からは塩水に変わっていたとか…井戸からは今も水が湧き出し、井戸の上には祠が立てられています。
不思議!真逆になる潮の流れ
関門海峡は、潮の流れが速く、潮流の方向も時間帯によって変わるため、船の難所として知られています。壇ノ浦周辺が満潮に近づくと西に向かう流れが速くなり、干潮に近づくと東に向かう流れが速くなるとか。
平家の悲劇!潮の流れが分けた勝敗
関門海峡の潮の流れにのって平氏ははじめ優勢でしたが、潮の流れが反転すると一気に源氏に追い詰められました。逃げられないと悟った平家の人々は身を投げることを決め、二位の尼と安徳天皇もこの海へと入っていったと伝えられています。
源氏と平家の最後の戦い・壇ノ浦の合戦が起きたのは1185年。戦いの場となった壇ノ浦に面するみもすそ川公園には、源義経と平知盛の像が時が止まったかのように向かい合っています。
公園から横断歩道を渡って、山側に進むと見えてくるみもすそ川別館。ふぐ料理の旅館です。
この敷地内にあるのが、安徳天皇と二位の尼の像。幼い安徳天皇が手を合わせて、祖母の二位の尼に抱かれています。
二位の尼よりも顔の位置が高くなるように持ち上げているのは、少しでも長く生きてほしいという気持ちの表れでしょうか…この若さで死を選ばなければならなかった幼子と、孫を死へと誘わねばならなかった祖母を思うと、なんだか切なくなります。
- 壇之浦古戦場跡
- 山口 / 公園 / 観光名所
- 住所:山口県下関市みもすそ川町1番地図で見る
- 電話:083-231-1350(下関市観光政策課)
- Web:https://www.oidemase.or.jp/tourism-information/spo...
下関と北九州をつなぐ地下トンネル
みもすそ川公園の向かいにある建物。一見、トイレのある駐車場のように見えますが、実は関門トンネルです。
建物にはエレベーターが二つ。エレベーターを降りると関門海峡を挟んで向こうの北九州市門司に歩いていくことができる道があります。自転車でも通ることができますが、料金が必要ですので悪しからず。
門司までは歩いても15分ほど。関門海峡横断記念のスタンプもあり、門司に行ってスタンプを完成させると関門TOPPA!記念証がもらえます。
壇ノ浦の合戦の頃に、もしこのトンネルがあったら、安徳天皇は海の底を通って関門海峡の向こうで幸せに暮らすことができたのでしょうか…
- 関門トンネル人道
- 北九州 / その他スポット / 女子旅
- 住所:山口県下関市~福岡県北九州市地図で見る
- Web:https://www.gururich-kitaq.com/kanmon/detail/index...