オーストラリアのほとんどの都市は海沿いに広がっていますが、アウトバック(オーストラリア内陸地域のこと)にも町はたくさんあります。そんな中で、最も隔離された僻地にある町クックをご存知ですか?大陸横断鉄道インディアン・パシフィックに乗って訪れることができる町の栄枯衰退の歴史を感じましょう。不思議な町クックをご紹介します。
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超僻地クックってどこにあるの?
オーストラリア南西部の南オーストラリア州と西オーストラリア州の境界線にほど近い、ナラボー平原のど真ん中に位置しているCook(クック)。
列車の線路が開通し、ここに駅が出来たことで発展してきました。周辺には何百キロと平原が広がっていて、見渡す限り何もありません。
クックの次の停車駅であるKalgoorlie(カルガリー)まで、食品補充や給油できる場所は一切ありません。その距離はなんと862km!また、舗装された一番近い道路であるEyer Highway(エアー・ハイウェイ)までは105km、一番近い町のEUCLAまでも264kmもあるのです。
列車を起点に発展した町
クックは1917年に鉄道の交換駅が出来たことで発展し、ここを起点に沿線地域に町がつくられていきました。現在も貨物列車や大陸横断鉄道が通っています。
大陸横断鉄道が走る南オーストラリアのOoldea(オオールデア)から西オーストラリアのLoongana(ローンガナ)まではどこまでも続く直線で、その長さ478kmの直線鉄道軌道は世界一なんです。
過去の繁栄
鉄道開通後、この地域の生活物資のすべてはティーシュガートレインという電車によって供給され、クックは周辺や沿線地域においても大きな役割を果たしていました。多くの人が住み着き、列車には贅沢品や映画館などの娯楽、銀行や看護師までも乗ってやってきたそうです。
町として大きくなると学校や牢屋なども整備され、その施設などの名残は今でも見ることができます。
この町で生き、この町で生涯を終えた鉄道員についての書かれたペインティングも見られました。
そして今...
長きにわたってアウトバックを支えてきたティーシュガートレインは1996年にその役目を終え、沿線に広がる居住地も次々と閉鎖されます。
クックは鉄道が民営化された1997年に閉鎖されました。現在も町で暮らす人はいるものの、人口はたったの4人です。ディーゼル燃料補給施設は現在も残されており、列車運転手のための宿舎も存在しているそうです。
現在はシドニーとパースを週に1往復する大陸横断鉄道のインディアン・パシフィックが停車し、週2回だけ人々が訪れます。ここからの乗降車は不可ですが、乗客は一時停車中に降りることができ、住民が売るお土産物を購入したりすることが出来ます。
いかがでしたか?
ここからシドニーまで2,437km、パースまでは1,523kmあります。しかし、この案内板が設置されているのを見ると、なんともアバウトでダイナミックなオーストラリアの大きさを感じさせられます。
大陸横断鉄道でしかアクセスが出来ないと言って過言ではない超僻地クックへ、一度は訪れてみるのもいいのではないでしょうか?